[フードテックベンチャーデー]イベントレポvol.1

[フードテックベンチャーデー]イベントレポvol.1

2021年9月9日、世界の食に貢献する革新的な技術や事業アイデアをもった日本のパイオニアプレイヤーがプレゼンテーション、議論を繰り広げるオンラインイベント「Foodtech Venture Day - World Food Forum Masterclass edition - Japan」が開催されました。本イベントのメディアパートナーであるFoodClipでは、イベントに参加できなかった方に向けて、イベントの概要をお伝えしていきます。

はじめに:Foodtech Venture Day とは?

本イベントは、国連食糧農業機関(FAO)のユース委員会が主催するWorld Food Forum(WFF)と、スマートキッチン・サミット・ジャパンなどを主催する株式会社シグマクシスとのコラボレーションによるイベントで、2021年で5回目の開催となります。

2021年のイベント開催概要

● 日時:2021年 9月9日 (木) 午後4:00-午後7:30 (ネットワーキング含む)
● 言語:日本語 (日英同時通訳あり)
● 開催方法:オンライン (Zoom Webinar)
● 参加費:無料
● 主催:株式会社シグマクシス、株式会社リバネス
● 企画協力:国連食糧農業機関(FAO), Future Food Institute
● メディアパートナー:FoodClip

イベント構成

1.オープニングトーク
●株式会社シグマクシス:田中 宏隆 氏 / 「本イベントの趣旨&食の進化の最前線」
●株式会社リバネス:塚田 周平 氏 / 「日本の科学技術力×食~無限の可能性」
●国連食糧農業機関(FAO):Beth Bechdol氏 / 「日本発フードテックへの期待」
●Future Food Institute:Sara Roversi 氏 / 「日本が持つ可能性~Unlocking Potentials from JAPAN」

2.フードイノベイション・パイオニアプレイヤー・ピッチ
●ベースフード株式会社:橋本 舜氏
●株式会社ユーグレナ:鈴木 健吾氏
●株式会社プランテックス:山田 耕資氏
●インテグリカルチャー株式会社:羽生 雄毅氏
●株式会社SynecO:舩橋 真俊氏
●株式会社ファーメンステーション:酒井 里奈氏
●ギフモ株式会社:森實 将氏

3.パネルディスカッション
【モデレータ】
●株式会社シグマクシス:田中 宏隆 氏
●株式会社リバネス:塚田 周平 氏

[テーマ]
日本発パイオニアが創り出すより良い未来ーグローバルイシューの日本型解決アプローチ

1.オープニングトーク詳細:
食の課題解決と多様な価値の解放で
よりよい未来づくりへ

株式会社シグマクシス:田中 宏隆 氏

11314_image01.jpg

私たちシグマクシスは、4年前に「食&料理×サイエンス・テクノロジー」をテーマにしたスマートキッチン・サミット・ジャパンというイベントを立ち上げ、さまざまな企業の方々と食のイノベーションに取り組んでいます。世界中のイノベーターとのコラボレーションで「新しい食の未来を作る」ことを目指しています。

このFoodtech Venture Day - World Food Forum Masterclass edition - Japan(以下、フードテックベンチャーデイ)」では、「地球と個々人を笑顔にし続け、あらゆる人々が豊かな生活を送ることができる世界を創る」ことを志として掲げています。しかしながら現在、食品ロス、フードデザート、プロテインクライシスなど、食によって引き起こされている社会課題が多くあります。
また、食品産業が1000兆円の価値を生み出している裏側で1200兆円の隠れたコストがあり、このままだと地球が持たなくなるともわれ、さまざまな動きが出てきています。問題なのは、価値を生み出す人と、コストを負担している人が別々だということ。これからは企業と企業が手を取り合って解決していく必要性があると強く感じたことが、このフードテックベンチャーデイという場を立ち上げた理由のひとつです。

一方で、社会課題だけではなく、ライフスタイルの実現や幸福度の追求をしていくなかで、食には多様な価値があると考えています。我々が実施した調査でも、食にはロングテールニーズがあり、異なる国であっても食の価値はまだ伸ばせると考えています。社会課題を解きつつも食の多様な価値を解放することで、より良い世界を作っていきたいというのが、本イベントの目指すところです。

過去4回にわたるフードテックベンチャーデイは、第1回目が10社による登壇、第2回目は食品ロス、第3回目はキッチンのなかでのライフスタイルの変化、第4回目は味や栄養の可視化、をテーマにしてきました。今回の第5回目は「Food system transformers from Japan」と題して、7社に登壇いただきます。このイベントを通して、参加企業の志や情熱を感じて、新しいビジネスの繋がりや仲間をもっていけたらと思っています。

日本が持つ科学技術力は
食の分野で大きな可能性がある

株式会社リバネス:塚田 周平 氏

11314_image02.jpg

リバネスは、15名の理工系大学生・大学院生が2002年に設立した企業で、子どもに向けた最先端の科学教育、研究者の育成、研究者へのファンディング、研究開発型ベンチャーの創出育成をしています。社員は全員が修士または博士号を有しており、いろいろな専門分野を持って、世界の課題解決をしたいという人間が集まっています。

私は大学の博士課程で、環境に負荷がない農業をテーマに根粒菌とセスバニアというマメ科の植物の共生を研究をしていました。学生時代から当社に関わっており、その後正式に社員として加わり、植物工場を作ったり、アップサイクル系の食料生産の研究やビジネスもやってきました。

