
非食品
”食”を取り巻く中国の輸出規制とチェックポイント
中国は規制や取り締まりが厳しく、それは食品に関しても同様です。海外から中国へ輸出するには厳しいチェックや越えなければならない障壁がいくつも存在します。本記事では「中国への食品輸出における規制とチェックポイント」をテーマに、中国の食品を取り巻く障壁に迫ります。
賞味期限に厳しい中国
中国では「中華人民共和国食品安全法」により、原材料と食品添加剤の賞味期限や賞味期限表記に対する規制が厳格に定められています。中国の生活者も、賞味期限をシビアにチェックした上で購入する傾向があります。こうした動向は、中国への輸出を考える食品メーカーが最初に考慮すべき大きな課題です。
なぜ厳しい?
中国生活者が抱える輸入食品への不満
食品へのチェックの厳しさは、国による規制と生活者が抱く不満要素に起因します。多くの生活者は輸入食品を購入した際、届いた商品の賞味期限が既に半分を切っていた経験があります。中国の生活者は賞味期限が短い商品を敬遠する傾向にあり、期限の短い商品は輸入代理店に取り扱ってもらえない可能性が非常に高まります。
中国への輸出時に
賞味期限のハードルを越えるには
中国の厳しい賞味期限のハードルを越えるには、どんな点に気をつければ良いのでしょう。まずは輸送時間だけでなく、中国の検査検疫機関における検査時間を見込んで、賞味期限の長い食品を製造、または改良することです。中国輸出用に添加物を加えることで、賞味期限を延ばす企業も存在します。
中国の国土は広く、大きさはおよそ日本の25倍。そのため、商品の流通にも想像以上の時間がかかります。貿易会社から、流通業者や代理店を経て店舗へ商品を届け、陳列される頃には、賞味期限はかなりの期間を越えてしまうのです。販売をおこなう代理店も、販売期間が長ければロスを減らせる為、賞味期限をシビアに見る傾向があります。生活者へ届くまでの時間にも、注意が必要です。
輸入時にチェックすべき3項目
・チェック項目1:鮮度
製造したばかりの新品か、在庫品か。
・チェック項目2:輸送時間
輸出国から中国までの距離や輸送手段によって異なる。通常の船便で見積もった場合、輸送期間は長くて1〜2ヶ月程度かかる。
・チェック項目3:通関・検査にかかる時間
輸入中国検査検疫機関や実験室での検査時間がどのくらいかかるのか注意が必要。
貿易取引相手の会社と契約する前に、相手会社の信用度・貿易経験を事前に確認する事で、書類準備や事前申請登録の手続き漏れによる港での滞留を防ぎ、スムーズに通関出来る。
「クチコミ」文化の中国。
医師や専門家のレビューは影響力大
コピー商品が市場に流通している中国。そのため、信頼できる要素や商品価値があるか、口コミを頼りに判断する傾向にあります。商品へのネガティブな口コミが、SNSや専用サイトに書かれてしまうと、ブランド価値に大きな傷がついてしまうのです。
特にシビアなベビー食品へのクチコミ
中国の子育て世代は、子どもの教育から健康までさまざまな面に気を配っています。特に”健康”は重要視されており、「赤ちゃんに最高のものを与え、健康を守りたい」という願いは、多くの親に共通する願いです。この心理的欲求は特に95後世代※の親達に顕著にみられ、中国の半数以上の親が「最高のもの」を与えるため、子育てに関する勉強をしています。
※95後(ジーウーホー)とは、中国で1995年以降に生まれた世代のこと指す呼び名
ベビー食品への生活者の価値観と情報源
中国で有名なマタニティー・ベビー専門情報メディア「丁香妈妈」のデータによると、赤ちゃんの健康に関連する知識において、7割の母親が「赤ちゃんの病気、成長と発達、栄養と離乳食」に関心を示しています。ベビー食品利用者の半数以上は、さまざまな情報源からの商品推薦情報を参考にしている、というデータもあります。
特に影響力を持つのが”クチコミ”
ベビー食品を利用する生活者は、価格にはあまり頓着せず、インターネットでの口コミ情報や、商品に関する専門性が高い人物のレビューに、購入意志が大きく左右されています。とりわけ「育児専門家」の影響力は莫大です。ネットユーザーにおける子育て世代の7割近くは、医師と育児専門家による商品レビューや推薦情報に注目しています。次に人気なのは、べビー・マタニティ分野のSNSメディアによる公式レビューです。
2021年4月に輸入食品への新規制が公布
食の規制は今後も目まぐるしく変化
2021年4月12日に「中華人民共和国輸入食品海外製造企業登録管理規定」が公布され、2022年1月1日から施行されます。この規制により、生産・加工・保存関連の企業は、税関総署への新たな登録申請が義務付けられました。
中国ではさまざまな規制が目まぐるしく変化しており、今後も食に関する新たな規制の公布が予想されます。中国市場へ参入するには、市場のニーズの変化と共に、規制の動向も注視し対応していくことが求められます。
次回は、上述でも少し触れた代理店の話を含めた「輸入食品における販路開拓」について迫っていきます。本記事と合わせてご覧いただくと、中国の食品事情への理解が深まりますので、ぜひご覧ください。
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著者情報

- (株)ポリスター
- 日中双方のスタッフによる、日本企業様の中国進出のサポートをおこなっています。中国進出の戦略立案からリスク管理、消費者向けのブランディングやプロモーション、販路開拓などのサービスを提供しています。
https://www.polystar.yokohama/