食品ロス、データ活用・・テクノロジーが外食の課題を解消?最新事例を紹介[SKS Japan Focus Session イベントレポート後編]

食品ロス、データ活用・・テクノロジーが外食の課題を解消?最新事例を紹介[SKS Japan Focus Session イベントレポート後編]

2022年2月16日、一般社団法人日本能率協会(JMA)主催の国際ホテル・レストランショー内で「テクノロジーを活用した外食産業の体験価値向上」をテーマにしたイベント「SKS Japan Focus Session」が開催されました。全9つのセッションでは、食品業界を牽引する大手企業やスタートアップ、総勢20名が登壇。各セッションの概要・要点を前編と後編にわけてご紹介。今回は後編です。前編記事はコチラ

6.作り手(シェフ・調理人)の進化
「テクノロジーはいかに作り手の可能性を広げ、食の価値向上を実現するか?」


[スピーカー]
●株式会社ユーハイム 代表取締役社長:河本 英雄
●アンリッシュ食品工業株式会社 代表取締役社長:二宮 大朗
●株式会社Mr. CHEESECAKE 代表取締役:田村 浩二
●ONODERA GROUP グループエグゼクティブシェフ・執行役員:杉浦 仁志

[モデレーター ]
●株式会社シグマクシス リサーチ/インサイト スペシャリスト:岡田 亜希子

「テクノロジーはいかに作り手の可能性を広げ、食の価値向上を実現するのか」がテーマの本セッション。岡田氏がモデレーターとなり、世界初のAIバウムクーヘン職人THEOを展開するユーハイムの河本氏、プロトン凍結技術と解凍技術のトップランナーであるアンリッシュ食品工業の二宮氏、そしてシェフとしてMr. CHEESECAKEの田村氏、さらにソーシャルフードガストロノミーの活動を推進するONODERA GROUPの杉浦氏によるトークが展開されました。

ユーハイムの河本氏は、世界初のAIバウムクーヘン職人THEOくんを紹介。AIに製造のスキルを習得させるプロセスは、人間への指導と通じるものがある、と語ります。

河本:THEOくんは、バウムクーヘンの製造と画像解析の親和性の高さから誕生しました。ベテランパティシエが製造のスキルを教え込んだり、データを付け合わせることで、商品の品質が高くなります。フードイノベーションについては、効率化だけではない価値創造、継承という側面もあると感じています。

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アンリッシュ食品工業では、氷の粒を小さくして細胞の破壊を防ぎドリップを軽減、弾力がキープできる「プロトン凍結技術」と解凍技術を生かし、凍結機から食品製造にいたるまで、幅広い「凍結ソリューションサービス」を手がけています。
二宮氏は、レストランシェフを食品開発者として抱えることが、自社の強みであると語ります。

二宮:自社の最大の強みは、シェフと凍結技術の融合です。一流の飲食店やホテルで経験を積んだ料理人が、コネクテッドシェフとして凍結技術を活かした商品開発を実現できたことで、事業の差別化に繋がりました。

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ONODERA GROUP エグゼクティブシェフの杉浦氏は、自らAIに関する資格を習得し、フードテック領域での事業開発を進めていると言います。

杉浦:調理者がより快適な環境になる、ロボティクスを通じた開発事業を進めています。また食糧危機や環境問題などについて、テクノロジーを組み合わせたソリューションを創出しようと、野菜や土、種の共同研究をおこなっています。

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シェフの立場から危機感を感じると話すのは、Mr. CHEESECAKEの田村氏。

田村:個人的に感じている危機感は、シェフがテクノロジーに対してアプローチし、どう活かすかがあまり議論できていないこと。
シェフは、ものづくりに対してのプロセスをあまり変えたくないのかもしれません。極論、プロセスが機械化された時、料理人の何を残すべきなのか? 味覚をどうやってAIに学ばせるのか? 数値化しにくいところをどのように学ばせるのかが“戦えるスキル”になるでしょう。テクノロジーと感覚値の融合による新しい表現や、「代替される」という視点を持った時に、どういったスキルを提案できるのかがカギになるのではないでしょうか。

一見相反する印象がある「ものづくりとテクノロジー」。距離感や向き合い方へのヒントを得られるセッションが展開されました。


▶︎ユーハイム(THEO) https://theo-foodtechers.com/
▶︎アンリッシュ食品工業 http://enrichfood.co.jp/about/
▶︎Mr. CHEESECAKE https://mr-cheesecake.com/
▶︎ONODERA GROUP https://www.onodera-group.jp/

 

7.フードロス·アップサイクルの可能性
「外食を起点とした新たな社会課題の解決アプローチとは?」

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[スピーカー]
●CALCU 代表取締役社長:金子 隆耶
●コークッキング 取締役 CPO:伊作 太一
●CRUST JAPAN General Manager:吉田 紘規

