健康と食欲を両立。2foodsの植物性ジャンクフード

健康と食欲を両立。2foodsの植物性ジャンクフード

日本におけるプラントベースフードの価値観の変化を加速させるブランドが誕生しました。健康とおいしさとエシカルの3つが共存するヘルシージャンクフードがコンセプトの「2foods」です。運営会社は「健康と快楽はトレードオフの関係」という常識を覆し、ウェルビーイング実現を目指す株式会社TWOで、植物性原材料で作られたカレーやドーナツなどを提供しています。商品の開発力と巧妙なコンセプトで作られる、新しいプラントベースフードに迫ります。

お話をうかがった方

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非ヴィーガンが日常に取り入れられる
プラントベースフードに着目

ー飲食事業への参入は初の試みとお聞きしましたが、食のカテゴリに参入しようと思ったのはどうしてでしょうか。

東:当社はこれまで、バスアイテムブランドなどのプロダクト事業を展開してきました。多くの人々は、健康を心がけると、心の欲している快楽は手放さなければならないという制約をもって暮らしています。

その中で私たちは、心と体が欲するものを両立し、社会へもプラスになり、真の健康を目指すライフスタイル・イノベーションをヴィジョンとして成長してきました。その上で、生活者において一番影響力があると言っても過言ではない領域はやはり食です。ここへの進出は欠かせないのと、飲食事業の立ち上げを構想した2019年頃は、日本ではヴィーガンやプラントベースフードへの理解が欧米に比べて進んでおらず、まだまだ市場開拓の余地があると考えました。そこから研究開発に約1年半の歳月を費やして、2021年4月に渋谷ロフト店を含む3店舗同時グランドオープンに至りました。


ーヘルシージャンクフードの表現が絶妙だと感じたのですが、このコンセプトはどのように生まれたのでしょうか。

東:プラントベースフードを健康な食としてライトに取り組みたい人にも楽しんでもらえるよう、プラントベースフードが持つ本来の価値であるエシカルや健康と、本能的に欲するジャンクフードという相反する価値観を組み合わせることで「ヘルシージャンクフード」というコンセプトに辿り着きました。

もともとプラントベースフード市場に参入する上で、欧米のビジネスモデルを真似するだけでは、宗教、食文化、エシカル消費の発展具合などの違いから、うまくいかないだろうと感じていました。

日本ではストイックにヴィーガンを貫く人やベジタリアンはまだ少数です。一方で、健康を気にしてサラダランチを週1回食べ出す人がいたり、なんとなくカフェラテからソイラテにする人がいたり、トレンドも含めてライトに健康な食を取り入れ始める人は圧倒的に多いんです。そういった人たちにとって既存のプラントベースフードは、あまり日常的に馴染みがなく、価格が比較的高く、味わいに物足りなさを感じるなど、日々の生活に取り入れるにはハードルが高過ぎます。プラントベースフードをこういったポジションにハメる事で新たな健康でおいしい食のカルチャーを作れる可能性を感じました。


ーすごい発明ですよね。このコンセプトは、プロジェクトの立ち上げ時に既にあったのでしょうか。

東:プロジェクトを立ち上げた半年後くらいで、考えに考えた末、生まれたものです。美味しいものを食べたい欲求と健康のはざまで悩む人に寄り添うコンセプトですし、結果的には地球規模で今、大きな課題となっている環境問題や人口増加の問題にも貢献できると思います。


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▲現在、2foods 渋谷ロフト店、六本木の2foods アークヒルズ店、東京の2foods 八重洲地下街店、テイクアウト限定で人形町の2foods ラボキッチン店を展開している


ープラントベースフードというと、どうしても関心のある方のみになりがちですが、「2foods」のコンセプトであれば日常の選択肢のひとつとして浸透しやすそうですね。店作りもこのコンセプトに基づいて作られたのでしょうか。

東:アパレル業界がブランドイメージで選ばれるのと同じように、私たちのコンセプトを含めたブランドを好意を持って選んでもらうことも重要です。

飲食ブランドでありながら、ロゴなどブランドのキーカラーに黒を使用して、今までのプラントベースフードのイメージである「自然」といった印象とは敢えて対極的なクリエイティブにしました。ロゴはレインボーカラー的にこれから起こるだろう多種多様な食のカルチャーへの挑戦という意味合いも込めています。店舗では象徴的にサイネージを活用し、一目で見て2foodsだと分かるシンボリックな外観となるよう意識しました。


ーブランドを作られる上でターゲットとしては、どのような層を意識されたのでしょうか。

東:究極的にはおいしくてヘルシーなものを食べたいという欲求は土地も世代も関係なく、エシカルやSDGsに興味を持たない層にも需要があります。

それを実証すべく、2foodsはさまざまなターゲットに合わせた出店戦略を取り、若者を象徴する渋谷ロフト店があったり、ビジネスマンを中心とした東京駅の八重洲地下街店で、それらを検証しています。多くの方が通りがかりやメディアをご覧になって来たなど、ライトな感覚でご来店いただいていて、おそらくその中で実際にヴィーガンやベジタリアンの方は全体の1〜2割なのではと思います。

自社開発のヴィーガン調味料で
おいしさを表現

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▲渋谷ロフト店限定の濃厚やみつき担々麺。国産米粉100%のグルテンフリー米粉麺に、動物性原料不使用の濃厚スープが絡む


