食関連の事業者も参入。メルカリShopsが築く新たな商流

食関連の事業者も参入。メルカリShopsが築く新たな商流

FoodClipでは新春特集として、食品業界を担うキーマンの思考を連載形式でたどります。メルカリのグループ会社である株式会社ソウゾウは2021年10月、BtoC向けのECプラットフォーム「メルカリShops」のサービスを開始。農産物や水産物をはじめ、多くの食関連の事業者が参入しています。CtoCの「メルカリ」からBtoC「メルカリShops」へ。「簡単・売れる」の価値を軸として、2022年以降の商流をどのように変えていくのか、広報の鈴木氏にお話をうかがいました。

お話をうかがった人

株式会社ソウゾウ
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鈴木万里奈 氏

都市部以外からの発送が6割
食カテゴリの出店者は想定以上

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「メルカリShops」は、法人、個人を問わずものづくりをしている方が簡単にネットショップを開設できるECプラットフォーム。従来の「メルカリ」と違い、在庫やカラーバリエーションの設定ができ、大口発送に対応する機能が提供されている。


ーー「メルカリShops」のサービス内容と反響についてお聞かせください。

鈴木氏:「メルカリShops」は、個人間取引の「メルカリ」を事業者向けに開発したサービスです。「簡単・売れる」がコンセプトで、メルカリの出品方法と同様にスマホひとつ、「1.写真を撮る、2.商品の説明文を書く、3.値段を付ける」という、たったの3ステップで、ネットショップが開設できます。また、メルカリは現在、月間約2,000万人以上の方にサービスをご利用いただいており、あらかじめ集客が見込める環境で商品を販売できるのが強みです。例えば、人通りの少ない場所で集客するのではなく、銀座とか表参道などの立地に出店するようなイメージです。

2021年の夏にプレローンチをおこなったのちに、10月から本格的に提供を開始しました。登録数は想定以上に多く、手応えを感じています。プレローンチでのアンケートではネットショップ初出店の方が全体の57%。月商1,000万円を達成したお店もあります。


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ーー「簡単・売れる」がコンセプトとのことですが、やはり集客とアプリの使いやすさが最大の強みなのでしょうか?

そうですね。まず、「やってみたいけどやり方がわからない」、「きっかけがない」など、さまざまな理由でネットショップを開設していなかった皆さんの後押しができたのは、「簡単」という部分が大きいでしょう。UIの簡単さにより、未経験でもはじめられたというお客さまも多いという印象です。

メルカリとUIを近づけた点は、改めてよかったと感じています。追加機能として在庫やカラーバリエーションの設定などはありますが、そこまで大きく使い方は変わらず感覚的に触れるので、「ネットショップを開設したいが、メルカリが未経験のユーザーにメルカリユーザーである家族が使い方を教えた」という事例も聞きます。コロナ禍の影響で新しい販路拡大の選択肢として、メルカリShopsを選んでくださった方からも「使い慣れているので安心感があった」といったお声もいただきました。


ーーすごいですね。メルカリとUIが同じであれば、近くにいる人たちがカスタマーサポートになれてしまうんですね。どんな事業者が出店していますか?

当初、農産物、水産物、飲食店グルメ、地域の特産品、ハンドメイド、アパレル、雑貨の6つに力を注いでいくと表明しておりまして、現状ですと特に生鮮や加工食品・ハンドメイド関連での反響が大きいです。また、地方の特産品も多く販売されています。

都市部以外からの取引が、約6割あったのも想定以上。メルカリの「いらなくなった服や本を売るマーケットプレイス」というイメージが定着している中で、「メルカリShopsで食品を売れる、買える」のが、利用者にどれくらい受け入れてもらえるのか、懸念もありました。それに反して、幅広いカテゴリ・エリアで食に関する事業者の方にご登録いただいており、隠れた需要があったのだと感じています。

