国際競争力を高めるカナダのプラントベースフード最新事情

国際競争力を高めるカナダのプラントベースフード最新事情

2021年10月27日、カナダのフードテック最新情報に関するピッチと、8社によるプレゼンテーションおよび、施設のバーチャルツアーができるイベント「Canada future food and food technology Webinar and Pitch sessions」が開催されました。イベントに参加できなかった方に向けて、フードテックに精通する住さんによる前後編2回に渡るイベントレポートをお届けします。前編はイベント概要および、カナダのプラントベースフード最新情報です。

はじめに:Canada future food and
food technology Webinar and
Pitch sessionsとは?

カナダの最新フードテック事情を紹介するカナダ大使館主催のイベントです。
カナダのプラントベースフードや循環型経済など、サステナブルなフードシステムの最新動向を知るピッチと、カナダのフードテック企業によるプレゼンテーションが実施されました。

イベント開催概要

● 日時:2021年 10月27日 (水) 午前9:00-12:00
● 言語:日英同時通訳あり
● 開催方法:オンライン (Zoom Webinar)
● 参加費:無料(事前登録制)
● 主催:カナダ大使館
● 企画協力:バイオエンタープライズ、カナダ・プロテイン産業協会、カナダ農務・農産食品省、カナダ各州政府及び株式会社シグマクシス

イベント構成

1.オープニングトーク
●在日カナダ大使館より

2.カナダフード・テクノロジー産業概要
●バイオエンタープライズ CEO兼プレジデント デイブ・スマードン氏

3.カナダ植物性タンパク質の最新情報
●カナダ・プロテイン産業協会CEO ビル・グルーエル氏

4.カナダ企業8社によるプレゼンテーションと施設紹介バーチャルツアー
●Ardra Inc.
●Blue Heron Creamery Ltd.
●GroundUp eco-ventures Ltd.
●Liven Proteins Corp.
●New School Foods Inc.
●Savormetrics
●Canadian Plant Protein Fund
●Top Tier Foods Inc.


今回は、バイオエンタープライズ CEO兼プレジデント デイブ・スマードン氏による「カナダフード・テクノロジー産業概要」と、カナダ・プロテイン産業協会CEO ビル・グルーエル氏による「カナダ植物性タンパク質の最新情報」についてお届けします。

カナダフード・テクノロジー産業概要
イノベーションを推し進める仕組み

バイオエンタープライズ CEO & プレジデント:デイブ・スマードン氏


私たちバイオエンタープライズは、企業やエコシステムのメンバーを繋ぎ、新しい技術やイノベーションの創出をサポートしています。さらに、企業の国内外での成長および、国際市場での成長も支援しています。今日は、カナダでビジネスや投資をおこなうメリットと、カナダの食品と農業技術についてお話ししましょう。

なぜカナダなのでしょうか?カナダの農業は、日本にとって非常に重要なポジションです。

カナダでは農業が230万人の雇用、国内総生産の7.4%を占め、560億ドルの輸出売上にも貢献しています。

主要産業において国際競争力を発揮できるよう、カナダ政府では「スーパークラスター構想」を打ち出しました。民間企業、政府関連が協働し、イノベーションを起こす取組みがおこなわれています。
これは「官民協働モデル」という、カナダにおけるイノベーション推進モデルです。政府が民間企業とともに投資をおこない、初期段階の研究や応用研究、さらに商業化や市場への進出にいたるまでの投資をおこなうものです。
カナダに設立された5つのスーパークラスターでは、デジタル技術や人工知能、海洋技術、タンパク質産業、代替タンパク質などに焦点を当てています。


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「バイオエンタープライズ」は、カナダのほぼすべての州にオフィスを持つ、バーチャルなビジネスアクセラレーターです。国中に科学アドバイザー、ビジネスアドバイザーやイノベーションアドバイザーがいます。また、私たちはバリューチェーン・インテグレーターでもあります。
イノベーションを進めるためのパートナーを探し出し、ビジネスを実現し、農業へのアプローチを変え、国の農業革新へのサポートをするのが私たちの仕事です。

当社は2003年に法人化し、2,500のアグリテックイノベーションを世の中に送り出しました。政府や民間企業から得た資金を200倍にして還元できており、商業化と経済発展をするためのモデルを確立しています。

このような成功を実現するためには、国全体でのコラボレーションが非常に重要です。私たちはニュースレターや記事によって、「イノベーションが、今どこに向かっているのか」を紹介しています。さまざまな生産者や農家、食品加工業者を紹介しながら、必要に応じてフィールドテストや実地試験をおこないます。
イノベーションを初期段階から市場に移行させていくため、私たちは可能な限りのサポートを提供するのです。

日本の皆さんがバイオ企業の候補を考えるとき、カナダの食品や農業技術エンジンを思い浮かべていただければと思います。私たちはこれまで、日本国際農業科学研究センターや、東京の農業大学や京都大学とも連携してきた実績があります。私たちが目にしている技術やイノベーションについて、また、日本の皆様の組織とどのように提携できるかについて、ぜひ私たちにご相談いただきたいと思います。

