【聞いた】業績好調を支えるスシローのSNS戦略

【聞いた】業績好調を支えるスシローのSNS戦略

2021年9月期(2020年10月~2021年9月)の全店売上高前年比は110.6%の回転寿司「スシロー」。コロナ禍で営業時間の制限など多くの外食企業が苦戦を強いられる中でも、堅調な業績を維持しています。さまざまなところで目に耳にすることが多い気がしますが、実は店舗数は620店と、マクナドナルド2,937店、ガスト1,330店(※)と大手飲食チェーンと比較して、多くはありません。なぜ情報やクチコミに触れる機会が多く感じるのか。そこにはテレビなどマスメディアだけでなく、SNSを活用したタッチポイント作りへの工夫がありました。
                                       ※いずれも2021年11月末日現在

お話をうかがった方

株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
コミュニケーション企画推進部 販促課
松井 翔太 氏

面白さよりも「食べたい」コミュニケーション
公式Twitterに持たせる役割とは

12603_image01.jpg


ーー 松井さんが日ごろ担当されている業務を教えください?

スシローブランドのデジタル領域担当として、SNS、LINE、アプリ、自社HPなどのデジタルメディアを活用したコミュニケーション戦略・企画運用業務に従事しています。またデジタル領域の施策、具体的にはGoogleアシスタントやLINEミニアプリ、Pokémon GO、MEO施策などの導入や企画運用業務なども担当しています。


ーー スシローがTwitterを活用する目的は何ですか?

Twitterを活用する主な目的は「情報拡散」「認知拡大」「想起と話題化」です。お客様が外食をする時の選択肢にスシロー入ることが重要だと感じているので、情報に触れてもらう、食べに行ったことを発信し拡げてもらう場所として、活かせるメディアと考えています。


ーースシローは認知も極めて高いブランドと思いますが、松井さん自身が実際に担当して感じるTwitterの価値は何ですか?

月2回開催している販促フェアや新商品・オススメ商品の情報を多くのユーザーに届けられることです。スシローとして“今1番お客様に届けたい情報”をより多くの人に届けられる可能性を持ったメディアだと思いますし、リツイートなど拡散が発生しやすい仕組みがあるのも魅力です。


ーーなるほど。フォロワー以外にも拡散性を活かして偶然性の情報の出会いがあるメディアとして活用されているのですね。しかもフェアが月に2回あり、ニュースが多いからこそ発信頻度を増やせるTwitterとの好相性なのはとても納得できます。
「伝える」だけでなく、公式Twitterアカウントの投稿のエンゲージがとても高いと感じます。投稿のコンテンツを考える際に工夫していることはなんですか?

以前は、商品情報やキャッチコピーなどを入れるのみのシンプルな投稿が多かったのですが、フォローしてくださっているフォロワーの皆さんとコミュニケーションを取るようになりました。リツイート・いいね・コメントなどのボタンでリアクションを促すなどの交流を図る投稿をしたり、たまに少しネタ的なくだけた投稿をしてみたりと色々な投稿手法・表現にトライアルしています。
今後はアンケート機能なども活用して、さらにフォロワーの皆さまと交流を図ったり、そこでいただいたお声を施策に活かしたりできれば良いと考えています。

公式からの情報伝達だけではなく
お客さまが発信したくなる雰囲気づくり

12603_image02.jpg


ーーYahoo!リアルタイム検索で「スシロー」の言葉を含むツイート数を拝見しました。外食ブランドの中でも、クチコミ数が非常に多いとお見受けします。クチコミを発信したくなる雰囲気ができているのだと思いますが、そのために工夫していることはありますか?

