高栄養のスーパーフード、ホワイトソルガムで新たな食提案

高栄養のスーパーフード、ホワイトソルガムで新たな食提案

本特集では「おいしさの現場から」と題して、食をもっと楽しくもっとおいしく、をテーマにものづくりをされている企業をご紹介しています。今回は、小麦粉の代用としても注目されつつあるホワイトソルガムの販売・加工に取り組む「中野産業」にお話をうかがいました。まだ知られていない原料や商品をどのように広げ、定着させていけばよいのか。生活者の食への価値観やスタイルの変化を捉え、商品認知を少しづつ浸透させている事例をご紹介します。

お話をうかがった方

中野産業株式会社
代表取締役社長
中野 宏一 氏

存在さえ知らなかった穀物
当初は販売も苦戦

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ー アメリカでは、とうもろこし・大豆・小麦に続く、第4の穀物ともいわれる「ホワイトソルガム」。この食材との出会いについてお聞かせください。

当社は、創業明治10年の香川県の穀物メーカーです。ホワイトソルガムと出会ったのは1999年、ちょうど遺伝子組み換えのとうもろこしが社会問題になっていた頃で、アメリカ穀物協会主催のホワイトソルガムのセミナーに招待されたんです。そこで初めて存在を知りました。

セミナーには、それまで日本の大手メーカーも参加されていたようなのですが、聞いたこともない新しい穀物に手を出す企業はそうなかったらしく…(笑)。中小企業にも声がかかり、当社で取り扱うことに決めました。


ー まだ知られていないホワイトソルガムを扱おうと決めた理由は、何だったのですか?また、販売開始された当時のメーカーや生活者の反応はいかがでしたか?

実は私自身、「新しい穀物だからすぐに売れるだろう」と安易に考えていたんです。ところが、卸問屋さんから生活者に至るまで、知らないものはなかなか受け入れてもらえず、販売当初から苦戦しました。

まず認知してもらうおうと、ホワイトソルガムの皮を剥いて粒にして、焼酎の原料にしてはどうかと焼酎メーカーに提案しました。当時、麦焼酎が伸びていた頃だったのですが、黍(きび)焼酎には興味を示されず、却下されてしまいました。次に、粉状にして食品メーカーさんに持っていったところ、興味を持って商品開発までしてくれたのですが、一般の生活者に支持されるところまでには至りませんでした。魅力があるのに存在を知ってもらえず、日の目を見ないということが続きましたね。


ー ホワイトソルガムの認知が広がらない状況が続く中、知られるきっかけは何だったのでしょうか?

2003年に、食物アレルギーを取り上げた新聞記事の中で紹介されたことが、ひとつ大きな転機になりました。アレルギーをお持ちの方など、ホワイトソルガムを必要する方々から直接問い合わせなどが来るなど、大きな反響がありましたね。それ以降、食物アレルギーのお客様のリクエストにお応えする商品作りを始めました。

当時はまだ、食物アレルギーの方向けのお菓子などはなく、グルテンフリーという言葉さえもなかったくらいです。グルテンフリーは、15年ほど前にアメリカで肥満による健康問題が顕著になり、医療制度の見直しなどが社会問題になっていた頃、炭水化物の摂取を控える食生活の改善とともに生まれた言葉・考え方です。スポーツ選手やモデルなどがグルテンフリーの食生活を取り入れるようになってアメリカで広まり、日本で知られるようになったのはそれから5年後くらいでしたね。こうして新たな食の概念が浸透していったこともあって、少しずつですが一般生活者にも使っていただけるようになりました。

栄養価も高く安心して食べられる健康食材
時流に合ったスーパーフード

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ー ホワイトソルガムの魅力はどんなところなのでしょう?

一番のメリットはグルテンが入っていないので、食物アレルギーをお持ちの方や、グルテンフリーの食生活をされている方でも、安心安全に食べていただけるというところです。

ホワイトソルガムはさまざまな雑穀と比べてみても、ほとんど無味無臭で癖がありません。雑穀は、苦みやえぐみがあるから苦手という方もいらっしゃいますが、その原因はタンニンです。ホワイトソルガムにはこのタンニンが少なく、どんな料理にも使いやすく、とても食べやすいんです。例えば、吸油率は小麦粉に比べ6割程度なので揚げ物に使うとサクッと揚がりますし、クッキー等のお菓子材料にも向いています。

また、ホワイトソルガムは雑穀ならではの「鉄分」「マグネシウム」が豊富に含まれているのも特長です。雑穀は植物としての生命力の強さがあり、それが豊富な栄養素になって体によいといわれています。ホワイトソルガムは水が少なく痩せた中高地の畑など、環境の厳しい土地でも育つ非常に生命力の高い作物なので、昨今の食料問題の解決、環境負荷軽減、持続可能な農業といった点でも、とても魅力ある商品だと思っています。

自社だけでは難しかった課題
クックパッドとの取り組みで新たな可能性

ー 今後の課題は、どんな点だと感じられていますか?

まずはもっと認知を広げていくことです。今はまだ、数量的に出回っていないためどうしても価格が高くなってしまっているのが現状です。雑穀のホワイトソルガムはお米より原価が安いので、量産できれば価格はずっと安くなります。

また、グルテンフリーというとアメリカでも日本でも「米粉」が有名ですが、ホワイトソルガムはそれとまた違った特長を持っていますので、選択肢として増えていけば、企業やメーカーが開発する商品によって、使い分けていただくことができ、栄養価値の高いグルテンフリー商品がさらに増えていくのではないかと思っています。


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ー クックパッド・アライアンスの取り組みについて率直な感想を教えてください

今回、クックパッドとの取り組みは、本当に良いご縁をいただいたと思っています。これまで約20年、お客様の声をひとつひとつ拾いながら商品を形にしてきましたが、自社だけではなかなか認知が広がらず、限界を感じていました。正直、売れるかどうかわからずに手探り状態で開発した商品や、良い商品だけれどコスト面でやむを得ず生産をやめたものもあります。

実際にクックパッドユーザーの方に使っていただき、食べていただいたうえで、アンケートを踏まえた声をしっかりしたデータにまとめていただくことができました。自社だけではこういったデータ収集や分析はとてもできないですし、規模感も大きく違います。今後の商品開発に向けた的確な材料やアドバイスをもらえるのは、本当にありがたいですね。


ー 実際に、施策の実施後には大きな反応があったそうですね。

はい、クックパッドニュースで取り上げていただいた後、実売が大きく動きました。商品の情報を生活者へダイレクトにお届けすることができて、その価値を感じてくださった方が商品を購入してくださったのだと思います。商品を知っていただくことが本当に大事だなと感じました。

今後は、クックパッドと共同でグルテンフリーに関連した新商品も開発していく予定です。一緒にやってくれるパートナーがいるというのは、本当に心強いことです。

生活者に影響力を持つクックパッドとのこうした取り組みによって、ホワイトソルガムが生活者に浸透し、また食品メーカーにも認知が広まって「商品開発に使いたい」と言ってくださるところが増えていけばいいですね。

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日本でいち早くホワイトソルガムの可能性に目をつけた、中野産業。世の中に知られていないものを広めていくというのは、並大抵の苦労ではありません。そこには、ホワイトソルガムの持つポテンシャルや価値を信じ、ユーザーの声に丁寧に耳を傾けながら伝え続けてきた、地道な努力がありました。

食の多様化が進み、環境配慮への意識が高まる時代において、ホワイトソルガムのニーズは確実に高まっていくでしょう。今後の食の未来を支える、重要な食材になるのではないでしょうか。



writing support:Miyuki Yajima



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