【レポート】独自の発展と価値創造が進むクラフトビール

【レポート】独自の発展と価値創造が進むクラフトビール

2021年10月13日〜15日に幕張メッセで行われたフードテックジャパン(主催:RX Japan株式会社)では、小規模醸造の対応が可能なクラフトビール製造設備に関する展示がありました。また、同時開催されたドリンクジャパンでは、2020年11月に引き続き「クラフトビール フォーラム」を実施。大量製造とは違う、街に根付いた独自の文化を形成するクラフトビールブームは、盛り上がりを見せています。飲食店の差別化要素としても、注目のトピックであるクラフトビール。展示やセミナーの模様を一部ご紹介します。

盛り上がりを見せていた
小規模酒類醸造設備・クラフトビール

2021年10月13日より行われたフードテックジャパンおよび、同時開催されたドリンクジャパン(主催:RX Japan株式会社)では、食品製造機械や包装資材、食品原料、ロボット活用など幅広い分野の最新技術が紹介されていました。

ドリンクジャパンで数多く見られたのは、飲食店向けの小規模酒類醸造の設備展示。とりわけ、ビール醸造設備については前回2020年の開催に続き、セミナー会場で「クラフトビールフォーラム」として複数の講演が実施され、展示も非常に目立つ形で行われていました。


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コトブキテレックス株式会社の展示の様子

飲食店の付加価値創出に。
醸造研修や管理支援も

根強い人気を集めるクラフトビール。地ビールだけでなく、ブリューパブなどの飲食店が独自の銘柄開発を行い、ブランドの付加価値向上につなげている事例も多くなっています。

株式会社一ノ瀬では、300リットルの小規模醸造から対応が可能な醸造システムを提供。設備だけでなく、免許取得から醸造指導までサポートしています。ブルワリー向けのビア樽クラウドも提供するなど、事業をはじめたい方に向けトータルサポートが可能なことをアピールしていました。


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株式株式一ノ瀬の展示の様子

「街」を起点に独自の文化を生む
クラフトビールの価値

セミナー会場では「クラフトビールフォーラム」として、「舞浜地ビール工房」を提供する株式会社イクスピアリや、立ち上げから300種類のビールを生み出している株式会社ワイマーケットなど、クラフトビール醸造事業を牽引するメーカー・企業による、6つの講演が行われました。

なかでも注目だったのが、株式会社SAKE-YA JAPANの創業者 能村夏丘さんによるセミナー。2010年の「高円寺麦酒工房」開業以来、「街のビール屋さん」をコンセプトにしたブリューパブ(醸造所併設飲食店)を都内に多店舗展開しています。開業からここまでの経緯や、事業を続けていく過程での小規模醸造の難しさ、特性などが語られました。


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高円寺麦酒工房


大手飲料メーカーにより安定した生産量と品質のビールが提供されている中、特定の街で「飲食・醸造・小売」のハイブリット展開を行う、ブリューパブの価値はどこにあるのでしょう。能村さんは、街で作っているものと同じレシピで複数の場所で醸造したところ、味が一定に保てなかった経験などを交えながらセミナーを展開。「量産」の難しさにこそ、「街のために作る特別なビール」として、価値の本質があると語っていたのが印象的でした。

生活者の消費行動や、飲食店の業態・提供価値が多様化するなかで、独自の文化を醸成するクラフトビール。その可能性に引き続き注目です。



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著者情報

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ヒガシナオキ
BtoB向けWebメディアを運営する会社に新卒で入社し、大手IT企業のメディアを使ったマーケティング支援に携わる。

2019年、クックパッドに法人向けサービスの営業として入社し、社内の営業管理やマーケ施策を並行して推進する中で「FoodClip」の立ち上げに関わり、2020年よりマーケティング専任に。
FoodClipでの担当領域はマーケティング・フードテック周辺。
休日は劇団をやっています。
https://twitter.com/nao181715