既存のノウハウを活かし
事業者の障壁となるロジスティクスをクリア

ーー食品を扱うプラットフォームの場合、賞味期限や衛生面の管理が難しいですが、どのようにして運営されていますか。

大きく2つのフェーズで管理しています。
1つ目は出店登録時、2つ目は出品時に確認をおこなっています。最初の登録時には、カテゴリに応じた許可証や免許を提出していただき、出品時に商品の説明文に賞味期限を記載いただくルールを徹底。その上でカスタマーサービス部門の人の目と機械の両面による監視をおこなっています。賞味期限の記載がないものは通知をお送りしたり、商品によっては一時的にマーケットから非表示にしたりする対応をとっています。


ーー今後、ロジスティクス周りの機能も強化されるとお聞きしました。食関係の課題も解決する力になるのでは、と期待しています。

ありがとうございます。今後は、事業者向けの配送システムやクール便などのリリースを予定しています。直近で取り組んだ、メルカリ便の事業者向けサービスです。複数の注文をCSVでダウンロードして、まとめて配送できるなど、ノウハウを持たない方でも大口配送が簡単におこなえるサービスです。生鮮食品などを取り扱う上ではクール便も欠かせませんので、通常のメルカリ便にはないクール便も提供していく予定です。

「簡単・売れる」が
一次産業や地域経済の一助に

ーーロジティクス面の簡単さや使いやすさは、多くの事業者がEC展開する上で求めていた部分だと思います。地方自治体やJAとの連携もすでに始まっていますが、こちらではどのようなことが求められているのでしょうか。

ITへの参入障壁の高さ、インバウンドの減少による国内への発信、ICT技術の底上げなど、課題解決の一手としてお話をいただくことが多いですね。「メルカリShops」が地域経済の活性化や小規模事業者の販路拡大に貢献するためにも、地方自治体などと連携協定を結び、リアルな声を吸い上げながら取り組んでいます。

コロナ禍の影響もありDXが注目される中で、事業者の皆さんの中に「いよいよ取り組まなければならない」という、焦りにも似た意識があると感じています。地方自治体向けにも、商品ページに載せる文章や写真のコツを指南するような講座を開催し、さまざまな事例をオウンドメディアでご紹介するなど、新たな販路開拓や魅力の発信をサポートしていきます。

現在、国内事業者のEC化率はたった8%しかありません。中国は30%を超えており、この現状は経済損失にも繋がりうると考えています。今回のサービスは「個人と企業を支援することを通じて、社会課題を解決する」という考えのもと立ち上げたものでもあります。「簡単・売れる」によってEC化への参入障壁を下げ、皆さんにご利用いただくことで、日本の事業者全体の底上げを目指しています。


ーーどんどん事業者の期待に答えていくのですね。新しい商流として、コントロールできる販路が生まれるのは希望を感じます。今後の展開など、例えば海外に商品を販売できるようなことも考えていますか?

すでにCtoCのメルカリでは、日本から海外の越境販売が2019年からはじまっていますが、「メルカリShops」にも展開していくかは未定です。ただ、登録者数や前回キャンペーンの結果などから、お客さまの期待をひしひしと感じており「事業者が使い勝手のいいものに成長させないと」という想いがあります。私どもの直近の課題は、お客さまの期待に応える開発スピードを維持していくこと。今後のロジスティクスの強化もそれに応える施策のひとつですね。どんどんご要望に応える機能を作っていきたいですし、それによってメルカリだからこそできる体験を提供していきたいと考えています。

2022年はロジスティクスのほか、出店カテゴリの認知拡大にも尽力する予定です。「メルカリShops」で食品や酒類などのカテゴリが販売できることを事業者様・お客様ともに知っていただくことで、より活発に取引が行われるマーケットプレイスを目指したいです。

国内の商流を
「メルカリShops」で変える

鈴木氏は「私たちが考える究極形態は、個人の出品者と事業者の差を感じず、欲しいものをカゴに入れるシームレスなマーケットプレイスです」とも語ります。ECの参入障壁を取り払う「メルカリShops」の進化によって、5年、10年先の商流は大きく変わっていくでしょう。



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