
企業・業界動向
売上は前年比4倍と大躍進。話題の”豆腐干”最大手、優食の仕掛け方とは?
糖質オフビール、オートミール、大豆を使用した植物由来の代替肉など、健康志向の食品が続々とトレンド入りする中、豆腐干(※)が注目を集めています。台湾、中国で広く食べられている食品で、日本で販売されるものは、業務用の輸入品がほとんど。特に好調に売上を伸ばしているのが優食です。生活者向けに豆腐干を発売し、ECでの売り上げは前年比の約4倍。平手氏に、市場の動向や急増する需要についてうかがいました。
※豆腐干とは‥豆腐干とは、豆腐に圧力をかけて脱水し、乾燥させた豆腐の加工食品のことです。中国や台湾ではとても身近な食材で、豆腐干を細い麺のように切った豆腐干絲(とうふかんす)は、炒め物や煮物、サラダなどにして食べられています。
関連記事:[トレンド調査隊]豆腐干が人気。麺の代替レシピに需要あり
お話をうかがった方
株式会社優食 広報担当
平手 玲奈氏
2019年の業務用製品発売から2年で躍進
優食 オンラインショップ:https://yushoku.shop-pro.jp/
優食の豆腐干は、2020年3月に発売。1袋100g入りで、糖質1.8g、たんぱく質23gのグルテンフリー食材です。賞味期限は製造より540日と長く、冷凍状態で届きます。解凍して、ゆでてから使用します。
種類は、和えものや炒めものに適した5~6センチ長さのショートタイプ(写真左)、麺感覚で使用できる16センチほどの長さのロングタイプ(写真中央)、煮ものや鍋に活用できる帯状の平切りタイプ(写真右)の3つ。現在はEC販売をメインに販売しています。
ーー豆腐干を使用した料理を見かける機会が増えているように感じます。現在の売れ行きはいかがですか?
当社がECで豆腐干を発売し始めたのは2020年の3月です。2021年は一般向けに販売しているEC商品が約4倍、業務用は約5倍を売り上げています。業務用製品の販売は、一般向け製品の販売に先立って、2019年からスタートしました。その頃はまだ豆腐干の認知度が低く、中国や台湾へ行かれた方や料理関係者が現地で食べて知っているくらい。飲食店へ営業に行っても首を傾げられることもありました。
ーー風向きが変わったのは、いつごろでしょう?
2020年に女性のインフルエンサーの方に、「ヘルシー食材」の文脈でピックアップしていただいて、ポンと跳ねたのが最初です。コロナ禍の宅配や冷凍食品の需要増、健康志向の高まりもあり、高タンパク、低糖質であることがニーズとマッチしたのだと思います。その後もSNSやメディアで取り上げていただいて、2022年のトレンド予測にもランクイン。知度も格段に上がりました。
食品業界からトレンドを仕掛けるというよりも、一般向け製品からムーブメントが起こり、外食や食品加工メーカーに波が広がっているイメージです。以前は取引に繋がらなかった企業からもお声かけいただくなど、一般向け、業務用のどちらも、多くのお問い合わせや引き合いをいただいています。この反響には私たちも驚いている、というのが正直なところです。
ーー一般向けの製品の購買層は、やはり健康意識が高い方がメインですか?
