
食トレンド
レンズ豆は日本で定着するか。海外では定番のタンパク源
平たく盛り上がった形が特徴的なレンズ豆。日本では大豆など他の豆類に比べ、あまり馴染みがありませんが、カナダやインドなど諸外国ではポピュラーな豆の一種です。どのような栄養価があり、どんな料理に使えるのか、その魅力に迫ります。
レンズ豆とは
レンズ豆とは、マメ科ヒラマメ属の植物の実の部分のことです。
日本では扁豆(ヒラマメ)、英語ではレンティル(lentil)といい、原産はメソポタミア地域※です。
主に皮付きの褐色をしている茶レンズ豆(ブラウンレンティル)と、皮なしの赤橙色をしている赤レンズ豆(レッドレンティル)の2種類です。
インド、ネパール、イタリア、フランスなど海外では、ごく一般的に使われており、栄養価が高いことからベジタリアンやヴィーガンの人たちからも人気があります。
ちなみにカメラのレンズなど、光学用途で使われる「レンズ」という言葉は、レンズ豆からとったもの。凸レンズがレンズ豆の形に似ていることから名付けられたといいます。
※チグリス川とユーフラテス川にはさまれた地域。現在のイラク周辺
トレンドの予感。レンズ豆5つの魅力
レンズ豆は、日本ではまだ定番食材にはなっていませんが、今後のトレンド食材として注目すべき魅力がたくさんあります。
レンズ豆の魅力1:世界五大健康食品のひとつ
レンズ豆は世界五大健康食品のひとつとされるほど、栄養価があって健康的な食材です。
世界五大健康食品とは、2006年にアメリカの健康専門誌「ヘルス」が、健康に優れた効果があると掲載したもの。インドのレンズ豆に加え、日本の大豆、韓国のキムチ、スペインのオリーブ油、ギリシャのヨーグルトが選定されています。
レンズ豆の魅力2:栄養豊富でグルテンフリー
レンズ豆にはタンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など豊富な栄養が含まれています。特に、鉄の含有量は豆類の中でもトップクラス。現代人に不足しがちな栄養素を補うには、ぴったりの食材なのです。グルテンフリーなので、グルテン不耐性など多様なバックグラウンドを持つ人が安心して取り入れられるのも魅力です。
レンズ豆の魅力3:低カロリーでダイエット&アンチエイジングに
レンズ豆はカロリーや脂質が低く、ダイエットを意識する人にとっても注目の存在。美肌効果や疲労回復に繋がるビタミンB群が多く含まれているので、美容意識の高い人は積極的にとっていきたい食材です。
レンズ豆の魅力4:さまざまな料理に使えて長期保存可能
レンズ豆は風味や食感が良いことから、サラダやカレーをはじめ、スープなど、さまざまな料理に活用できます。また乾燥タイプのものが多く、長期保存が可能。買い置き食材としてもオススメでいざという時の非常食にも。
レンズ豆の魅力5:水戻し不要な時短食材
レンズ豆は乾燥豆ですが、水戻しなど下準備が不要ですぐに調理できるのも魅力です。薄い形状なので火も通りやすく、時短調理に活躍する食材です。
海外では食卓の定番であるレンズ豆。
どんな料理がある?
海外の食卓では、定番食材のレンズ豆。イタリアやハンガリーなど、縁起物としてとらえている国もあります。各国の代表的なレンズ豆料理をいくつかご紹介します。
インドやネパール
宗教などの関係からベジタリアンやヴィーガンの多いインドやネパール。レンズ豆は肉に代わるタンパク源として、非常に重要な食材です。カレーやスープ、煮込み料理などさまざまな料理に使われています。
以前、FoodClipで紹介したダル(ダルカレー)にも、レンズ豆は定番食材として使われています。
イタリア
イタリアでは、レンズ豆の煮込み(スープ)は年越し料理の定番。その形状がコインに似ていて、さらに水を含むと倍に膨れることから、縁起物=金運アップのラッキーフードになっているのだそうです。
フランス
フランスでは、プティ・サレにレンズ豆が用いられます。プティ・サレとは、直訳すると豚肉の塩漬けのこと。多くの場合、この肉をレンズ豆と一緒に煮たフレンチ定番の煮込み料理のことを指します。豚肉の旨味をたっぷりと吸い込んだレンズ豆がおいしく、身体にやさしいレシピです。
トルコ
トルコでは、メルジメッキ・チョルパスというレンズ豆のポタージュスープが代表的な料理です。日本でいうみそ汁のような、トルコの人たちにとってのソウルフードです。レンズ豆の風味を存分に味わえるとあって、一度食べると虜になってしまう人もいるそうです。
クックパッドの人気レンズ豆レシピ4選
クックパッドでの検索傾向を見てみると、レンズ豆を含んだキーワードは年々上昇中です。おもに、スープ、カレー、サラダ、煮込みとの組み合わせた検索が人気となっています。
スウェーデン・レンズ豆のスープ by うさぎのシーマさん
https://cookpad.com/recipe/1192653
冬が長い北欧スウェーデンで古くから食べられている
栄養たっぷりの豆のスープ。
「木曜日は豆スープの日」として作る家庭も多いのだそうです。
レンズ豆のほくほくカレー by キャラメリーナさん
https://cookpad.com/recipe/534208
インドでよく食べられているレンズ豆はカレーとの相性がぴったり。
ボリュームたっぷりながらあっさり味。
満足度の高いカレーです。
キヌアとレンズ豆の地中海風サラダ by Hoinkさん
https://cookpad.com/recipe/2065547
キヌアやレンズ豆の食感が楽しくスーパーフードたっぷり。
栄養満点のサラダレシピです。
レンズ豆とソーセージの煮込み by KT121さん
https://cookpad.com/recipe/360900
レンズ豆とソーセージ、野菜、ハーブを
一緒に煮込むだけの簡単レシピ。
レンズ豆のほっくり食感が味わえるのは煮込み料理ならでは。
選択肢広がる植物性タンパク質
昨今のプロテインブームの中、ヘルシーで環境にも優しい選択肢として、注目されている植物性タンパク質。タンパク質は身体を作るために必要不可欠な栄養素です。日本人はもともと、穀類や豆類などを主要なタンパク源とする食生活を送っていた民族であることから、植物性食品は取り入れやすい食材でもあります。
特にレンズ豆は、栄養価、味、調理しやすさなど、さまざまな面から取り入れやすい食材です。これまで、植物性タンパク質といえば大豆が代表格でしたが、レンズ豆は新たな選択肢として、これから注目されていくのではないでしょうか。アメリカのスターバックスでは、一部店舗でレンズ豆製のヴィーガン・ホイップクリームを試験中。ヴィーガンやベジタリアンをはじめ、さまざまなライフスタイルの人に親しまれる食材になっていきそうです。
writing support:Miyuki Yajima
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