冷凍保存時の鮮度保持と環境配慮。凸版印刷の技術力

冷凍保存時の鮮度保持と環境配慮。凸版印刷の技術力

畜肉や魚介類加工品などの1次産品は、これまで冷凍保管時に酸化による変色や風味の変化が起こっていました。凸版印刷株式会社では、独自の技術で開発した透明バリアフィルム「GL BARRIER(ジーエルバリア)」を用いたパッケージを開発。冷凍保存時の鮮度保持を叶え、リサイクルが容易なモノマテリアル化に対応し、保存コストの大幅削減を可能にしました。鮮度保持と環境配慮を両立するパッケージの開発背景と、トップランナーとして見据えるパッケージの未来について凸版印刷株式会社の北澤氏にうかがいました。

お話をうかがった方

凸版印刷株式会社 生活産業事業本部
グローバルパッケージ事業部営業推進本部
バリア販促部
北澤 稔氏

既存技術を生かしモノマテリアル化に対応

ー 今回、独自の技術「GL BARRIER」を活用し、冷凍保存時の鮮度保持と環境配慮を兼ね備えたパッケージを開発された背景には、どういった課題があったのでしょうか。

北澤氏(以下、北澤):凸版印刷では、軟包装と言われるプラスチックフィルムを使ったパッケージを長年手がけてきました。独自開発した「GL BARRIER」という、透明なハイバリアフィルムを使ったパッケージ商材を幅広く展開しています。非常に高いバリア性能を活かし、レトルト食品や乾燥食品をはじめ、さまざまな食品パッケージに使用されてきました。

国内外で幅広く「GL BARRIER」を活用した事業展開をする中で、バリア機能を生かした新たな商品展開を検討した際に着目したのが、冷凍保存食品向けのパッケージです。
2016年から大学機関と連携し効果検証を実施。その結果、畜肉や海産物などを長期保存する際、「GL BARRIER」を使用すると、鮮度保持において高い効果が確認できました。食味の劣化抑制や酸化による変色を抑え、オリジナルの色味に近い状態での長期間保存が可能になったのです。


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マイナス23℃で5ヶ月保存後の畜肉の状態 左がノンバリア品、右が「GL BARRIER」使用品
資料提供:凸版印刷株式会社


ー「GL BARRIER」を活用した冷凍保存食品用パッケージでは、鮮度保持だけでなく環境配慮も兼ね備たパッケージも展開されているそうですね。

北澤:はい。リサイクルが容易なモノマテリアル構成に対応可能し、CO2排出量の削減とリサイクル適性の向上を実現した環境配慮型パッケージも展開しています。「GL BARRIER」はさまざまなラインナップがあり、従来はPETあるいはナイロンを使ったものが主力製品でした。

翻って海外市場では、パッケージ資材をよりリサイクルしやすい単一素材に切り替える、いわゆる「モノマテリアル化※」がトレンドになっています。CO2削減の観点から、欧州を中心に使用済パッケージをプラスチック容器あるいは、食品容器の原材料としてリサイクルしていく流れが進んでいます。

こうした潮流は、パッケージメーカーである当社として、当然無視はできません。既存のPET素材のバリアフィルムはコストと性能のバランスが非常に優れたものですが、モノマテリアル化は性質上難しさがありました。モノマテリアルという社会ニーズに対応すべく開発したのが、ポリプロピレンやポリエチレンを基材としたバリアフィルムです。そちらを冷凍保存食品向けの環境配慮型パッケージにも応用できます、ということでご案内しています。

※モノマテリアル化とは、複数の異種素材から構成される包装フィルムを単一素材でフィルムにすること。従来の包装フィルムは充填する内容物や流通形態など、用途にあわせ複数の素材から構成されています。複数の異種素材から造られる多層フィルムはリサイクルが困難なことから、モノマテリアル化の流れが進んでいます。


ーパッケージの開発工程で苦労される点はありますか。

北澤:冷凍食品とひとくちにいっても、中身はさまざま重量・形状があります。用途に合わせたパッケージ設計が必要です。形状やフィルムの厚み資材のバランスなど、お客さまの最終ニーズにフィットするよう、さまざまな検討を重ね試行錯誤しています。そういった点が難しさと言いますか、配慮を重ねながら開発に臨んでいます。

国内外からの反応に手応え
パッケージ設計は個々のニーズに対応

ー2020年11月にパッケージをリリースされてから、お問い合わせなども増えていらっしゃるのでしょうか。

北澤:ええ。おかげさまで、リリース直後に多くのお問い合わせをいただきました。メーカーや農業漁業系協同組合をはじめ、流通業界などからもお引き合いをいただき、実際ビジネスも始まっています。また、世界中の食品が冷凍で飛び交う中、海外の商社や現地企業からもお問い合わせをいただいています。


ー パッケージを導入された企業からは、どういった反応がありますか。

北澤:色の鮮やかさや、食感のしっとりさ、食味の良さなど高い評価をいただいています。また、流通期間を長くできる点にメリットを感じるお客さまもいらっしゃいます。鮮度保持期間が長くなれば、食品ロスの削減にも繋がります。
プロジェクトが動いていく中で、当社としても冷凍食品の保存流通用パッケージの効果的な使用方法や保存評価、味覚試験の結果などの知見も増えてきましたので、さまざまなご提案をしています。

トップメーカーとして食の多様化を
サステナブルなパッケージで支える

ー 今回開発された技術につきまして、今後こういった製品に活かしたいなど考えていらっしゃることはありますでしょうか。

北澤:少子高齢化や孤(個)食化、コロナなどの影響から「中食」が進んでいます。そうした潮流をふまえ、レトルト食品や冷凍食品などを常備し「食べたい時に温めて食べる」といったニーズに合致する各種食品向けパッケージの開発が一つです。
また、非食品も含めたさまざまな用途で、「GL BARRIER」を使ったパッケージを引き続き開発していきたいと考えております。


ー冷凍食品専門スーパーも増える中、今後もニーズが高まっていきそうですね。最後にパッケージのトップメーカーとして、今後どのように食品パッケージの分野に関わっていかれますか。

北澤:パッケージメーカーとして、社会情勢の変化によって多様化する食事に対し、簡便に提供できるさまざまなフォーマットを市場に提供していきたいですね。介護食や冷凍技術の応用など、内容物に応じたパッケージ設計が必要になりますので、目配りをしていきたいポイントです。

また、時代に呼応するサステナブルなパッケージについても、引き続き取り組みを進めているところです。「モノマテリアルにしましょう」「やります」というのは簡単ですが、従来通りの賞味期限や使い勝手を担保しながら、流通や充填含めたさまざまなプロセスを淀みなきよう実装していくのは、我々パッケージメーカーの仕事。
世の中の方向性に合わせて、技術力を生かし社会に適したものを提供していきたいですね。今後もパッケージのトップメーカーとして、持続可能な包装事業を展開していきたいと思っております。



writing support:Sayaka Takahashi



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