
飲料
店頭とオンラインを繋ぐ。メルシャン2021年の取り組み
ここ数年、自然環境や人にやさしいエシカル消費、SDGsなど、社会貢献への関心が高まっています。そんな中、メルシャンでは「エシカル」をキーワードに地球や社会、お財布にも優しい高品質なオーガニックワインのプロモーション施策を強化。
施策を担当したクックパッドのディレクター大久保とともに、施策を生み出した背景とプロダクトへの想いについて、株式会社メルシャンの澁田氏に前後編の2回に渡ってお話をうかがいました。今回は後編をお届けします。
お話をうかがった方
メルシャン株式会社 マーケティング部
ブランドマネージャー
澁田 翔平 氏 (以下、敬称略)
クックパッド株式会社
ディレクター
大久保 亜季乃
難しいイメージのあるオーガニックワイン
ユーザーに自分ごと化してもらうには?
ー 前編ではオーガニックワインのプロモーション強化の背景やプロダクトへの想いについてうかがいました。今回は、具体的なプロモーション施策の内容や背景についてうかがいたいと思います。まずは今回、プロモーションのパートナーとしてクックパッドを選んでくださった理由について教えてください。
澁田:オーガニックワインには、「難しそう」「良さそうだけど、手を出しにくい」というイメージがありました。そうした中で、ワインが持つライフスタイルや食との結びつきの強さを軸にすると、広がりが出そうだなと。クックパッドは潜在顧客層の多くが知っていて、食との結びつきも強い。今回の施策にぴったりとマッチしていました。
クックパッドは料理レシピの投稿・検索サービスだけでなく、こだわり食材を購入できるクックパッドマートやクックパッドニュースなど、食を軸に幅広い活動をされています。また、「毎日の料理を楽しみにする」という企業ミッションに共感したというところも大きいですね。企画から1年がかりでやらせていただきました。
今回クックパッドと取り組んだものは、主に編集タイアップとクックパッドニュースでのPR記事作成、また商品にご共感いただいてクックパッドマートで商品を扱っていただきました。また、メルシャンのオーガニック商品には、連動していることの目印になるように首掛けPOPも作りました。
ー オーガニックワインの販促強化にあたり、クックパッドとしては店頭とオンラインの連動ということで、どのような点を意識しましたか?
大久保:そうですね。店頭とオンラインどちらも料理をベースにするという企画連動感は保ちつつ、それぞれのユーザーニーズが違うので、全く同じ切り口、コンテンツにならないように調整しました。ユーザーの気持ちの流れに添うような展開を意識しました。
例えば、店頭に来る方は購入目的を持って「どのワインにしようかな?」という気持ちで、ワインの前に立っています。そこで、それぞれのワインに首掛けPOPとワインに合うレシピを開発。店頭でアテンションとなるような、映えるレシピを意識しました。多種多様なワインが横並びになる中で、オーガニックワインを選んでいただく理由として、料理が寄与できればと。
一方で、クックパッドを見にくるユーザーの気持ちは「何かいいレシピないかな?」です。そもそもがお酒を想起していないんですね。こちらは作りたくなる、おいしそうなレシピをアテンションとして使い、「レシピがおいしそう」「この料理に合うワインがあるんだ」「オーガニックワインて流行ってるんだ」という気持ちの流れを設計しました。
さらに、少しでも自分ごと化してもらえるよう取り入れたのがチャート診断です。店頭でおすすめワインを紹介してもらう時の感覚を、タイアップページでも再現できないかと思い取り入れました。ユニークなのが料理視点でのチャートにしたことです。ワインの味でチャートを作るという方法もありましたが「この料理に合わせるなら‥」というメッセージにしたのはクックパッドらしい施策だと感じています。
ー チャートについては、大久保さんからの提案だったのでしょうか?
大久保:はい。オーガニックワインがずらりと並ぶタイトル周りから、レシピとワインのペアリングへの導線を考えた時に、何か間につなぐものがないとユーザーの気持ちが離れてしまうんじゃないかと思ったんです。「私だったらこのレシピとワインがいいな」と、気持ちが一歩入るようなものがあると、自分ごと化してコンテンツを見てもらうことができます。レシピとワインがペアリングとして提案される理由も生まれましたね。
アンバサダーの起用で、より身近に
ー 今回クックパッドユーザー2名をアンバサダーとして起用していました。ワインに対してどういった反応がみられましたか?