そうですね。そこから徐々にライト層にも広がっているイメージです。豆腐は日本人に馴染みがあり、シンプルにおいしいので、ストイックに健康のための食事をする方だけでなく、「体に良くて、おいしいものを食べたい」という両軸を叶えたい方へも届いていると感じています。食べ過ぎた翌日の選択肢など、日々の食卓に気軽に取り入れるような動きがあります。
一般向け製品は日本向けにローカライズ
年内に国内製造の新製品も
ーー食品自体のポテンシャルに加えて、一般向けに発売されている製品は1食分ずつの小分けになっているなど、使いやすさも人気のカギになっていそうですね。
これまで国内のアジア食材店などで出回っていたのは、業務用の大容量の商品がほとんどでした。そのため、一般向けの製品を作るときは、日本の食文化にマッチすることに重きを置いて企画しました。1食分相当の100gの小分けにしたのも、健康意識の高い方へ向けた狙いでもあります。麺の細さや長さも、社内で議論し試作を重ねました。ロングタイプは麺の代替になるよう、一般的な麺の長さに近い16センチ前後のものに。パッケージも台湾の屋台で売られているようなレトロチャイナ風で、中の豆腐干が見え、手に取りやすいデザインにしました。
ーー現在、国内製造の豆腐干を開発中だとうかがいました。
ええ、年内には販売できるよう、急ピッチで開発を進めています。昨年より、健康や栄養の視点を抜きに「おいしさ」で手にとっていただけるように、 国内製造の開発に着手しました。原料も変わるので、食感やうまみ、風味などもこれまでとは異なり、より良いものをお届けできると思います。将来的には、原材料も全て国産の完全国産品を製造する考えで、海外への輸出も視野に入れています。
開発のもう一つの理由としては、「業務用製品で国内製造の製品が欲しい」とのお声をいただいていることです。現在販売している製品も、中国の自社工場で管理・生産しており、安心安全なものを提供できていますが、 国内製造の原材料にこだわっている企業も少なくありません。さらに 国内製造のほうが生産体制などの調整がしやすく、フードマイレージなどの観点からも、ベストな形で生産できます。
豆腐干を生産する機械は、当社で全て設計・開発し、2つの特許を取得。まだ、細かな調整が必要で具体的な発売日は申し上げられませんが、発売とともにさらなる市場拡大ができると予想しています。
引用:国分グループ本社 豆腐干 麻辣山椒味・豆腐干 出汁かつお味の商品ページ
国分グループ本社から発売された、飲み活ラボシリーズ。「豆腐干 出汁かつお味」と「豆腐干 麻辣山椒味」の2種類があります。
ーー業務用は、豆腐干のどんなところに魅力を感じて引き合いがあるのでしょうか?
一番は栄養価ですね。コンビニ各社では、サラダのベースや代替麺などに利用されています。また、性質として茹で伸びせず、水分量の多いソースでも食感が変わらずに食べられる、保存性の高さも中食の観点から評価されています。
2021年3月からはライフ系列のスーパー「ビオラル」で、量り売り総菜の食材として取り扱いがスタート。国分グループ本社から発売されている、健康志向のおつまみシリーズ「飲み活ラボ 豆腐干」の原料にも使われています。外食では中華料理以外のジャンルからも引き合いがあり、和食の飲食チェーン店で代替麺としての利用も予定しています。私どもの提案の成果もあり、日本独自のアレンジも広まっているのが非常に嬉しいですね。
量販店での販売、定期購入サービスも視野に
ーー今後の展開はどのように考えていらっしゃいますか?
近年はさまざまな商品が登場し、おいしいご飯と健康がトレードオフだった時代から、大きく変化しています。豆腐干も「おいしくて食べていたら健康が叶った」と言っていただけるように、お客さまからのフィードバックを製品に落とし込み、進化していきます。最近は多くの方から「どこで買えるのか?」というお問い合わせをいただき、心苦しいこともあります。より多くのニーズに応えられるよう、ECと並行してスーパーなど量販店への販路も広げたいと考えています。また、リピーターの方も多く、20回以上利用するお客さまもいるので、定期購入できる仕組みの開発も視野に入れています。
優食は、“ひとに、地球に、優しい食を。”がコンセプトですから、その想いに沿った商品を展開をしていきたいです。
ーーありがとうございました。
優食のコンセプトは、食の未来につながるだけでなく、近年、生活者が強く求めるものでもあります。年内の新商品発売で、さらなるブレイクを果たすことでしょう。
writing support:Akira Fukui
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