[カゴメ]業務用発信でInstagram活用、その理由は

[カゴメ]業務用発信でInstagram活用、その理由は

これまで食品業界においてBtoB内でのアプローチといえば、展示会や個別商談会が主流でした。コロナ禍でイベント開催が縮小傾向にある昨今、BtoB領域での発信に課題を感じる企業も増えています。そうした中、カゴメ株式会社では業務用に特化したInstagramアカウントを新設。toCイメージの強いSNSで、toB向けの発信をスタートした背景や今後の見据え方について、担当の岡田様にうかがいました。

お話をうかがった方

カゴメ株式会社 マーケティング本部
食品企画部 業務用グループ 主任
岡田 拓也 氏

市場環境が変化する中、
既存顧客以外にも直接情報を。

ー 業務用の発信にInstagramを選んだのは、どのような背景があったのでしょうか。

岡田氏(以下、岡田):これまで業務用の商品やメニューなどに関する情報発信は、専門誌であったり、卸売業者を通じた情報提供、展示会などがメインでした。食品業界は全体的に人手不足で、情報発信までなかなか手が回らない状況だったのが、新型コロナの流行で加速。オフラインでの情報提供も難しくなり、オンラインでの施策を模索しました。

そうした中で、2021年7月に初めてのオンライン展示会「ベジタブル・ソリューション」を実施したものの、参加者数が目標値に届きませんでした。要因は、既存顧客にしか、声がけできなかったこと。これからは既存のファンだけでなく、幅広い層に直接情報を届けていく必要があると実感したのです。


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2021年7月に開催されたカゴメ初のオンライン展示会「ベジタブル・ソリューション


岡田:LINEなども選択肢としてありますが、もともとの繋がりがなければ情報が届きません。一方、Instagramは飲食店や栄養士などのユーザーも多く、ハッシュタグでの検索が可能です。カゴメというキーワードに限らず、「献立」や「メニュー」などのお悩みベースで検索した際に、拾ってもらえる場として機能します。当社の商品は、野菜などの健康イメージや、色鮮やかなメニューの提案という点でもInstagramとの相性が良いと考えました。実際に、テーマを「野彩(やさい)」として発信をしています。


ー Instagramは、toC向けの発信というイメージが強い印象ですが、業務用アカウントの開設にあたって社内からの反応はいかがでしたか。

岡田:当社商品の認知度調査を行った際、定期的に商談をしているお得意先様は認知度が高かったものの、直接商談する機会の少ない居酒屋やカフェなどは、トマトケチャップ以外の認知が低い、という結果が出ました。冷凍野菜などは20%程度、トマトソースも50%程度です。コロナを含めた市場や環境変化の中で、「ユーザーに直接情報を届ける」ことの必要性を共通認識とする中で、その手段の1つとしてInstagramの検討を開始しました。そのため大きな反対はなく、むしろ新しいプロモーションとしてポジティブな意見やアドバイスを多くもらいました。企画部門の独りよがりな発信にならないよう、社内勉強会の開催や営業活動との連携についても同時に進めています。

なお、認知向上の他手段として、業務用厨房機器メーカーやグルメサイトなど、飲食店との繋がりが太い企業とのコラボによって、情報を届けるという施策もおこなっています。

コミュニケーション起点としてのInstagram

ー toC領域の情報発信ですと、さまざまな知見が溜まっていると思いますが、業務用の発信は先進的な取り組みかと思います。コンテンツ作りはどのような体制で行っているのでしょうか。

岡田:社内は、フードプランナー(管理栄養士)と私、加えて、元々業務用ホームページ等のコンテンツ制作に協力いいただいてる代理店とチームで取り組んでおり、「野彩(やさい)」をテーマとした彩りメニューや調理のポイントなど、ターゲットの方々の興味を引くようなアカウント作りを心がけています。
なお、これまでにない取り組みなので、行き詰まらないように、2カ月前にはコンテンツとスケジュールは確定させていますね。同時に、営業部門へは事前共有しており、商談への活用も進めています。


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カゴメの業務用Instagramアカウントでの投稿
調理のポイントやシェフとのコラボレーションなど、ヒントが詰まった内容に


ー 事前に社内でコンテンツの情報を共有しているのですね。

岡田:はい。toC向けの商品は、情報を受け取ったユーザーが「買いたい」と思ったら、スーパーやコンビニ、ECなどですぐに購入できます。一方、業務用は「いいね」となってもすぐに購入ができないケースも。当社商品の取扱率が高かったとしても、ユーザーと取引のある卸売業者で取り扱っているとは限らないからです。