カナダ植物性タンパク質の最新情報
植物性たんぱく質のグローバルリーダーを目指す

カナダ・プロテイン産業協会CEO:ビル・グルーエル氏


私からは、今後の大きな成長が見込まれる植物由来の食品に焦点を当てながら、カナダ・プロテイン産業協会についてお話しします。
カナダは植物性タンパク質の分野で世界的なリーダーになれると、当協会では考えております。産業界と協力して4億2,500万カナダドル(387億円)以上の投資実施。食料安全保障、気候変動、持続可能性、人々の健康など、世界の農業食料システムにおける最大なる課題の解決に向けて、貢献していきます。

アーンスト・アンド・ヤング社との協働調査では、2035年までに代替肉市場は1800億カナダドル(16.5兆円)に達すると予測されています。また代替肉だけでなく、代替乳製品、飲料、代替シーフードやその原料まで考慮すると、今後15年間で2,500億カナダドル(22.8兆円)を超える市場になると思われます。

カナダにとって、なぜこの市場が非常に重要なのか。カナダはエンドウ豆、小麦、キャノーラ、オート麦、レンズ豆、その他豆類の大規模な生産国です。これらの作物はすべて植物性たんぱく質の加工に重要な原料であり、世界の植物性食品の成長において、非常に有利な要素となります。

また当カナダ・プロテイン産業協会は、バイオエンタープライズ社のデイブが先ほどお話しした、カナダ・スーパークラスターイニシアティブの一員でもあります。食材・食品加工部門を強化し、投資やイノベーション、市場開拓などの分野で協力しています。


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技術・能力開発の分野では、タンパク質の含有量や濃度を向上させるための先進的な植物技術など、プロジェクトは多岐にわたっています。また、デジタル農業の分野では、トレーサビリティシステムのためのデータ管理の自動化や、生産効率のベンチマーキングなど、多くのプロジェクトを支援しています。
最も期待しているのは知的財産権です。新しい特許、新しい技術、新製品、新サービスなど、160以上のユニークな知的財産権が創出されると予想しています。これらは、世界の植物由来の食品分野におけるカナダの成長に貢献するものばかりです。

メリット・ファンクショナル・フーズ社は、さまざまな組織と協力して、非常に斬新な食品の開発に取り組んでいます。そのひとつが、日本のメーカーと共同で開発した和牛の代替品です。このように、カナダの植物性食品部門では驚くべきレベルのイノベーションが起こっています。

カナダは長期的なビジネス関係の構築や事業開発にとって、非常に良いパートナーだと私は考えています。なぜなら、カナダには革新的な企業による素晴らしいイノベーションがあるだけではありません。新しい原料や新しい食品を生み出すための、何百万トンもの原材料もあるのです。

私たちは非常に強力な研究開発のエコシステムを持っています。一流の農業・食品関連企業があり、強力な人材と土地も揃っています。最新の科学開発の現場と繋がれば、カナダと世界の植物タンパク質産業に関する洞察を得ることができるでしょう。
もしご興味があれば、候補となるタンパク質産業をご紹介したいと思います。ぜひビジネスパートナーや研究パートナーを見つけてください。

未来に向けたフードテック投資で
国際競争力を高める

いかがでしたでしょうか。
日本と比べて圧倒的に進んでいると感じたのは「スーパークラスター」という取組です。カナダ政府が主導し、国の未来をかけて次世代の産業を創出するための資金や技術、事業を集積(クラスター)し、国際競争力を高めています。

AI技術の分野では、スーパークラスターが先行しており、実際に高い競争力を獲得しています。フードテックの領域についても、日々新たな事業開発に本気でチャレンジしていることがわかるかと思います。

プラントベースフードは、もはや菜食や健康のためにとどまらず、次世代の人類のフードシステムに組み込まれるもの。それを前提にさまざまな投資を積極的におこなっている国がカナダなのです。

質疑応答でビル氏が答えていましたが、日本企業がカナダプロテイン協会に加入することも可能です。カナダのこうした優れた知的財産やスタートアップなどにアクセスし、市場調査や協業なども可能になるそうですので、ご興味のある方はぜひコンタクトしてみてください。

こちらの公式サイトから直接か
カナダ大使館までお問い合わせください(日本語対応可)。
【お問合せ先】 カナダ大使館 商務部 農務・食品担当:tokyofood@international.gc.ca


次回は「カナダ企業8社によるプレゼンテーション」をレポートします。カナダのパイオニアプレイヤー8社のプレゼンテーションの概要をご紹介します。どうぞお楽しみに!



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著者情報

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住 朋享
2015年クックパッド入社。世界一のユーザー投稿型レシピコミュニティとIoT家電を繋ぎ、未来の料理体験を生み出すスマートキッチン関連事業の立ち上げと、クックパッド社内の新規事業制度設計、投資基準策定及び運用をおこなっている。2020年より東京大学大学院非常勤講師として新規事業教育に携わる。