[世界の台所探検]韓国の「冷たい豆乳風味スープ麺」驚きの簡単さで完成

[世界の台所探検]韓国の「冷たい豆乳風味スープ麺」驚きの簡単さで完成

世界中の台所を訪れて現地の人と料理をする台所探検家・岡根谷実里さんのレポートから、世界各地の家庭料理を通じて、さまざまな食の文化と歴史、それぞれの暮らしを感じることができます。

                                       毎日の食卓を楽しくする「料理の知恵」メディア【クックパッドニュース】より

夏と言ったら冷たい麺

暑さで食欲が落ちる夏。つるっと食べられる冷たい麺類がうれしい時期ですね。私たちが冷やし中華やそうめんを食べるように、お隣の韓国にも、夏の時期だけの冷やし麺があるのだそう。その名も「コングクス」。豆乳風味の冷たいスープをかけて食べる、見た目にも涼しい麺料理です。

ミキサーで楽々!なんちゃっての作り方

この料理を教えてくれたのは、韓国出身東京在住のミンジョンさん。17年前に旦那さんの仕事の都合で日本に来て以来、料理好きが高じて、外国人らが自宅で教える料理教室「ニキズキッチン」で月に何度かレッスンをしています。昔ながらの韓国料理を貫くのではなく、手軽にできる工夫やトレンドを取り入れていくのが彼女のスタイル。「作る人が楽しくなくちゃ」と笑顔で台所に立ちます。


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「今日作るのは、なんちゃってコングクス。ほんっとうに簡単にできちゃうの」と取り出したのは、ミキサー。豆腐を豪快に丸ごと一丁投入し、そこにごまやナッツ類などの香ばしい食材を加え、水加減を調整してスイッチオン。あっという間に、とろっとした冷たいスープが出来上がります。

「水分調整に入れるのは、豆乳でも牛乳でもどちらでも。ナッツの量は適当。ピーナッツバターは無糖でも有糖でもOKだし、なければわざわざ買わないで」とどこまでもおおらかです。


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彼女が「なんちゃって」だと言う理由は、本来の作り方と比べてだいぶショートカットしたものだから。何年か前にこの作り方を知って以来、気に入って作っているのだと言います。

料理を通して覚えた日本語

本物を作りたいというちょっとさみしい気持ちも私はありつつ、本来のコングクスの作り方を聞いたら納得。想像以上に時間のかかる作業だったのです。まずは大豆を一晩水に浸すところから始まり、翌朝両手ですくって擦り合わせるようにして豆の皮を落とし、その水を濾して皮を取り除いたら水だけ戻してまた擦る...というのをなんと100回ほど繰り返すのだそうです。

「日本で暮らし始めた頃は、わからない単語も多くて。料理教室での生徒さんとの会話を通して日本語を学んでいったの。当時コングクスを教えていて覚えたのが、『気が遠くなる』という日本語だった」とミンジョンさんは言います。たしかに、説明を聞いただけで気が遠くなります。

「当時はその『気が遠くなる』方法でやっていたんだけど、準備があまりに大変で。普段、レッスンの前日はわくわくするのだけど、コングクスの時は気が重すぎた。自分が楽しめないんじゃこんなのダメだ!と思ってやり方を変えたの。」

「本来の作り方と同じ味ではないけれど、これはこれのおいしさがある」と笑顔で言い切れるその裏には、料理に対する彼女の信念があります。

「普段の料理では、私が楽しんでいることが一番重要だと思っているの。家族が好きな料理を作りたくても、手間がかかるものだと躊躇するのは事実。でも、料理の中には、簡単に作ると味の差が大きすぎるものもあるから、そういうときは『今日は頑張ってみようか!』と考えて、たまには丁寧に作るの」とにっこり。

ただ単に簡単にするのではなく、作る自分が楽しくいられて、丁寧に作る日のためのエネルギーを取っておくために、自分で見つけたバランスだったのです。

作る人も食べる人も涼しく

茹でる麺は冷や麦。そうめんもいいけれど、それより少しだけ太くて韓国の麺に近いから気に入っているのだそうです。茹でて水で冷やしたら、器に盛ってスープをかけ、トマトときゅうりをトッピング。


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火を使うのは麺を茹でる数分だけ、洗い物も少なく、涼しい顔であっという間に出来上がりました。

ミキサーで簡単!韓国の豆乳冷麺コングクス by 世界の台所探検家
https://cookpad.com/recipe/6895890
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銀色の箸でいただきます。濃厚豆乳のようなスープは麺によく絡み、大豆の甘みだけでなくごまやナッツの香ばしさも感じられ、するすると食が進みます。あっという間に麺を食べ終え、スープまで飲み干し、食べ終わると体はクールダウン。その上しっかりタンパク質もとれて、これは夏の新定番になりそうです。

短時間で涼しく作れる工夫が詰まった “なんちゃって” コングクス、台所に立つのが億劫な日にもおすすめですよ。



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著者情報

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岡根谷実里
台所探検家。世界各地の家庭の台所を訪れ、世界中の人と一緒に料理をしている。これまで訪れた国は60カ国以上。2014年クックパッド入社。料理から見える社会や文化、歴史、風土を伝えている。
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