だからこそ、Instagramでの発信が商談フックに繋がるような設計をしています。事前に卸売業者にも情報共有をして、商談の際に「カゴメってInstagramやメルマガで商品情報を発信してるよ」とユーザーに促していただく、という流れに。当社の商品は、卸売業者を通じた案内や配送がなかったら成り立ちません。チャンスロスを減らすためにも、「卸さんと一緒に」その先の情報をユーザーに届けていくことを意識して取り組んでいます。


ー 業務用商品については、既存顧客を守ることに重きをおくケースもありますが、新規開拓にもチャレンジされているのですね。

岡田:売上の柱となる大手チェーン店や加工ユーザーなどには、営業を通じて「顧客ならではの悩み」に応えられる商品価値を届けていく。
新規開拓という点では、Instagramなどの新しい手法を通じて、「まずは商品を知ってもらう」ところからはじめて、幅広く商品情報を届けていく。この両輪で、商品の認知・取扱いを増やしていきたいと考えています。


ー それぞれに異なるアプローチをされているのですね。Instagramでの情報発信は、成果指標の難しさもあると思います。フォロワー数というよりは、発信していくところに重きをおかれているのでしょうか。

岡田:そうですね。Instagramでは、業務用の扱い数がどのぐらい増えたか、などの定量数字はとれません。フォロワー数はKPIとして置いていますが、情報の発信量も指標に入れています。

また、そうした目に見える数字だけでなく、コンテンツを事前に共有することで、営業の商談資料作成にかかる時間の削減も目指しています。これまでは、得意先などによってそれぞれが資料を作ってきましたが、業務用ホームページやInstagramのコンテンツと連動した商談資料を事前に共有することで、業務効率の向上もはかっています。


ー ホームページやInstagramグラムと連動させながらの営業戦略をとっているのですね。

岡田:2021年1月には、業務用商品サイトをリニューアルし、メルマガもスタートしました。Instagramも含めて、業務用ホームページへの流入を中心に据えています。そうした流れを作ることで、ユーザーに情報を届け、営業とお客さまとのコミュニケーションツールになればと考えています。


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カゴメ業務用商品サイト


岡田:もうひとつ、私がSNSの面白いところだなと感じるのは、「間接的にも情報が届く」ことです。2021年にABEMAで「ナポリタンスタジアム」を実施した際も、当初は若者のイメージが強く、「ナポリタンを作る主婦層に届かないのでは?」という懸念がありました。ですが、関心を持った10代の方がSNSで発信し、その家族や知人などが情報を受け取り、最終的には想定した層が見てくれるという結果に繋がりました。

今回開設した業務用Instagramアカウントも、購買決定者・メニュー決定者に直接は届いていなくても、例えばその人の家族や、一緒に働く関係者の方が知ることで、認知や購入に繋がる可能性があります。だから、「まずはやってみよう」という心持ちで取り組んでいます。

周囲と連携し、課題解決に繋がる発信を。


ー 2022年1月にアカウントを開設してから1ヶ月ほどですが、反応はいかがでしょうか。

岡田:直接の反応は見づらいので、わからないのが正直なところです。「#カゴメ業務用とハッシュタグをつけてアップしてください」と呼びかけてはいますが、なかなかすぐには繋がりません。今後は、ハッシュタグ投稿をしてくれたら、サンプルをプレゼントするなどの施策も検討していきたいです。
営業がお客さまから「見たよ」という声をいただいたり、「写真の彩りが良かったね」という声が届いたり、というのは純粋に嬉しいですしやりがいはありますね。


ー 今後強化していくことや、他の施策などは考えていますか。

岡田:まずはスタートしたばかりなので、支店や卸売業者、外部の方とも協力しながら、できることを徹底していきます。
2月の投稿で気づいたことがあって。特定分野の商品を連続投稿したら、フォロワーが減ったんです。フォローしてくれる方の中には、さまざまな業態の方がいます。特定の分野が続くことで「自分の業態には関係ない」と感じる方もいらっしゃるようです。給食、レストラン、ベーカリーなど幅広いチャネルに合った情報発信が大事だなと感じました。あらゆる業態へのヒントや、課題解決に繋がるような発信を目指していきたいですね。

7月に実施するオンライン展示会、「ベジタブル・ソリューション」に向けて、どのように連動させていけるかも構想中です。

▶︎カゴメ業務用商品サイト
▶︎カゴメ業務用Instagramグラムアカウント



writing support:Sayaka Takahashi



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