食品自販機が新たな販売チャネルに。食品ロス削減にも貢献

食品自販機が新たな販売チャネルに。食品ロス削減にも貢献

時間を問わず、非対面でグルメを購入できるため、注目を集めている食品自販機。気軽に外食できない状況下で、お店の本格的な味を楽しめることから、生活者の人気を集めています。食品自販機の需要が高まった背景と、各企業の導入事例や狙いを詳しく解説します。

食品自販機(食品自動販売機)とは

食品自販機とは、食品を中心に販売している自動販売機のことです。24時間365日稼働していて、生活者のライフスタイルに合わせて商品を購入可能。非接触、非対面で販売でき、コロナ禍における感染症対策の観点でも注目を集めています。2020年時点での普及台数は約7万台。近年は、冷凍機能をもつ食品自販機も普及し、生活者のニーズを捉えています。

※一般社団法人 日本自動販売システム機械工業会(略称JVMA)データ
https://www.jvma.or.jp/information/information_3.html

人手不足解消、非接触メリットから
導入企業が増加

日本は「世界一の自販機大国」といわれており、飲料自販機は数多く設置されています。しかし、2000年頃から飲料自販機の普及台数は徐々に減少。背景には、24時間営業のコンビニやスーパーの増加が関係しているようです。一方で、食品自販機が注目を集めるようになりました。わずかなスペースを有効活用できて、商品の入れ替えも簡単。レジに人員を配置する必要がなく、人手不足の解消や人件費削減にも繋がることから、導入する企業が増えています。

コロナ禍において、食品自販機は時短営業などで苦境に立たされる飲食店の売り上げ確保の一手としても、脚光を浴びています。人気店のメニューを並ばずに購入でき、外出を控えている生活者にもアプローチ。これまで自販機で扱われなかった食品を販売することで、PR効果も期待できます。
加えて、ご当地の食品自販機や昭和生まれのレトロ自販機が並んだスポットも、SNSを中心に話題です。密になりがちなスポットが利用しにくい状況で、YouTuberやインフルエンサーが積極的に取り上げているのも背景にありそうです。

お店の味を自宅で。グルメな食品自販機が続々登場

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食品自販機は、まさに時代に即した販売チャネルです。お店のメニューを自販機で提供し、オフィスや自宅で本格的な味を楽しむ生活者のニーズを捉えた事例をご紹介。もんじゃの名店から世界的に展開するコーヒーショップまで、さまざまな飲食店が参入しています。

断面映えの「ショートケーキ缶」!
SNSでブレイク中のスイーツ自販機

北海道発の夜パフェ専門店「パティスリー オカシ ガク(patisserie okashi gaku)」が手がけるスイーツ自販機。断面の美しさから「萌え断」といわれ、Z世代を中心にSNSで人気です。「ケーキを24時間楽しんでもらいたい」との想いから開発され、自販機で購入するときの衝撃で形が崩れないよう、詰め方も工夫しているのだそう。
▶︎https://okashigaku.official.ec/

関連記事:究極の萌え断「ショートケーキ缶」ブームの裏側を読み解く

QRコードで後払い

「クリスプステーション」によるサラダの自販機
サラダ専門店クリスプサラダワークスが提案するサラダの自販機「クリスプステーション」です。サラダ容器のQRコードを読み込んで、会計をおこなう後払いタイプ。忙しいビジネスパーソンの貴重な休み時間を奪わない配慮から考案されたシステムです。
▶︎https://station.crispsaladworks.com

関連記事:レジ会計不要のサラダストア「クリスプ・ステーション」誕生

スペシャルティコーヒーを自販機で
「Blue Bottle Coffee Quick Stand」

2020年には、サードウェーブコーヒーの人気店「Blue Bottle Coffee」によるスペシャルティコーヒーの自販機も登場しました。渋谷などの都内を中心に設置されており、コールドブリューの缶コーヒーのほか、コーヒー豆や羊羹なども販売しています。
▶︎https://store.bluebottlecoffee.jp/pages/bluebottlecoffee-quickstand

閉店した店が復活
「餃子のみっちゃん家」の味が自販機で

2019年8月に閉店したテイクアウト専門餃子店「餃子のみっちゃん家」が、冷凍餃子の自販機で復活。その味を守りたいファンが集い、復活が叶いました。今後は高崎市内に広く展開予定です。
▶︎https://gyoza.link/

