シェアトップ!味の素冷凍食品「ギョーザ」永久改良の極意

シェアトップ!味の素冷凍食品「ギョーザ」永久改良の極意

冷凍餃子は冷凍食品のエントリー商品として、これまで首位を守り続けていた冷凍うどんをしのいで一位を獲得しました。そんな折、味の素冷凍食品の看板商品でもある「ギョーザ」がリニューアル。首位を走る冷凍餃子の永久改良を続ける理由と絶対に変えないポイントをお聞きしました。


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味の素冷凍食品の「ギョーザ」は、味の素の冷凍食品第1弾として1972年に誕生し、もうすぐ50周年を迎えます。1997年には油なしでパリッと焼けるようになり、2012年には油・水不要で羽根つきで焼ける仕様に。永久改良を掲げ、毎年のようにリニューアルを重ねています。2021年秋には豚肉を1.5倍に増量し、更にジューシーな味わいになり好評を博しています。同商品は2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村でも話題をさらい、世界から注目を集めました。

お話を伺った方

味の素冷凍食品(株)ギョーザ担当
谷 隆治 氏

18年連続売上1位(※)でも
永久改良する理由

※冷凍食品の単品売上において単品売上18年連続売上1位。
2003 年度~2020 年度、市販用冷凍食品単品売上金額ベース、味の素冷凍食品(株)調べ


ーー永久改良を掲げる本商品ですが、今回は何度目の改良にあたるのでしょうか。

「ギョーザ」はもうすぐ50周年を迎えます。小さな改良を含めると50回はゆうに超え、毎年1回ほどのペースで商品改良をおこなっている計算になります。


ーーすごい数ですね。

永久改良を掲げ、食材のこだわりや商品の改良を発信し始めたのは、食の安全安心が注目され、冷凍食品が多様化しだした2000年以降ですが、それ以前からコンスタントに改良を続けてきました。


ーー冷凍餃子のシェアNo.1を誇る商品で、ここまで改良を重ねるのはなぜなのでしょう。

おいしさにはゴールがないですからね。私をはじめ、ギョーザチームが「我々のギョーザははもっとおいしくなるポテンシャルがある」と信じていることは大きいと思います。
また、食の嗜好は時代が変わるにつれ変化していくもの。現状に甘んじて私たちの作る餃子のおいしさに驚きがなくなると、お客様からも飽きられてしまいます。常に改良ポイントを探しつつ、その時点で最高のものを作り続けていくのが、大切だと考えています。


ーー改良によって、おいしさの最高値をどんどん更新しているのですね。リニューアルされた「ギョーザ」を食べてみたのですが、味わいが大幅に改良されていて、これはチャレンジだなと思いました。

今回は味の根幹に関わる部分を少し大胆に変えたので、チーム内でもどこまで味を変えるのかは、かなり議論しました。今までも世の中の食の嗜好の変化を捉えて、「ギョーザ」の皮を薄皮に調整するチャレンジはありましたし、こういった大きなチャレンジだからこそ大きくジャンプアップできたと思っています。


ーー改良するときの指標はどのように決めたのでしょうか?

チームで外食店も含めておいしい餃子を調査し、味わいをマッピングして検討しました。メンバーは全員プロとしての意識が高く、毎回のように熱い議論が巻き起こり、会議が長引くことも多々あります。それだけギョーザへの愛が強いというか。まとめるのは大変なのですが、不思議と全員が共通する部分はあるんですよね。

今回はおよそ1年半前くらいから改良の構想を練りはじめ、2つの指標を定めました。1つめは、私たちがおいしいと感じた餃子の共通点でもある、噛むほどに感じるジューシーな味わい。2つめは、肉や野菜の自然な甘みやうま味を引き出すことです。
ジューシー感をアップさせるために豚肉を1.5倍(※)に増量し、素材本来のおいしさを感じていただけるよう調味料の配合も調整しました。

※従来品比


ーー改良とはいえ、ここまで変えるのは不安ではなかったですか?

従来品も「この味が大好き」と支持してくださるお客さまがたくさんいるので、勇気が必要でした。たださらにおいしくなったと言ってもらえると確信していたので、発売に踏み切りました。本音はお客様の声を聞くまでドキドキでしたが、大変好評をいただいておりホッとしています。

変わらない「焼く」ひと手間

ーーSNSの反応などをみても、ジューシー感など改良されたポイントが明確にお客さまに伝わっている感じがしました。こうした改良を重ねる中で、商品の軸がブレてしまう懸念もあると思うのですが、絶対に変えないと決めているポイントはありますか?

