ベイシア「別海のおいしい牛乳」×八天堂。産地連携強化の背景

ベイシア「別海のおいしい牛乳」×八天堂。産地連携強化の背景

ベイシアと八天堂がコラボした「ベイシア 別海のおいしい牛乳使用 くりーむパン」が1月10日から新発売されました。八天堂のくりーむパンとしては、初の他社PB(プライベート・ブランド)商品を製造する取り組み。ベイシアの人気商品「別海のおいしい牛乳」から作ったカスタードクリームを使用し、こだわり抜いたくりーむパンは、どのように誕生したのでしょうか。株式会社ベイシアの須永氏に、産地連携を強化したPB商品開発の背景と、商品への想いについてうかがいました。

お話をうかがった方

株式会社ベイシア
食品統括事業部 デイリー部 兼 フローズン部 部長
須永 氏

「これがあるからベイシアへ」
PB商品で他社との差別化を

ー 今回の八天堂とのコラボレーション商品は、PBとしての開発とのこと。ベイシア自体のPB商品への取り組みは、いつ頃からあったのでしょうか。

須永氏(以下、須永):実は当社のPB商品への取り組みは長く、20年以上前から手がけていました。ベイシアはディスカウンターという立ち位置だったこともあり、当初のPB開発は価格訴求が目的。風向きが変わったのは、4〜5年前です。市場競争が激化する中で、価格だけではない他社との差別化の手段として、PB開発が本格的に始動しました。
「この商品があるからベイシアに」という“目的買い”を目指し、進化したのです。


ー PBの目的が変わったことで、商品の作り方やアイディアの出し方なども変わったのでしょうか。

須永:ええ。変化していますし、ベストなあり方を追求し続けています。現在はマーチャンダイザーが食品関連だけで8名に増え、組織立った開発が可能になりました。大切にしているのは、お客さま視点をしっかり持つことと、ベイシアらしさを出すこと。当社は「より良いものをより安く」というモットーのもとに長年歩んできましたが、今後は価格訴求だけでなく、より一層良質で価値ある商品の開発をすすめていきます。

より良いものを届けたい。
産地の想いをこめた商品開発

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産地・生産者限定、酪農家さんのこだわりと愛情がつまった「別海のおいしい牛乳」


ー 価値あるPB商品の開発にシフトしてきた中で、別海(べっかい)の牛乳に注目したきっかけはなんだったのでしょう。

須永:差別化のための商品開発へとシフトする段階で情報収集をしていた際、生乳・乳製品卸売業の株式会社MMJ(以下、MMJ)と出会いました。「より良いものをより安く」という当社のモットーと、「酪農家さんの想いを世の中に届けていきたい」というMMJの想いがマッチングしたことがきっかけです。

MMJでは当時、別海町の牛乳を流通させたいという構想がありました。別海産の牛乳は非常に乳質が良く、乳脂肪分も高い。そうした特徴から主に加工用に回っていましたが、酪農家としては飲料用の「牛乳として市場に届けたい」との想いを抱えていたんです。そこで、MMJが別海産牛乳を流通させようと動いていたところに、当社のPB商品開発への想いが重なり「別海のおいしい牛乳」プロジェクトが始動しました。


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別海町の広大な牧場でのびのびと育つ乳牛


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「別海のおいしい牛乳」の生乳を生産する有限会社石坂牧場・石坂巧さん


ー これまで加工用だった別海産牛乳を飲用として販売することは、大きな商機だったかと思います。発売当初は「いけるだろう」という気持ちが強かったのでしょうか。あるいは、緊張や不安もあったのでしょうか。

須永:実は最初は不安だったんです。北海道というキーワードで売ればブランド力がありますが、「別海」はそこまでの知名度やインパクトがありませんでした。一方で、酪農家のみなさんは「別海」の名で売りたいという、強い想いがあったんですね。
牛乳はブランドスイッチしにくいカテゴリということもあり、非常に苦労しました。1年ほどかかって、ようやく軌道に。メディアなどでもご紹介いただき、風向きが変わっていきました。