そうした中で特に私自身、食や農業生産に関する研究をしている大学の研究者たちとのネットワークを作ってきて、それを新たなビジネスとして取り組むベンチャー企業とコミュニケーションを取ってきました。その中で日本にはポテンシャルがあると感じています。その理由は、日本には「あらゆる分野で先進的な研究の蓄積、研究ができる機関や設備」「日本のモノづくりのノウハウ」「高齢化、過疎化など課題の先進国である」といったアセットがあるからです。これらを食の分野に向けていくことで、今後大きな可能性があるのではないか考えています。


国連食糧農業機関(FAO):Beth Bechdol氏

11314_image03.jpg

私は、国連食糧農業機関(以下、FAO)は、飢餓ゼロ、食の安全、栄養の改善を目指す国際機関です。今回は、食、農業、それに関するさまざまな革新的なアイデアを持つ若い日本のベンチャー企業の方々からから色々なお話を聞きたいと思い参加しています。また、FAOはこのフードテックベンチャーデイを全力でサポートしていきたいと考えています。世界中の人が健康で充実した生活を送るためには、イノベーションと科学技術、創造力、パートナーシップが不可欠です。
日本のテックイノベーターたちが、いかにしてグローバルな課題に取り組んでいるのか、健康、栄養、食の文化において何を達成しようとしているのかを知り、共にイノベーションの強化、食の未来の改善に取り組んでいきたいと思っています。
さらに、民間事業者とのパートナーシップは極めて重要と考えます。さきほど田中様がおっしゃったように、健康な食生活はとても重要なテーマです。今、世界の人口の約三分の一の人が、栄養面、食料面における貧困な食生活による健康被害を受けており、それが社会的・経済的格差に繋がっています。食は社会的弱者や貧しい国に大きな影響を及ぼし経済的にも大きな影響を与えます。
よりよい食の未来のためにイノベーションはカギだと思っています。今日集まっているような次世代のリーダーたちには、最先端のイノベーションのスタートアップとして、この領域に貢献し新たな革新的な農業の領域を築いていってほしいと願います。

また、FAOは単にイノベーションを使うだけでなく、女性を主体とした雇用、社会における女性活躍推進についても図っていきたいと考えています。ジェンダー格差という領域にも踏み込んでいきたいと考えています。
本イベントをはじめ、これからさまざまな食のイベントが控えています。それらのイベントを通じ、私たちの食が目指す、グローバルな目標、持続可能な農業食料システム全体において、誰一人取り残さないようにするために、「より良い生産、より良い栄養、より良い環境、より良い生活*」を皆さんと協力しながら実現していきたいと思います。
*FAO's Strategic Narrative: Better Production, Better Nutrition, a Better Environment, and a Better Life – and leaving no one behind.

日本の持つ伝統的な知見とアイデアから
形あるソリューションを

Future Food Institute:Sara Roversi 氏

11314_image04.jpg

近年、私たちは気候変動問題、食物連鎖、食品ロスなど、食に関わるさまざまなパラドックスを目の当たりにし、コロナのパンデミックで、優先順位、健康、食の重要性、食の役割について深く考えるようになりました。さらにもう一歩踏み込んだ、食の安全性、透明性、リスクはどうか、こうした技術は数か月間で加速度的に発展してきています。

食はすべてのSDGs、地球や社会の方向性と繋がっている要素のひとつです。そこで、海洋をどう守っていくのか、農業をどう進めていくのかといったソリューションを打ち出してく必要があります。これまでは教育の現場では、「産業界のニーズは何か」を教えてきました。その後、デザインシンキングの発想が生まれ、「人が求めるものを作っていく」という時代になりました。そして今、人間が直面している課題に対し、さらなるアプローチが必要になっています。
それが、地球を一つとして考える繁栄のアプローチです。すべてのビジネスやイノベーション、技術開発において、『危機に晒されている命をどう守っていくか』という意識改革の段階に来ていると思うのです。

そこで我々Future Food Instituteは、教育を中心おいたアプローチに重きを置いて活動しています。本当の意味で世界を変えていくためには、思考や知識だけではなく、コミュニティに関わって自ら実践して、行動を起こしていくことが大切です。そこで教育というのはとても重要だと考えています。

また、食の世界で変革を起こすためには、複数の世代の経験を融合させ、ダイバーシティを重んじるべきです。日本には多くの伝統的な知識や知見、技術、コミュニティがあり、さまざまなチャンスが眠っています。新しいものと古いものを融合させ、未来へと発展させていくことが大事です。
食はすべての中核。アイデアと共有して、止むことなく挑戦し、一緒に素敵な食のシステムを構築していきましょう。行動に繋がるような「形あるソリューション」をとても楽しみにしています。

イベントレポート次回は
「フードイノベイション・パイオニアプレイヤー・ピッチ」

11314_image05.jpg

次回は「フードイノベイション・パイオニアプレイヤー・ピッチ」パートをレポートします。クックパッド株式会社の住 朋享がモデレーターとなり、農業、食、エネルギーの3つのテーマを軸に、日本発のパイオニアプレイヤー7社のプレゼンテーションの概要をご紹介します。どうぞお楽しみに!



writing support:Miyuki Yajima



 

この記事が気に入ったらフォロー

ニュースレター登録で最新情報をお届けします!





著者情報

著者アイコン
FoodClip
「食マーケティングの解像度をあげる」をコンセプトに、市場の動向やトレンドを発信する専門メディア。月1-2回配信されるスロー・ニュースレターにぜひご登録ください。