大久保:当初は、お二人とも「オーガニックってくせがありそう」というイメージを持っていたそうです。実際口にしてみると、「おいしくて飲みやすい」「料理に合わせやすい」という感想をいただきました。また、「今回初めてオーガニックワインという選択が、エシカルにつながるという視点を持った」という声もいただきました。エシカル消費が身近に感じられ、自分でも取り入れやすいと感じられたようです。
ー アンバサダーの起用をはじめ、編集タイアップの仕上がりについて澁田さんはどのように感じていますか?
澁田:こういった施策を展開する際、店頭だけで伝えられることはわずかですし、WEBだけでも情報が途切れ途切れになってしまいます。そこは長年の課題でもありました。こうした形でWEBと店頭がつながるような一連の流れとして展開できたのは、クックパッドだったからこそだと感じています。結果はこれからですが、やってよかったですね。
特に編集タイアップのページは社内のみで構成を練っていたら、チャートのアイデアは出てこなかったでしょう。料理というクックパッドらしい切り口から、ワインにつながっていく自然な流れ。ご提案いただいたことで、よりユーザーの気持ちに添ったコンテンツに仕上がったと感じています。
また、料理についてもリアリティのあるレシピをご提案いただきました。ワインに合わせる際にありがちなのが、「これ本当に家で作れるの?」「どこで食材が手に入るの?」という難易度の高いレシピになってしまうこと。今回ご提案いただいたレシピは、家族に喜ばれるおかずにもなりますし、旦那さんと飲むときのおつまみにも。あらゆるシーンにフィットする、身近だけどおしゃれ感が感じられる、絶妙なレシピになりました。
アンバサダーについても、ワインビギナーという本当のお客さまに近しいながらも、影響力のある方を起用いただいて。こちらが欲しいと思っていたコメントを素直にいただけたのはうれしいですね。
クックパッドの特性にフィットした設計で効果を最大化
ー 今回の施策では、クックパッドマートやクックパッドニュースとの連動もあります。新しい座組みでの設計となりましたが気をつけた点などありますか?
大久保:「オーガニックワインを身近に感じてもらう」という最終目標への効果を最大化するため、媒体ごとのユーザーニーズに合わせた切り口で編集したことです。
クックパッドニュース、クックパッドマートそれぞれで、集っているユーザーのニーズが異なります。媒体特性を考え、それぞれのトンマナや情報量の調整、どこにフォーカスするかなども変えました。
クックパッドニュースの場合、「食にまつわる新しい何かを知りたい」という人が集まるので、オーガニックワイン自体にフォーカスしたコンテンツにしました。さらに、オーガニックワインの知識を得ると「どんな味なんだろう?」というニーズが生まれます。主力商品の「メスタ」シリーズにフォーカスし、知識だけでなく味も伝えるという工夫をしています。
一方で、マートに集うのは「こだわり食材を買いたい人」です。おつまみなどと関連販売する際、オーガニックワインにマッチするよう、マート側でも環境への意識や商品への想いがある企業・生産者さんをピックアップしています。熱量のある生産者さんがつながることで、ひとつの大きなメッセージとなります。持続可能な食領域、毎日の食事を楽しみにするというメッセージを伝えていくよう意識しました。
ー 最後に今回の施策を通じて、今後検討している施策や取り組みがあったらぜひ教えてください。
澁田:そうですね。今後もオーガニックワインの魅力をどう伝えていくかが課題になってくると思います。人と地球に配慮したワインであったりエシカルというメッセージを伝えていくにあたり、どういった方々と手を取り合っていくかは非常に重要です。お互いの理念に共感し、サステナブルな関係を構築していくことが、ワインのおいしい未来をつくることにも繋がるのかと。
今後のアクションについては、現在検討しているところですが、これからも熱意ある生産者が造る良質なワインをお客さまにとって身近な存在になるようにお届けしていきたいですね。
前編の記事はこちら
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