餃子は国民食ともいえるメニューで、お子さまからお年寄りの方まで愛されるようなものでありたいと考えています。「ギョーザ」は皆さんに愛される「ど真ん中のおいしさ」を常に追求するというのが、私たちの共通認識です。食卓のおかずとしてご飯に合うことや、食べ飽きないような味わいは絶対条件。極端に味わいを変えたり、ターゲットを絞ったりはしません。あとは、国産材料にもこだわっています。小麦粉も特定のブランドを使用し、野菜は季節に応じておいしいものが手に入るよう産地を変えています。素材選びはおいしさに直結するので、ここも変わらないポイントですね。


ーー目指す味わいと素材へのこだわりは、ブレないのですね。

はい。またこの「ギョーザ」だけは発売当初から「焼く」ことは変えていません。冷凍食品は電子レンジの普及とともに伸びてきたカテゴリーで、簡単にチンしてできますというのが最大の特徴といわれてきましたが、「ギョーザ」は一番おいしい状態を食べていただくために焼くステップが非常に重要です。


ーー確かに、パリッ ジュワーの味わいは焼くひと手間があってこそです。フライパンから取り出したときに綺麗な焼き目ができると歓声が上がりますよね。

油・水不要で誰でも簡単においしい焼き目とパリッパリの羽根が作れて、焼くことを手間に感じさせないというのは、かなり研究を重ねたところです。焼く工程があることにより食卓に出すときの罪悪感も取り払われ、最大限のおいしさを感じてもらうのにも一役買っています。

2020年度に初めて冷凍食品のファーストエントリーで餃子が1位になったのは、我々にとって大きなニュースでした。コロナ禍で冷凍餃子が非常に伸びたのも、フライパンで調理するひと手間が冷凍食品を買うときのハードルを下げていることがひとつの要因だと捉えています。おかげさまで冷凍餃子で冷凍食品の進化を味わっていただき、その後ハンバーグや唐揚げなど他のメニューも手に取ってくださるお客さまも多くいらっしゃいましたね。内食の比率が上がり家事の負担が高まる中で、冷凍食品の価値全体を上げていくような取り組みを続けたいと思っています。

ギョーザ愛と熱量で国境をまたぐ

ーーこれまで冷凍食品を取り扱ってこられた歴史や技術力はもちろんですが、開発担当者として冷凍餃子のシェアNo.1の理由はどういうところにあると思われますか?

抽象的になってしまうのですが、「ギョーザでたくさんの人を笑顔にしたい」をチームの総意として強く持って、走り続けているのが一番の理由だと思います。


ーーお話を伺っていて、随所にギョーザへの愛を感じます。冒頭でも、「ギョーザ」のポテンシャルを信じているとおっしゃっていましたね。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村のムーブメントにも通ずるところがありそうです。

スポンサー企業として、リオなどこれまで2020年東京オリンピック大会を紹介するブースで焼き餃子の提案はおこなっていたのですが、今回は食堂のメニューとして提供しました。基本的に食堂内の撮影はできないですし、パッケージが表に出るわけでもありませんから、我々としては「ギョーザを食べていただいて喜んでもらえたらいいよね」と考えていました。アメリカの選手がSNSに投稿して、メディアの方から問い合わせいただいて、ワーッと広まって……。思わぬ反響をいただいて嬉しかったですね。


ーーコロナなどの暗いニュースが多い中で、明るいトピックでした。冷凍餃子をいつも買っていることもあり、誇らしくも思いました。今後、海外へも冷凍餃子が広がっていきそうですね。

ジャパニーズスタイルの焼きギョーザは10年以上前から、海外の現地で生産・販売をしていて、今まさに徐々に拡大してるところです。我々は日本食がユネスコ無形文化遺産になったころから、ある意味ギョーザもそのひとつだと捉えていて、ラーメンや寿司に続いて、次はギョーザ!との想いで活動しています。日本語の「gyoza」という言葉が現地でも通じるようになってきていて、今回も選手の投稿も「gyoza」の表記で投稿されていました。日本食人気を受けながら、現地の食文化に合わせて展開していきたいと考えています。

日本では引き続き、「ギョーザ」でど真ん中のおいしさを追求しながらも、皆さんの多様なニーズに答えられるような商品も拡充させていきます。例えば、今回、同じタイミングでリニューアルした「生姜好きのためのギョーザ」はより生姜の味わいを強くしました。鹿児島県産黒豚100%(※)使用した新発売の「黒豚大餃子」はあふれんばかりの肉汁をもっちり厚皮で包み、大粒で食べ応え抜群ですし、一部地域限定で発売していた電子レンジで調理が可能あ「レンジで焼ギョーザ」も好評につき、全国で販売開始しました。

※お肉に使用している黒豚の割合


まだまだ、ギョーザでできることがたくさんあると思っているので、これからも開発の手を緩めることなく進んでいきたいですね。



writing support:Akira Fukui



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