FoodClipラウンジvol.2外食のこれから[前編]

FoodClipラウンジvol.2外食のこれから[前編]

読者の皆さまとより深くつながり、ビジネスに活かせる情報を発信するため、定期イベント「FoodClipラウンジ」。2021年11月18日に開催された第2回目は「外食のこれから」をテーマとし、ゲストに2021年の外食業界の総括と今後の戦略をうかがいました。レポート記事は2回にわけ、前編となる本記事ではカラビナハートの吉田氏による外食業界の動向、後編では株式会社エー・ピーホールディングス取締役 執行役員 COOの野本氏とカラビナハートの吉田氏のディスカッションをお届けします。

今回のラウンジトークメンバー

株式会社エー・ピーホールディングス 
取締役 執行役員 COO
野本 周作 氏

カラビナハート株式会社
吉田 啓介 氏

FoodClip編集長
渥美 まいこ

コロナ禍の外食業界を
5つのキーワードでおさらい

「FoodClipラウンジ」では、冒頭で30分ほど編集長の渥美より、最新の食トレンドやFoodClipが提供している「食のデータレポート」の注目すべき分析データをご紹介。その後、吉田氏より2020年から2021年の外食業界の総括をお話しいただきました。

吉田氏(以下、吉田):2020年から2021年はコロナ禍によって、まとめるのも難しいような激動の1年半でした。外食業界の動向を5つのキーワードでおさらいしましょう。

コロナ禍の外食業界キーワード1
「生活の多様化と販売チャネル」

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吉田:外出自粛の影響もあり、生活者のライフスタイルもだいぶ変わりました。飲食店では営業時間や人数、アルコール提供が制限され、外食シーンも大きく変化したと考えています。リモートワークの習慣化で食べる場所の概念が変わり、通勤しないため消費エネルギーの観点から食べる量が減った方も。外食、中食、内食の境界など、食べるシーンのあらゆる考え方が変化しました。

緊急事態宣言解除に伴い制限が緩和されても、「SNSなどで外食行為自体が発信しにくい」「外出自粛の価値観に個人差があって外食に誘いにくい」という世界は続いている状況です。飲食店側も「お店に食べに来てください」という宣伝活動がしにくい状態です。

かたや、業績を伸ばした飲食店もありました。テイクアウトや宅配中心の業態であったり、中食需要に応える販売チャネルを持つ企業です。以前から多様な販売チャネルの認知を図っていた企業は、そこを活かした事業展開ができたと捉えています。また、外食する機会が減ったことで、「きちんとお店を選びたい」と考える生活者も増えました。この影響から、焼肉や寿司などの業態は売上の回復が早く、現時点で前年を超えているというお店もあるようです。

コロナ禍の外食業界キーワード2
「目的的来店の高まり」

吉田:外食に行く回数が減ると、1回を大事にする気持ちは必然ですね。下調べをして、お店を吟味して予約をする方が増えました。コロナ禍前は、例えばファミリーレストランなら、ランチでオフィスから外へ向かう最中にお店が決まることや、家族で遠出して道路の通りすがりにあったガストに入るなど、セレンディピティ的利用動機が優位でした。この1年半はそういうシーンも減少。セレンディピティ的利用動機を期待した立地のブランドや、特にファミリーレストランは、非常に難しくなったと感じています。

来店だけでなく、来店して注文する料理も変わってきました。目的的来店プラス、目的的メニューの選択というんですかね。頻繁に行けるならたまに冒険してみたいと思うのでしょうが、頻度が減ると絶対外さない料理や定番メニューを選びたい心理が芽生えます。今までの飲食店は、期間限定などの新しいメニューにより来店動機を作るところがあったので、そこも課題となっています。

そんな中で、最近は生活の多様化に合わせ、大手チェーンも続々と新しい業態へチャレンジしています。ロイヤルグループや鳥貴族はハンバーガー店、松屋フーズはステーキ店を展開。1社で多業種を手がける企業も増えてきました。一つの屋号で来店頻度を上げるのが難しいとなったときに、焼肉週3回は難しいが、焼肉週1回とハンバーガー週2回なら狙えるよね、という考え方です。この辺は私の前職で勤めたすかいらーくも得意領域ですね。一社で10以上のブランドを持って、和・洋・中のバリエーションで来店頻度の増加を考えていました。この手法は企業自体に問題がなくても、生産側の問題で食材にリスクが生じたときやトレンドに合わせたいときに、業態転換ができるメリットもあります。

コロナ禍の外食業界キーワード3
「選択肢が増える情報取得手段」

吉田:生活者が情報を集める手段は、非常に増えています。食べログなどの予約サイトはもちろん、Googleマップからも口コミが見られて、場所と一体化した店選びができるようになりました。Instagramではエリアのハッシュタグで、店探しする方も増えています。店舗情報が掲載されている場所が増えるほど、店側は情報管理が大変です。この1年半は営業時間の変更が多く、その情報を反映させていくのは、かなり大変だったと思います。お客さまは色んなところから情報にアクセスしますから、「Webサイト上で深夜2時までになっていて、行ってみたらクローズしていた」となると、期待を裏切ってしまいます。いかにリソースを割いて管理できるか、というのは課題ですね。最近は一括で管理して修正できるツールもあり、活用する企業も増えてきた印象です。
飲み屋街を歩いて、のれんや看板をみて営業の有無を確認するのではなく、スマホで検索してお店を決めるシーンが増えているので、非常に重要なポイントだと思います。

コロナ禍の外食業界キーワード4
「人員確保難とデジタル化」

吉田:ご存知の通り、最低賃金が2010年ごろから毎年2、3%ずつ上がっていて、10月には東京都の最低賃金は時給1,041円になりました。企業側からすると1人当たりの賃金が上がると、いい言葉じゃないですけどコスト増に繋がっています。そもそも飲食業界は働くのが大変なイメージがあり、アルバイトやパートの確保も難しい状況。なのに、売り上げが落ちてしまったお店は、アルバイトがシフトに入れないから辞めてしまう。この影響で普通の世界に戻っても、元の営業時間に戻せないお店も多かったと聞きます。

そこを解決していくのは、デジタル化です。テーブルオーダーができる端末や、配膳ロボットに無人レジ、スマホの事前オーダーや事前決済など、多くの飲食店でオペレーションを簡略化し、人員不足や人件費削減をクリアする取り組みが続いています。その他にも近年では、シフトや食材の管理、スタッフへの調理工程の動画教育、スタッフの作業軽減を図るものなど、さまざまなツールが登場。お客さまは定番メニューを選ぶ傾向があると話しましたが、店舗側も人員不足対策や人員定着のためにオペレーションを簡略化し、メニュー数を減らしたりもしていますね。

コロナ禍の外食業界キーワード5
「大人数飲み会のこれから」

吉田:このあたりは、後ほどパネルディスカッションで野本さんにお話をうかがいたい点です。(後編へ続く)忘年会・新年会シーズンではありますが、以前のように大人数で集まることがお客さまの心理的に難しい状況です。会社の部署単位で開催していたものを課や係単位に小さくして、20人から4〜5人に縮小しているという話も聞きます。いつ戻ってくるのか、果たして戻るのかが、今後の焦点になってくると感じています。

2022年の外食業界の打ち手は

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吉田氏の外食の総括を受けて、パネルディスカッションへ。野本氏は「暗くなっちゃいますね」と苦笑しながら、目的来店や人員確保難など2021年に外食業界が直面した課題解決策について語りました。大人数での飲食需要は戻るのか、2022年の打ち手とは。パネルディスカッションの様子は、後編の記事にてお届けします。



writing support:Akira Fukui



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