グローバルダイニングがコロナ禍で打ち出した施策

グローバルダイニングがコロナ禍で打ち出した施策

2021年7月から東京には4度目の緊急事態宣言が発令され、飲食店の厳しい規制が続いています。酒類の提供禁止や営業時間の短縮など、外食産業には規模によっては十分な補償があるとは言えず、個人店、チェーン店ともに厳しい状況が続きます。そんな中、平常営業を続けていることで注目されている「カフェ ラ・ボエム」「モンスーンカフェ」などを率いるグローバルダイニングにお話をうかがいました。

お話をうかがった方

株式会社グローバルダイニング
取締役副社長
小林 庸麿 氏

飲食店の役割を再認識する

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ー グローバルダイニングは、社長の長谷川氏が自身のSNSと公式HPで平常営業をおこなう方針を発表し、メディアでも話題になりましたね。

緊急事態宣言の発令に関して当社代表・長谷川の考え方は以下です。
https://www.global-dining.com/news/2021/01/07/11929/

第1回目の緊急事態宣言下では、我々も状況をすべて把握することができなかったので、リスクやお客さまの需要を考えて、開けている店と閉めた店が混在していましたが、現在は基本的に通常営業を続けています。(※国内40+LA2店舗 7/1現在は商業施設内9店舗を除き平常営業)

当初はネガティブなご意見もいただきましたが、一人暮らしの方や夕食難民になっている方も多く、お店を開けていることに感謝のお言葉や応援のお声もいただきました。


ー グローバルダイニングの理念について教えてください。

グローバルダイニングは、お客さまに感動していただき、そして社員も感動するための最高の舞台を提供することを理念としています。


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こんなときこそ、
お客さまに喜んでいただける施策を

― 今回新たに始めた施策について教えてください。

ディナータイムがメインの「カフェ レガート」は、緊急事態宣言下で夜に訪れるお客さまが少なくなった分、お昼の営業を強化するため、2020年7月よりアフタヌーンティーの提供を開始しました。

「ステラート」では、ケーキのテイクアウトや2021年2月より「おうちdeアフタヌーンティーセット」もスタートしています。


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「ブラッスリータブローズ」では、パティオ部分を活用したアウトドアダイニングをおこなっています。店内にはDJブースを設置し、お食事と共に音楽をお楽しみいただけます。


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また、コロナ禍で海外旅行などのレジャーが制限される中、お客さまに非日常を楽しんでほしいという想いで、7月より“南仏の夏”をテーマにしたメニューを揃えたプロヴァンスフェアを開催しています。これは、「リグニス」「LB8(エルビーエイト)」「ステラート」の3店舗で開催しています。

別ブランドの3店舗が同じテーマでフェアをおこなうのは初めての試みです。若手シェフ達が同テーマで、それぞれの店に合わせたメニューを開発しています。海外に行けない分、レストランを訪れて旅情を感じてほしいと企画しました。

食というのはエネルギー補給の意味で言えば、デリバリーやテイクアウトで充分です。しかし、友人との集まりやお祝いごと、イベントごとなど、人と直接会わなければ成り立たない機会を提供することも、外食産業の重要な役割なのだと再認識しています。そのため、私たちはただ料理を提供しているだけではなく、お店に来ていただけるからこそ実感できるエンタメ性やワクワク感を大切にしています。


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▲写真左から)リグニス 料理長 五十嵐 雅斗/LB8 店長 金子 武尊/ステラート 料理長 山本 慶吾


― 若手のシェフやスタッフの方が活躍している印象が強いです。

コロナ以前から月に一度コンセプトを決めて、全業態の店舗の料理長を集めて新しい料理のアイデア提案会を10年ほど続けています。

グローバルダイニングの理念である「感動する舞台を作る」というのは、お客さまのためだけでなく、共に働く従業員のためでもあります。こうした土壌の上で、おいしいものを作りたい、食べた人を喜ばせたいという気持ちが社員の中に自然に生まれてきています。若手のシェフでもアルバイトでも一緒に働いている人で、意欲があれば新しい提案ができるような社風です。プロヴァンスフェアも20代中盤のシェフたちが考えたもの。個の力を伸ばし、ブランド横断で切磋琢磨できる点もグローバルダイニングの強みなんです。


― サービスにも力を入れていますか?

サービスは目に見えない部分が多いですが、活躍できる人材発掘のためのサービスコンテストもおこなっています。優勝者には、自社のL.A.の店舗の視察など、海外研修に行ってもらう予定です。料理もサービスもいい人材がさらに伸びるような機会を提供しています。

これから変わっていくこと、変わらないこと

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― コロナ禍において、グローバルダイニングの名をメディアで目にする機会が増え、認知が広がった印象があります。

訪れてくださるお客さまの中には、使い勝手もいいし、値段も手頃だしというポジティブな理由で来てくださる方もいますが、他に店が開いていないから仕方なく選んでいるという方ももちろんいらっしゃいます。

初めて訪れてくださった方にも、久しぶりに来てくださった方にも、いいねと思っていただき未来に繋げることが大切だと思っています。


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― 未来を見据えてどのような目標を立てていますか?

東日本大震災以降の頃からは、短期的な売上よりも、料理やサービスの質を高め、店舗の中身を濃くしていくことに重きを置き、お客さまが満足して長期的に通ってもらえる店づくりを目標にしてきました。コロナ禍でもブレずにもともとある理念に基づいて成長していければと思っています。

新しいヴィジョンとしては、今までは比較的都心での出店が中心でしたが、これからは郊外や住宅街といった立地の出店も考えています。

8月にはタコス専門店「タコ ファナティコ」と「ラ・ボエム パスタフレスカ」の2店舗を名古屋にオープン。日本のライフスタイルもリモートワークなどで変化してきているので、首都圏に限らず地方も選択肢に入れながら、広い視野を持って進出していこうと思っています。


― コロナ禍でも平常営業を続けるグローバルダイニング。「お客さまに感動していただき、社員も感動するための最高の舞台を提供する」という確固たる理念が根底にありました。



writing support:Yasue Chiba



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