フードマイレージを考える。日本の現状と解決策とは

フードマイレージを考える。日本の現状と解決策とは

「フードマイレージ」という言葉を耳にしたことはありますか? 食料の重さに輸送距離をかけたもので、数値が大きくなるほど環境への負荷が高くなります。日本はフードマイレージの数値が世界一高い国。他国以上に考えていかなければならない、フードマイレージが及ぼす影響や今後の対策について、解説していきます。

フードマイレージ(フードマイル)とは

フードマイレージとは、「食料が生活者の手元に届くまでに、どのくらいの距離がかかったかを計る指標」のことです。輸送量×距離を掛け合わせて算出され、数字が大きいほど、遠くから輸送されてきたということになります。

フードマイレージという考え方の起源

フードマイレージは、イギリスの消費者運動家 ティム・ラング氏が提唱したフードマイル (food miles) の概念が元になっています。これは「生産地から食卓に届くまでの距離が短い食料を食べたほうが、環境負荷が少ない」という考え方です。

1990年代にイギリスの非政府団体サステインが中心となって、「フード・マイルズ運動」という市民運動が始まり、展開されていきました。できるだけ近くで獲れた食料を取り入れることで、二酸化炭素の排出量を抑えていくことを目指しており、日本の地産地消にも通じるコンセプトです。

日本では、これを「食の安定供給、安全性の確保」、 「『食』と『農』の間の距離の計測」、「 食料の輸入が地球環境に与える負荷の把握」を目的に、農林水産省農林水産政策研究所が「フード・マイレージ」として提案しています。

フードマイレージの計算方法

フードマイレージは、食料の総輸送量×輸送距離で算出されます。単位は、t(トン)、またはkm(キロメートル)で表します。この数値をもとに、二酸化炭素排出量を計算し、環境負荷を定量的に計ることができます。

フードマイレージの数値が
高いことによる問題点

フードマイレージの数値が高くなると、単純に食料が運ばれる距離も長くなります。輸送に関わるエネルギーや燃料の使用が増え、二酸化炭素の排出量も増加。環境汚染、地球温暖化の加速につながるという点が問題視されています。


11802_image01.jpg

日本でのフードマイレージの現状
高数値になる3つの理由

世界で最もフードマイレージの数値が高い日本。高数値には3つの理由があります。

理由1:多くの食料を輸入に頼っている
日本は、現在食料の約60%を外国からの輸入でまかなっています。気候変動による農作物の不作や、流通の障害など、海外の農地や生産者からの供給が難しくなれば、日本の食生活は一気に危機的状況に追い込まれてしまいます。

理由2:食料自給率の低さ
1965年頃と比較すると、日本の食料自給率はカロリーベースで73%から37%へと、半分近くまで落ち込んでいます。これには食の欧米化も大きく影響しています。海外で生産される食料が好まれるようになり、それにともなって農業に従事する人も減少してきました。

理由3:地理的な問題
島国である日本は、陸続きではないため、必ず輸送距離が長くなってしまいます。フードマイレージは、数値の算出に輸送距離が関わるため、日本の数値が高くなるのです。

フードマイレージ解決の糸口は

フードマイレージを解決するにはどうしたら良いのでしょう。簡単ではありませんが、企業、個人それぞれで取り組めることがあります。

企業としては、できるだけ国内生産の原料を取り扱うようにする、地産地消に積極的に取り組むことです。企業単位で国内生産の需要を大きく上げていくことが、結果的に生産者を増やし、食料自給率アップにもつながります。また、企業が原料の生産から一貫した生産体制を構築していくことも解決策のひとつです。

生活者個人にできることは、食品を購入する際に国内産のものや、地元で採れた食材を優先して選ぶことです。食料自給率が比較的高い米や野菜、魚などの食品をメニューに取り入れたり、家庭菜園などを利用するのも有効です。小さな日々の積み重ねが、解決の糸口を見出していくことに繋がります。

フードマイレージから見つめ直す食のあり方

フードマイレージは、食料による環境負荷を試算する一つの指標ですが、課題もあります。輸送距離にフォーカスしているため、輸送手段や食料の栽培方法による二酸化炭素排出量の違いについては考慮されていません。また、生産や消費、廃棄面での環境負荷や、地産地消であっても露地栽培かハウス栽培かによるエネルギー消費の違いもあります。国内生産に焦点をあてると、コストアップなどデメリットになる場合もあり、単純にフードマイレージの数値だけでは判断できないケースは多岐に渡ります。

一方で、食料輸送距離が長く、食料の輸送量が多くなるほど、エネルギー消費や二酸化炭素排出量が多くなることは事実です。フードマイレージは重要な指標の一つとして、他のさまざまな要素と掛け合わせていくことで、食を取り巻く課題解決に繋がるのではないでしょうか。

日本の豊かな食生活は、こうしたさまざまな問題のもとに成り立っています。身近にできることから、環境にやさしい食生活を目指していくことが持続可能な食の未来に繋がっていくのではないでしょうか。



writing support:Miyuki Yajima



この記事が気に入ったらフォロー

ニュースレター登録で最新情報をお届けします!





著者情報

著者アイコン
FoodClip
「食マーケティングの解像度をあげる」をコンセプトに、市場の動向やトレンドを発信する専門メディア。月1-2回配信されるスロー・ニュースレターにぜひご登録ください。