[モデレーター ]
●株式会社シグマクシス 常務執行役員/SKS Japan主催者:田中 宏隆


食品業界の中でも飲食店やホテルと切っても切り離せない課題となっている、食品ロス。長年の課題ではありましたが、2020年以降、日本でも若年層を中心に「食品ロス」や「アップサイクル」への関心が急速に高まりつつあります。また最近では、ESG銘柄という視点からも事業者の意識も変化。

本セッションでは、株式会社シグマクシス田中氏をモデレーターとし、飲食店で発生する食品ロスを可視化するIotゴミ箱を手がけるCALCU代表の金子氏、フードシェアリングサービス「TABETE」を運営するコークッキング代表の伊作氏、余剰食品からアップサイクル飲料を製造する「CRUST JAPAN」吉田氏という、同領域のトップランナーによる事例紹介とトークセッションが展開されました。

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「食品ロス解決の最大のボトルネックは何か?」という田中氏の問いに対しては、エシカル層などの生活者によるアクションだけではなく、より幅広い生活者に浸透させること、そのためにも、流通側の対応、例えば店頭でのアップサイクル棚の設置、納入期間の長期化、そして法律の改定に至るまで、取り組める事は数多くあるという議論がなされました。

▶︎CALCU https://calcu.jp/
▶︎コークッキング https://www.cocooking.co.jp/
▶︎CRUST JAPAN https://www.crust-group.com/jp

>>本セッションの詳細記事は4月頃掲載予定

8:レストランDX革命~DXの先にある未来の姿~「データ活用が実現する効率化の先にある新たな顧客体験やメニュー開発の姿とは?」

[スピーカー]
●株式会社SARAH 代表取締役:髙橋 洋太
●株式会社dinii 執行役員 営業統括:益子 雄児

[モデレーター ]
●クックパッド Biz Dev& Strategy Manager:住 朋享

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おいしい一皿が集まるグルメコミュニティ「SARAH」の髙橋氏と、モバイルオーダーPOS事業を展開する「dinii(ダイニー)」の益子氏をスピーカーに迎え、住氏がモデレーターを務めた本セッションでは、「加速化するDXの先に、どのような未来を描いていくべきなのか」についての検討がなされました。

コロナ禍を経てのレストランテックの変化は、大きく3つがあげられます。

①パンデミックによる利用シーンの多様化
②電子決済の普及、運用の多様化、効率化
③店舗経営の可視化効率化(BI)への進化

一方、DXによって飲食店が本当に成し遂げたいのは、「顧客体験を変えること」です。

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「レストランがデジタル化すると何が起こるのか」という住氏の投げかけに対して、SARAH髙橋氏は大きく2つのフェーズがあると提案します。

髙橋:1つ目は「(レストラン自体の)存在のデジタル化」、2つ目が「ユーザーの飲食行動のデジタル化」だと思います。食全体の行動がオンライン化しつつあることで、行動履歴の中から求めるものに出会いやすくなり、顧客視点での商品化が可能に。データ活用は大きくわけて、「マーケティング」と「データ活用」の2軸で考えることができます。
伸びているキーワードの組み合わせにより、顧客視点での商品開発や、シェフのイマジネーション強化にも繋がるでしょう。


一方、「モバイルオーダーに活路が見出せる」と語るのは、diniiの益子氏。

益子:飲食業界の顧客管理は、長年なかなか進捗がありませんでしたが、モバイルオーダーに活路が見出せるのではないかと感じています。顧客との接点が増え、顧客の体験としては、提供商品のパーソナライズ化が可能になります。

パーソナライズ化が進み、レコメンド可能な世界が実装されると、ランキングだけでは見えない飲食店の価値が可視化できるように。パーソナライズ化した飲食店が生き残り、持続することができるだろうとの見解が見られました。

▶︎SARAH https://sarah30.com/
▶︎dinii https://www.dinii.jp/

>>本セッションの詳細記事は4月頃掲載予定

9.Closing Remarks

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【スピーカー】
●株式会社シグマクシス 常務執行役員/SKS Japan主催者:田中 宏隆
●クックパッド Biz Dev& Strategy Manager:住 朋享

総勢20名が登壇し約7時間にもおよんだ「SKS Japan Focus Session」。
住氏からは「外食2.0へのシフトチェンジとして、明らかなメッセージだった」とのコメント。田中氏は、「フードイノベーションマップも様々な分野に派生し、進化されつつある」と述べ、外食の未来に向け、さまざまな議論やインスピレーションを得てイベントは終了しました。FoodClipでは、今後もイベント開催のお知らせやレポートをご紹介していきますのでお楽しみに!



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