ー 軌道に乗ったことで、お客さまからコメントをいただく機会も増えたのでしょうか。

須永:ありがたいことに、非常に多くのコメントをいただいています。PB商品の中でも一番です。特に、牛乳の味に非常に敏感なお子さまからも好評で「牛乳嫌いだったうちの子が飲めるようになった」といった声をいただいています。「別海のおいしい牛乳」は牧草を発酵させて体に良い飼料を与えることで、乳脂肪分が濃いけれど、すっきりした味わい。「別海のおいしい牛乳」ならではの味に、高い評価をいただいています。

PB商品の開発にあたっては「ベイシアにしかできないこと」を追求し、守っていくもの、信頼されるものになるよう、社内でもレギュレーションを決めて取り組んでいます。

着手から約半年でリリース。
スピード感と熱意で生まれた
“いいとこ取り”な絶品くりーむパン

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ー ベイシアにとっては非常に思い入れのある「別海のおいしい牛乳」ですが、今回の八天堂とのコラボはどのようなきっかけがあったのでしょうか。

須永:「別海のおいしい牛乳」はスイーツとの相性が非常に良く、過去にもバウムクーヘンなどをリリースしていました。当社としても、より産地連携を強化した商品開発をすすめていこうという方針で、2021年4月頃から新たな商品を模索。6月から八天堂とコラボした「別海のおいしい牛乳」ブランドのくりーむパン開発に向け、取り組みがスタートしました。


ー 八天堂さんとのコラボレーションにおいて、当初から手を繋ぎたいという感覚はあったのでしょうか。

須永:ええ。当社の方針として、タッグを組むメーカーもきちんと選定しています。専門の技術を持ったメーカーの工場で製造する、というレギュレーションがあります。八天堂はくりーむパン専門の工場がありますし、何より「別海のおいしい牛乳」の良さを理解してくださっています。熱意と高い研究心を持ってくださっていたこともあり、「必ず良い商品になるだろう」という確信がありましたね。


ー 良い商品になるという確信のもとでスタートしましたが、開発での苦労などもあったのでしょうか。

須永:お互いの持ち味を引き出すのに苦労しました。八天堂ならではのクリームの口溶けと、コクがありながらもすっきりした「別海のおいしい牛乳」の味わい。両者のバランスが非常に難しかったですね。グラム単位で微調整を重ね、30回ほどの試作を経て、ようやく納得のいく商品ができあがりました。


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須永:「別海のおいしい牛乳」のようなPBブランドは、当社にとっては特別なものですが、お客さまや取引先にとっては「特別」とは限りません。八天堂の担当者さんは「別海ファン」を公言し、私たちと同じ温度感でプロジェクトに挑んでくださいました。熱量とスピード感をもって商品開発を進められたことで、短期間でもすばらしい商品が完成したことは、本当にうれしいですし、感謝しかないですね。


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ー プロジェクトメンバーが高い熱量をもって開発したくりーむパン。どのようなお客さまに味わっていただきたいですか。

須永:スイーツ好きな方やトレンドに敏感な方をはじめ、「別海のおいしい牛乳」をご愛飲いただいている方にも楽しんでいただきたいですね。ぜひ、「別海のおいしい牛乳と一緒に味わっていただきたいと思っています。スイーツを最初のタッチポイントとして、牛乳本体にも興味をもっていただくなど相乗効果を生み出せたらうれしいです。


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須永:おかげさまで、発売直後から大変多くの反響をいただいております。今後も冷凍食品コーナー内でフィットする売り場を探っていきながら、継続販売を考えています。ゆくゆくは八天堂さんとのスイーツのコーナーも作りたいですね。


ー 冷凍スイーツの需要はクックパッドの生活者動向としても伸長していますが、ベイシアとしても冷凍スイーツへの関心は高いのでしょうか。

須永:冷凍食品自体がコロナを機に拡大しています。これまでの主力は麺類やお弁当惣菜などでしたが、新たなカテゴリ強化として当社はスイーツに注目しています。海外で人気のデザートなど、チルド帯だと難しかった商品も、冷凍だと販売可能に。スイーツ系は非常に販売力がありますので、今後より一層充実していくカテゴリになるでしょう。

今回開発した「別海のおいしい牛乳使用 くりーむパン」も、PBとしてさまざまなフレーバーを展開するなど、大きなカテゴリにしていきたいですね。お客さまに愛される商品になるよう、育てていきたいと思っています。

▶︎​​別海のおいしい牛乳使用 くりーむパン
▶︎ベイシア「別海のおいしい牛乳」



writing support:Sayaka Takahashi



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