世界初!?「月島もんじゃ おこげ」による
もんじゃ焼きの自販機

名店「月島もんじゃ おこげ」の味が楽しめる、世界初のもんじゃ焼き冷凍自販機が誕生しました。来店客から「お土産にしたい」との要望に応えて考案されたといいます。だしの味や具材の切り方を改良し、家庭でもおいしくいただけるように作られています。
▶︎https://tkjm.jp/tsukijiuogashi/store528/lineup/

冷凍技術向上で多様な食品自販機が登場

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近年の技術向上により、冷凍機能をもつ自販機が登場しました。幅広い種類の商品を扱え、生活者の多様なニーズを満たせるようになった背景も、食品自販機ブームを後押ししているといえるでしょう。

マルチストック式冷凍自動販売機「ど冷えもん」(サンデン・リテールシステム)
「ど冷えもん」とは、さまざまな容器の形状に対応可能な冷凍自販機です。マルチストック方式が採用され、従来は販売の難しかった大きさの異なる商品が展開できます。

ど冷えもんの設置事例

「松屋」のおなじみの牛めしの具やカレーがいつでも
2021年11月、「松屋」南砂町店の前に、初の冷凍自販機が設置されました。牛めしの具やカレーなどの人気商品を扱っており、ストック食材としての購入も想定して展開しているといいます。
▶︎https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/whatsnew/topics/37403.html

「業務用精肉店『浅草ハム』」がコロナ禍で新しいチャレンジ

「浅草ハム」は業務用精肉店でしたが、コロナ禍で店頭販売を開始。営業時間を過ぎても購入できるよう、2021年には店舗の前に冷凍自販機を導入。焼豚、ベーコン、ソーセージなど、おつまみや、おかずの一品に使えるラインナップを揃えています。
▶︎https://www.asakusa-ham.co.jp/blog/menswallet/

全国の有名ラーメンを一台に凝縮「ヌードルツアーズ」

製麺店「丸山製麺」が、全国の有名ラーメン店のスープと自社製麺をセットにして販売している自販機です。ターゲットは「フードコートでラーメンを食べる層」。名店の味を自宅でも再現できるよう麺の原料やスープのクオリティに注力しています。
▶︎https://noodle-tours.com/

食品ロス削減に貢献。障がい者支援にも

食品自販機が、食品ロス削減の取り組みや、障がい者の自立支援にも繋がっています。

相模原市役所に設置「フードロス対策自販機」

コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、相模原市役所に「フードロス対策自販機」を設置しています。余剰在庫となってしまった製品を集め、通常価格より安価で販売。売上の一部は市のSDGs事業推進のために寄附される仕組みになっています。
▶︎https://www.ccbji.co.jp/news/detail.php?id=1110

ネスレ日本が余剰在庫を販売「食品ロス削減ボックス」
ネスレ日本は、駅やオフィス付近など全国5カ所に食品ロス削減ボックスを設置しています。食品ロス削減事業を展開する「みなとく」開発の無人販売機「fuubo(フーボ)」を活用し、納品期限を過ぎて流通困難になった「ネスカフェ」や「キットカット」などを通常価格より10円〜270円程度安価で販売しています。▶︎https://www.nestle.co.jp/media/pressreleases/20210617_nestle

農福産業の「焼き芋自販機」が障がい者自立支援を後押し

農福産業は、全国に45台もの焼き芋自販機を設置しています。同社は障がい者の所得向上などの社会貢献に力を入れており、焼き芋自販機の商品は障がい者が焼き芋の製造から袋詰めまでをおこなっています。南道後温泉に設置したところ、行列ができた実績も。
▶詳しくはこちら
https://foodclip.cookpad.com/12708/

新たな生活様式にマッチした
食品自販機が定着となるか

食品自販機は「省人化」「省スペース」「非接触」といったメリットがあり、ますます広がっていくでしょう。今後はスーパーやコンビニと同じように「一台で買い物が完結する」販売チャネルへと発展するかもしれません。

また、SDGs達成のために食品ロス対策自販機は増えていくでしょう。さらに余剰在庫を減らせるような仕組みづくりも展開されそうです。



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