ーコンセプトあってこその吸引力ですね。メニューもコンセプトを軸に開発されたのでしょうか。

及川:メニューは一般的にはギルティフードと呼ばれるカレーやドーナツなどをメインにして、ヘルシーだけどジャンクというギャップを一層感じていただけるような構成に仕上げています。どのメニューも五感で感じていただくことを意識し、盛り付けから、香り、食感、味わいの細部まで、こだわり抜いて研究開発を重ねました。


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▲まるでバターチキンカレー


ー先日、「まるでバターチキンカレー」をいただいたのですが、本格的なスパイスの味わいがして、バターのようなコクがありました。

及川:「まるでバターチキンカレー」は肉厚のソイミートとバターの風味を作る植物油脂などの調味で味わいに深みを出しています。そのほかにも、自社でオリジナルで開発したヴィーガンナンプラーを使用の「本格スパイシーグリーンカレー」、ヴィーガンオイスターソースを使った「スパイシーまぜそば」など、植物性、動物性という垣根を越えたおいしさを表現しています。


ーヴィーガンの調味料もオリジナルですか?

及川:独自開発したレシピで、弊社のセントラルキッチンを使って作っています。2foodsオープンに向けた記者発表の際にも、食品メーカー様からお問い合わせいただいたのですが、レシピは完全企業秘密です。これは大きな強みでもありますね。

また、カレーはどれもインドやネパールの現地から取り寄せた15種のオリジナルスパイスミックス使用しているのも特長。さらに、カレーや丼ものはご飯にもこだわり、玄米100%ではなくカリフラワーライスをあえて混ぜています。玄米を食べ慣れていない方も食べていて疲れず、消化に良く、胃もたれしにくいんですよ。まぜ麺には、低温超微粒粉砕した特殊製法の玄米麺を使用しています。グルテンフリーでありながら小麦麺のような食べ応えが実現できる技術は、日本で1社しか持っていません。こうした技術をふんだんに使って、単純に健康にいいという視点ではなく、純粋に食べて美味しいメニューに仕上げています。


ーこうした味の作り込みは、どのようにおこなわれていますか?

及川:開発前にベンチマークとして、有名店のメニューを設定しています。開発チームは食のあらゆる分野から集まった6名で結成されていて、味を追求する中で一筋縄でいかない壁をどう越えていくのかを楽しんで取り組んでいる部分がありましたね。外食、中食、原材料メーカーを経験したメンバーや、大学で化学の分野に携わっていた者もいて、多角的な知見が集まりやすいんです。お互いに担当外の商品でも意見をしますし、一丸となって取り組めたのは成果につながっていますね。

「旨味」は成分の数値を近づければ形になるのですが、「おいしさ」は数値のみで評価できないので、香りだったり食感だったりが足りないところを言語化して補っていきました。例えば、「まるでたまごなドーナツサンド」は、見た目も味わいもたまごサンドなのに卵不使用で、その鍵の一つが卵の香りだったりするんですよね。その再現性に驚いていただけるお客様も多いです。

日本のプラントベースフードの未来

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▲濃厚ガトーショコラ。冷蔵なら生チョコレート、常温ではテリーヌショコラ、温めればフォンダンショコラと、3段階で楽しめる


ー食で体感した驚きって、また誰かと一緒に来たい、誰かに教えたいという動きを生みますよね。プラントベースフードや代替肉にどうしてもある種の妥協みたいな気持ちをもっていましたが、それが覆るような感覚でした。

及川:現在、店頭とオンラインともに販売している新商品「濃厚ガトーショコラ」も、皆さんに驚いていただけると思いますよ。特殊製法でバター、卵、牛乳不使用でありながらショコラティエが作るような味わいで、すでにSNSで反響をいただいています。

東:プラントベースフードが動物性食物の代替というイメージがあるのは、ヘルシージャンクフードのコンセプトをもつ我々にとってチャンスでありながら、大きな障壁でもあるんですよね。プラントベースフードをライトに食べたい層は、普段食べている動物性の旨みを知っているだけに、想像していたおいしさを下回ると次はもう食べていただけませんから。

ただ、食への関心が深い日本の市場で試行錯誤して、生活者の皆さんに受け入れられていくのは、2foodsが今後世界に打って出ていく上で一つの大きな経験としてアドバンテージになるでしょう。


ープロジェクトを立ち上げた約1年半前と、日本のプラントベースフード市場の変化は感じますか?

東:プラントベースフードの存在感は日に日に増していますね。当時はヴィーガンという言葉は浸透していましたが、プラントベースフードという言葉は認知されていませんでしたから。ミレニアル世代にはエシカルな思想が自然な形で浸透していて、もはや環境のことや未来を見据えない企業はダサイと考える層も多く、そうした感度の高い考えの方が増えていることは、時代とともに我々のブランドの追い風になるとも感じています。

とはいえ、まだフードテック、プラントベースは日常からは遠い存在にあります。まずは、近年話題のコオロギせんべいもそうですが、「食べたら意外といけるじゃん!」という食体験を生み出さなければいけません。そのためには、2foodsの認知度アップや店舗の拡大は必須ですし、価格もリーズナブルにして色んな方の手に届くようにしていきたいですね。



writing support:Akira Fukui



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