夏の体調不良におすすめ。インドの「家庭の知恵スープ」

夏の体調不良におすすめ。インドの「家庭の知恵スープ」

HolicClipの連載[世界の台所探検]です。世界中の台所を訪れて現地の人と料理をする台所探検家・岡根谷実里さんのレポートから、世界各地の家庭料理を通じて、さまざまな食の文化と歴史、それぞれの暮らしを感じることができます。

                                       毎日の食卓を楽しくする「料理の知恵」メディア【クックパッドニュース】より

疲れた胃にスパイスを

ジメジメした日が続き、ようやく晴れたと思ったらいきなり猛暑...。建物に入るとクーラーが効き過ぎていて体を冷やしてしまうなど、季節の変わり目は、何かと体調を崩しやすいものです。

スパイスを多用するインドでは、そんな体調不良も食事やスパイスで整えるという考え方があります。今回ご紹介したいのは、南インドの“辛酸っぱい”スパイススープ「ラッサム」です。油をほんの少ししか使わず、サラッとしていて軽いので、食欲のない時にもするする飲めて胃を元気にしてくれますよ。

食事の前の大事な一杯

この料理に出会ったのは、日本に住むインド人家庭の台所。料理をするのは母ミラさんです。「食事の最初に飲むと、胃が食べ物を迎える準備をするの」と言いながら作ってくれました。

作り方はシンプル。お湯でふやかしたタマリンド(酸っぱいマメ科のフルーツで、梅干しに似た味)を鍋に入れ、トマトやにんにくやスパイス類を入れて火にかけます。沸騰させない火加減でしばらく煮たら、別のフライパンに油を熱してスパイスを温め、スープの鍋にジュッと注いで完成です。


10549_image01.jpg

油でスパイスを温め、香りを出す


「難しくないでしょ?ポイントは、沸騰させないことだけ。香りが飛んでしまうから」。
インドのカレーは、多めの油でホールスパイスの香りを引き出し、その油で具材を炒めて最後にパウダースパイスをまとわせる、という作り方が一般的。それに比べるとラッサムは、はじめから煮る調理なので、油も少なくヘルシー、さらに手間も少なくてうれしいこと尽くしです。

酸味と辛味が食欲を刺激!

できあがったラッサムは、小さな器に入れて他のおかずと共にワンプレートに並びます。小さな器がいくつか並ぶ中で、示し合わせたように家族はラッサムから手をつけます。


10549_image02.jpg

左手前の赤いスープがラッサム


一口飲むと、胡椒や唐辛子が喉にピリリと刺激を与え、タマリンドとトマトの酸味が心地よく食道を通り、胃をやさしく起こしてくれるようです。パクチーやにんにくは主張することなく、ほのかな風味で下支えします。

「インドの気候に比べると、日本は一年中冬のようなもの」とミラさんは言います。一家が暮らしていたグジャラート州は、年間を通して気温30〜40度。体調を整えるこのスープは、この家の食卓に欠かせません。いつでもすぐに作れるように、複数のスパイスをブレンドして挽いた自家製のラッサムパウダーも常備しているのだそうです。


南インドのスパイススープ!ラッサム by 世界の台所探検家
https://cookpad.com/recipe/6864356
10549_南インドのスパイススープ!ラッサム.jpg

ラッサム(rasam)の語源は、サンスクリット語のジュース(rasa)とされています。トマトやタマリンド、それから各種スパイスを煮出した“スパイスのジュース”ともいえる一杯は、食欲のない日やエアコンで夏風邪気味の時など、お茶のように飲むのも良いかもしれません。

この家庭のようにたくさんの種類のスパイスを使うことはできませんが、ラッサムにはさまざまなレシピがあり、「酸味と辛味さえ抜かなければ後は気楽に」ということだったので、私もシンプルにしたレシピで何度か作っています。

インドの「家庭の知恵スープ」風邪薬を飲む前に、ぜひ。



この記事が気に入ったらフォロー

ニュースレター登録で最新情報をお届けします!





著者プロフィール

著者アイコン
岡根谷実里
台所探検家。世界各地の家庭の台所を訪れ、世界中の人と一緒に料理をしている。これまで訪れた国は60カ国以上。2014年クックパッド入社。料理から見える社会や文化、歴史、風土を伝えている。
https://note.com/misatookaneya