
家電製品
今、子育て世代に「ホットプレート」が再注目されるワケ
今「ホットプレート」が電子レンジやオーブントースターに匹敵するくらい、日常的に使われる調理器具へと進化しています。その背景や活用法をまとめてみました。
共働きが増えると、
ホットプレート検索が増える?
クックパッドでの「ホットプレート」の検索頻度(SI値)は年々上昇し、2013年と比較すると190%の成長がみられます。上昇を続けている大きな背景としては、世帯構造の変化が大きいと考えられます。単一家族化に加え、共働き世帯が増え、時短調理は当たり前のニーズとなる中、いかに時間を短縮し、なおかつ家族に喜んでもらえるかが調理のポイントとなっています。
クックパッドの検索データをみても、ホットプレートと一緒に検索されるキーワードとして「夕食」が上昇していて、ホットプレートを活用して日常的に作れる夕食レシピが求められていることがわかります。
※検索頻度(SI値):クックパッドでの検索1,000回あたりの分析キーワードの検索回数
※マッチ度:「ホットプレート×夕食」の組み合わせで検索されている割合
ホットプレートが見直されるきっかけは
チーズタッカルビ?
これまでも「ホットプレート」は暮らしの中にありましたが、食卓に登場するのは年に数回程度の家庭が多かったのではないでしょうか。台所の上の戸棚からゴソッと取り出してセッティングするものでしたが、最近ではテーブル付近に常時スタンバイさせている家庭が増えていると聞きます。ホットプレートの小型化や機能の充実、またインテリアとしてもおしゃれでスタイリッシュなものが増えたせいかもしれません。
ホットプレートと一緒に組み合わせて検索されるキーワードの中で、2017年に急上昇したメニューがあります。「チーズタッカルビ」です。2018年からは、一緒に組み合わせて検索されるキーワードとしてトップに躍り出ました。
「チーズタッカルビ」の登場は、ホットプレートが見直される大きなきっかけにもなったのではないでしょうか。
「チーズタッカルビ」は、元は朝鮮や韓国の焼肉料理「タッカルビ」から派生したもので、「タッ」(닭)は鶏を「カルビ」(갈비)は「あばら骨」をあらわし、「骨のまわりの肉を食べる鶏料理」という意味があります。大きな鉄板で鶏肉と野菜を炒め、甘辛いコチュジャンベースのタレに絡ませて食べる料理です。
とろけたチーズに絡ませた「チーズタッカルビ」が写真映えするとして、日本の若い世代を中心にInstagramなどで話題となり、2017年から2018年にかけて大ヒットしました。見映えや美味しさだけではなく、リーズナブルな鶏肉を使うことで家計にも優しいことや、調理工程が少なく時短ニーズにも応えてくれることなど、様々なライフスタイルに合致するメニューとして幅広い視点で注目されました。
クックパッドでも、2017年の「食トレンド大賞(※)」に選ばれ、2020年2月時点では650品以上のレシピが投稿されています。そのほとんどが、フライパンやホットプレートを使って手軽に作れるように工夫されていたり、小さい子どもでも食べられるようなマイルドな味付けになっていたりと、アレンジも多彩です。家庭で手軽に楽しめるトレンド性の高いメニューとして定着しつつあります。
また近年では、外食チェーン店のペッパーランチをホットプレートで再現したレシピや、見た目もかわいいホットプレートオムライスなどが話題となり、チーズタッカルビに続くトレンド性の高いホットプレート料理も増えてきています。
※クックパッド食トレンド大賞2017年 https://cookpad.com/campaign/foodtrend2017
世代によって変わる、ホットプレートの価値。
次に、世代別のホットプレートの検索データを見ていきましょう。
最も「ホットプレート」を検索しているのは、30代後半から40代女性の「子育て世代」です。世代ごとに、ホットプレートと一緒にどのようなキーワードを検索しているのかを見てみると、面白い結果が出てきました。
20代は「アヒージョ」「チョコフォンデュ」など、おつまみ系やおもてなし料理に関するキーワードが特徴的でした。一方、30代から40代は「お昼ごはん」「夕食」「朝ごはん」といったキーワードや、日常的なメニューのキーワードが上位になっており、日々の調理でホットプレートを活用していることがわかります。
ホットプレートを使った夕食では、肉や野菜を串に刺した串焼き風のもの、たっぷりの野菜を使ったちゃんちゃん焼きやビビンバなど、見た目はダイナミックでお腹にも満足な簡単レシピが人気となっています。
朝食では、パンも卵も野菜も一緒に焼いたワンプレートのようなスタイルが人気となっています。
ホットプレートの価値が世代によって変遷し、子育て世代にとっては日常使いすることによって、より高い価値を持っていることがわかります。
ホットプレート調理は「家族時間」を生み出していく?これからの料理のあり方をアップデートするキーアイテム。
これまでは調理者(主に母親)が全て作った状態で提供することが一般的でしたが、ホットプレートは家族みんなで調理しながら食べるので、自然と会話をする時間も増えていきます。また「ホットプレートで自分で作った料理は、子どもが積極的に食べてくれる」というエピソードも多く、子ども自らが調理することで「料理」が自分事にもなり、前向きに食べる姿勢へと繋がるのかもしれません。
多様化するライフスタイルの中で、家事にかける時間、育児にかける時間、自分のための時間、どこに重点を置くかは生活者次第です。料理に費やす時間よりも、子どもや家族との時間を大事にしたいという考えも拡がりつつあるようです。とはいえ、食は生活の基本であり続けます。生活者にとって、美味しい料理と家族との時間、両方のニーズを充実させてくれるホットプレートは、今後さらに注目されるキーアイテムなのかもしれません。
writing support : Yui Adachi
著者情報

- ストラテジックプランナー 小室真理絵
- 旅行会社にてコンテンツマーケティングやデータ分析の経験を経て、2017年クックパッド入社。仕事も育児も頑張る全ての人のライフスタイルに寄り添った課題解決型のコミュニケーションを重視。最近は、家事の合理化、家族の料理コミュニケーションに注目している。アウトドアとガジェットが好き。