スシローでは「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」という想いをモットーに、美味しいすしを通じて、より多くのお客さまに驚きと感動を感じていただけるよう取り組んでいます。
Twitterでもその想いのもとにスシローとして“今1番お客様に届けたい情報”を漏れなく届けることを第一に考えています。あとは販促フェア開始のタイミングではフェア情報、販促フェア開始後は商品の詳しい情報、週末にはお持ち帰りやデリバリーにまつわる情報など、お客様が欲しいタイミングに必要な情報を発信することも意識しています。

また、回転寿司のリーディングカンパニーのTwitter公式アカウントとして運用しているので「ユーザーが不快になるような投稿は絶対にしない」を念頭に画像制作・テキスト表現に取り組んでいます。
Twitterは反応がすぐに数値で確認できるので、多くの方に反応をもらえた内容を踏まえながら、PDCAをスピーディに回すことを心がけています。


ーー単に面白く、拡散されそうなネタ的投稿に走らずに、ブランドの世界観を守ってるからこそ、どの投稿でもお客さまの気持ちが「おいしそう」「食べたい」に着地していそうですね。SNSに限らず、クリエイティブがシズル感にあふれているのが特徴的です。こだわっている点はありますか?

12603_image03.jpg

スシローのシズルといえば、TVCMの躍動感のある寿司ネタの印象が強いかと思います。
15秒という尺の中で、いかにおいしそうにフェア・商品情報を伝えることができるか?を考え抜いて構成しており、私自身も毎回CMを見るたびに「スシローに行きたい。お寿司が食べたい」と思っています。


ーー野暮なことをお聞きしますが、CMなどで使っている寿司ネタは特に良いものを使っているのですか?

いえいえ、CMなどで使用しているネタは実際にお客様にご提供するものと同じネタを使用して撮影しています。質も量もお店のものと全く同じです。


ーーSNSの価値を社内で理解してもらえないと悩む担当者さんが多いです。工夫している点があれば教えてください。

SNS以外にもCM・チラシ・HP・PRなど多くのメディアで情報発信をしているので、SNS単体の効果が売上に結び付いているか判断する難しさはある思います。ただ、これは他のメディアにも同様に当てはまることだと思います。
Twitterでトレンド広告をおこなったとき、販促フェアの売上初速が顕著に伸びているなどの実績もあるので、集客・売上向上要素の一因になっていると思います。実績や効果を継続的に社内で共有したり、日々の運用でフォロワー数が増えることで、「SNSでこの企業とこんな企画やコラボができないか?」「SNSメディアでこんな告知ができないか?」など、社内外でSNSメディアを活用したいという声が増えており、SNSの価値が上がっているのでは?と感じております。


ーーそれぞれののメディアで無理に効果測定せずに、全体のフリークエンシーで情報の接点を設計されているのですね。

そうですね。CMで多くのユーザーにフェア・商品情報などが広まり、SNSを中心にPRなど他メディアでさらに詳しい情報を発信し、プッシュすることでさらにユーザーの理解も深まります。集客・購買に寄与する可能性が高まるということを理解してもらえると良いと思います。

発信することだけが仕事ではない
Twitterとそこに居る人々をよく知る

ーースシローに関するツイートにたくさん「いいね」されています。他の業務もある中で1日どれくらいTwitterを見ていますか?

出社してPCを開いてすぐにTwitterを開いています。
業務と業務の合間にトレンドを確認し、「スシロー」のキーワード検索で「今何が話題になっているか?」を把握するのを習慣化しています。思ってもいないことで「スシロー」が話題になることも多く、Twitterユーザーの中で「スシロー」にまつわる会話をしていただいているのは本当にありがたいことだな。と思っています。また、業務外でも通勤中・休憩時間・帰り道など、何かとTwitterを見ています。


ーー生の声が飛び交う場所だけに、一方的に伝えるのではなくTwitterの作法や文脈を知ることも大切ですよね。これまでの公式アカウントからの投稿で、一番印象に残っている投稿はどれですか?

