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大流行のイカゲームと中国で盛り上がる“型抜きビジネス”
Netflix配信の韓国ドラマ「イカゲーム」は、世界約80ヶ国以上で視聴回数1位を獲得し、大きな反響を呼びました。その影響から各国でブームとなっているのが「ダルゴナ」と呼ばれる砂糖菓子を用いた型抜きゲームです。中国も例にもれず型抜きブームが到来しています。本記事では「イカゲーム」がもたらした中国の砂糖菓子ビジネスについてご紹介します。
イカゲームとは
多額の賞金を懸け命がけのゲームに挑む、Netflix配信のバトルロワイヤル作品です。ゲームは主に昔懐かしい遊びを題材にしており、その一つとして「タルゴナの型抜き」が登場。丸い缶の中に入れられた丸・三角・星・傘の4つの型が刻まれたダルゴナを、時間制限内に針で切り取るというものです。
型抜きとは
型抜きとは、砂糖菓子の表面に刻まれた図形を針などを使って、きれいに切り取るゲームです。日本でも夏祭りなどの屋台でみられる、昔懐かしいお菓子を使った遊びです。作中では韓国のカルメ焼き「ダルゴナ」を用いた型抜きが登場します。日本のカルメ焼きを膨らませず平らにし、型抜き用の型を押し付けたものです。
各地に波及するイカゲームの影響力
現地韓国では
CCTV Financeの報道によると、ドラマが放送されてからわずか2週間で、韓国コンビニでの砂糖の売上高が2週間前と比べて45%増加したそうです。完成品のダルゴナの売上も3倍に。ドラマの撮影時、700枚のダルゴナを提供した砂糖菓子屋のアンさんは、今では1日に500枚以上のダルゴナを販売し、1週間も店に泊まり込みをしていると報じられています。
中国ではダルゴナ型抜き屋台が登場
中国でもイカゲームと型抜きのブームに乗った関連ビジネスが盛んにおこなわれています。
喫茶店でのダルゴナ商品販売、ブロガーがオンライン型抜きゲームに熱狂するなど、枚挙にいとまがありません。
チープな砂糖菓子「ダルゴナ型抜き」は、イカゲームの影響でどこまでビジネスに発展していくのでしょうか。中国の報道関係者によると、北京・上海をはじめとする都市の多くの店舗では「イカゲーム」の文字が書かれた看板を掲げ、砂糖菓子を販売。集客の足掛かりとしてブームに乗る店舗が増えています。
長沙市にある甘味屋では、ドラマ名とともにイカゲームの作中におけるアイコン「〇△□」を軒先に大きく掲出。大連市にある喫茶店では、作中とは異なり、クローバー・ハート・ジンジャーブレッドの3つの形のダルゴナを販売しています。
また北京市のハンドメイドショップでは、ダルゴナの手作り体験教室を開催。調理から型抜きのチャレンジまで体験できます。
イカゲームの人気上昇にともない、ドラマファンの中には街角に屋台を出しはじめる人も。ダルゴナが街頭発祥であったことと、コストをかけずに始められ、商品の流動性も高いことなどのメリットが屋台出店へと人々を駆り立てています。
現在、中国における市販の砂糖価格は100gあたり2元(約36円)ほど。1枚のダルゴナを作るのに必要な砂糖は、20g約0.4元(約7円)で重曹をあわせても、1元もかからず生産可能です。
イカゲームの影響力により、今では8元や10元との単価で販売する個人が急増。一枚平均5元以上(約90円)の粗利を得られ、屋台を出せば家賃や光熱費などの負担なくできるビジネスとして、若者を中心に流行しています。デメリットとしては、ブームが去るにつれて顧客の流入量や注目度が低下すること、出来上がりの品質にばらつきがあることなどが挙げられます。
一方でダルゴナビジネスは、「短期的にでも利益を得られれば良い」と考える人々が多く、模倣品や粗悪品の流通といった問題も生まれています。
今後のダルゴナ型抜きビジネスはどうなる?
ダルゴナビジネスへの評価は賛否両論ですが、ブームに乗り「型抜きビジネス」を成功させた人もいます。しかし、イカゲームの放送が終了した今、ブームは下火へと変化していくと考えられます。今後のダルゴナビジネスについて、中国の起業家や販売者は以下のようにコメントしています。
中国起業家のコメント
「型抜きゲームとしてのダルゴナは同窓会やパーティ等の場面で活躍できるため、まだ需要はある。一時的なムーブメントから、定番商品へと発展する事が期待できる」
販売者のコメント
「イカゲームシーズン2が開始され、さらなるブームが起きる事に期待している」
ドラマのファンをはじめ、マスコミやメディアもイカゲームのシーズン2を期待。関連ビジネスに携わる人々も「シーズン2が発表されれば続ける」と語っています。ダルゴナ型抜きをはじめとした「イカゲームビジネス」には期待が寄せられているようです。
展開の早い中国市場で
イカゲームブームはどう変化していくのか
中国はビジネスの発展スピードが速く、トレンドに乗ったさまざまなマーケティング手法やプロモーションが生まれています。本記事では大人気ドラマ「イカゲーム」が中国に与えた反響を取り上げました。
残念ながら、イカゲームシーズン2の発表は未定です。誰にも続編があるかどうかは予想できません。上述以外の大半の売り手は「ドラマの人気は一時的なもので、すぐに次の人気ドラマのIPに取って代わられる」と言います。今後、「イカゲーム・ビジネス」がどのように変化していくのか目が離せません。
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著者情報

- (株)ポリスター
- 日中双方のスタッフによる、日本企業様の中国進出のサポートをおこなっています。中国進出の戦略立案からリスク管理、消費者向けのブランディングやプロモーション、販路開拓などのサービスを提供しています。
https://www.polystar.yokohama/