2021年5月にある芸能人の方が結婚されたニュースがあったときの投稿です。その方がドラマの中で演じられている登場人物と同じ名前の寿司ネタと「おめでとうございます!」という普段とは違うテンションの投稿をしたのですが、通常の投稿よりも大きな反響があり驚きました。

12603_image04.jpg


ーー企業の公式アカウントは「面白いことを言わなくちゃいけない」と考えて、プレッシャーに感じる方も多いようです。スシローでは、必ずブランドやフェア、商品に着地していて、きちんとと価値提供をされている印象です。ブランドのイメージを崩さないためにこだわっていることがあれば教えてください。

スシローでは所謂「中の人」的なユーザーとのコミュニケーションを第一に考えた方針ではなく、販促フェアや新商品・旬のオススメ商品の情報など”今1番お客様に届けたい情報”をより多くのユーザーに届けることを第一に考えて運用してきました。
スシローのTwitterを見れば、今スシローで食べるべきネタやさまざまなキャンペーン情報が分かる!メディアにしていきたいです。
最近はTwitterユーザーに響くようなもので投稿してみるなど、ユーザーとのコミュニケーションを狙った投稿手法にトライしています。これまでの投稿よりもインプレッション数・エンゲージメント総数が良いなど一定の効果も出ており、これからもチャレンジしていきたいと思っています。「狙ってバズを生む」「毎回面白いことを言う」など、簡単に出来ないと思うので、まずはやってみる!というのが大切ですね。


ーー松井さんが一番好きな寿司ネタを教えてください。

一番好きなネタは「新物!濃厚うに包み」です。期間限定商品で年中食べられるネタではないですが、いつもシーズンがくるのを楽しみにしております。あとは「ほたて貝柱」「つぶ貝」「赤貝」など貝類全般も好きです。
とにかく毎月新メニューが多く登場し、どれもおいしそうな商品ばかり。一番好きなネタがすぐに更新されていきます(笑)


ーーうには年中販売しているネタではなかったのですね…。そういう商品のストーリーを聞くと売っている時に食べ逃したくないという気持ちになります。お話を聞いて完全にお寿司の口になってしまいました。
最後に、業種問わず個人的に好きな公式アカウントがあれば教えてください。

ゼスプリキウイ公式(@zespri_jp)です。CMなどでも人気のキウイブラザーズがキウイにまつわる情報や、2人の日常やオケージョンにまつわる発信をされています。とにかくエンゲージメントがすごいなと思います。
キウイブラザーズのキャラクター人気ももちろんあると思いますが、CMでお馴染みのキャラクターがCMのテンションのまま呟いていることに面白さを感じますし、オケージョンや〇〇の日など「あ、今日そういえばあの日か」と気づきがあります。ユーザーとのコミュニケーションを大切にして運用されているなと感じます。


ーー松井さん、ありがとうございました。

12603_image05.jpg

バズを作ることが目的ではない
商品の魅力を粛々と伝える大切さ

お話を聞いている中で何度も「今、一番お客様に届けたい情報を届ける」という言葉が出てきたのが印象的でした。Twitterという場所だからこそ、面白さやバズを作ることを狙い過ぎず、ブランドとして必ず商品の「おいしそう」に着地させることに徹底的にこだわる姿勢を感じました。

SNSに限らずマーケティングにおいて、①プロダクトを磨き込みその魅力をしっかりと伝えること、②ブランドのモットーを貫徹して、店舗体験の延長に広告宣伝などのコミュニケーションがあること、③お客様がいる場所、今回で言うとTwitterの特性を理解して、その文脈に伝えたいことをのせること、本質的なこの3つの大切さを改めて感じました。
(吉田啓介)


※2021年12月の取材時点での情報です。



この記事が気に入ったらフォロー

ニュースレター登録で最新情報をお届けします!





著者情報

著者アイコン
よしだけいすけ
2020年5月よりカラビナハート株式会社に入社。10社ほどの企業SNSアカウントのコンサル・運用支援を行っている。公式アカウントのフォロワー増や投稿のノウハウだけではなく、目的に合わせた目標設計やビジネス貢献の可視化、再現性ある仕組み作り、SNS担当者のトレーニングが得意領域。2020年4月までは株式会社すかいらーくHDのマーケティング本部にてコンテンツコミュニケーションチームのリーダー。7つの公式Twitterアカウントを立ち上げて合計210万フォロワーに。広告宣伝のほかアプリ、メルマガ、公式サイト、ファン施策、ポイントプログラムなどを担当した。店舗勤務含めて15年間在籍。