老舗中華チェーンが売上40%増に。データ活用が飲食店にもたらす大変革

老舗中華チェーンが売上40%増に。データ活用が飲食店にもたらす大変革

コロナ禍で飛躍的に進むレストランDX。効率化を目指しての導入が多いDXですが、その先にある顧客体験の向上とは一体どんなものでしょうか。2022年2月16日に開催された「SKS Japan Focus Session」内のセッション「レストランDX革命~DXの先にある未来の姿~」では、データ活用がもたらす新たな顧客体験やメニュー開発の姿について、先進的なトークが繰り広げられました。本記事で、セッション内容をレポートします。

レストランDX革命~DXの先にある未来の姿~

[スピーカー]
●株式会社SARAH 代表取締役:髙橋 洋太
●株式会社dinii 執行役員 営業統括:益子 雄児

[モデレーター ]
●クックパッド Biz Dev& Strategy Manager:住 朋享

データ活用が実現する、効率化の先にある新たな顧客体験やメニュー開発の姿とは?

「レストランDX革命~DXの先にある未来の姿~」には、SARAH 代表取締役 髙橋 洋太氏と、dinii 執行役員 営業統括 益子 雄児氏が登壇。クックパッド Biz Dev& Strategy Managerの住 朋享氏がモデレーターをつとめ、効率化だけにとどまらない、レストランDXがもたらす顧客体験の向上やメニュー開発などについて議論されました。

レストランDXは効率化から
体験価値向上の手段へ


セッション冒頭で、住氏は「パンデミックによりレストランテックが普及し、テイクアウトやゴーストレストランなど、利用シーンが多様化した」と解説。その上で、現状は店舗管理やオーダーの効率化として導入されているDXですが、解決したいニーズは「顧客体験」であると指摘しました。これを受け、髙橋・益子両氏はプレゼンテーションで、体験価値向上の可能性について、自社サービスと絡めたトークを展開しました。

髙橋氏(以下、髙橋):当社が運営する「SARAH」は、飲食店のメニュー単体についてのレビューを投稿できるグルメコミュニティです。月間160万ユーザーが利用し、人気のメニューランキングをはじめ、各ジャンルを極めたグルメマスターや、おいしい一皿を表彰するメニューアワードなど、さまざまなコンテンツを通して、“おいしい一皿”に出会うことを応援しています。

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また「SARAH」内の膨大なデータを活用した、外食ビッグデータ分析サービス「FoodDataBank」を運営しています。グルメレビューの評価や、「どういったキーワードで評価が高くなるのか?」を分析できるのがユニークな点ですね。

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益子氏(以下、益子):当社は、モバイルオーダーを通じて顧客と繋がり、顧客データからのサービス向上をサポートするソリューション「dinii」を提供しています。

特徴は、さまざまなものが“見える化”することにあります。モバイルオーダーから、LINEの店舗公式アカウントに登録させる仕組みになっており、データが顧客資産として店舗に登録されます。また、スタッフのモチベーション向上に繋がる投げ銭システムなども導入。モバイルオーダーを起点とした、顧客とスタッフの関係構築を促すサービスを提供しています。

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両氏のコメントを受け、住氏は「どちらもDX=効率化の先を行くサービス」とコメント。

さらに「レストランがデジタル化すると何が起こるのか」と投げかけました。
これに対し、SARAH髙橋氏は大きく2つのフェーズがあると提案しました。

髙橋:デジタル化は、フェーズ1の「存在のデジタル化」とフェーズ2の「行動のデジタル化」にわけられます。今は、スライドにあるフェーズ2の段階で、オンライン予約やモバイルオーダー、テイクアウトデリバリーサービスがここ数年で急速に普及しました。

さらに、今は効率化から顧客の体験価値向上へと少しずつ変化しつつあるところ。外食だけでなく、中食やスーパーなど、食全体の行動がデジタル化されていきている段階かとおもいます。

13537_image04.jpgこれからは、デジタル化によって蓄積された“食の行動履歴”をもとに、さまざまな食行動がパーソナライズ化され、よりおいしいものと出会いやすくなるでしょう。行動データが蓄積されることで、顧客視点での商品開発が可能になります。

レストランのデジタル化によって可能になるのは、データを活用したマーケティングと商品開発がメインになるのかと。

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データがシェフのイマジネーションを強化。
変わる商品開発

住:商品開発という部分では、どのようにデータが活用できるのでしょう?

髙橋:FoodDataBankの活用事例をご紹介します。福しんという老舗中華チェーンでは、売り上げが40%増えました。ポイントは、データ分析が得意な人より料理人の方が成果が出ることです。

例えば、「お酢」と「黒酢」の投稿データ比較や、「しびれ」「あんかけチャーハン」などキーワードの組み合わせ。こうしたデータから料理人がインスピレーションを受け、生活者視点での商品開発が叶っています。

13537_image06.jpgインスピレーションとしてデータを活用し、最終的には、シェフが情報を組み合わせて新しいものを生み出す。しびれや滋味など、形容詞が入っているのが、FoodDataBankの面白いところですね。

住:データがシェフのイマジネーション強化に繋がり、生活者の求めるものに近い商品開発ができるんですね。

喫食データやリピート率の見える化で
変わる飲食店での接客体験

レストランDXがもたらすイノベーションについて、「飲食店史上初めてユーザーが帰った後もキープインタッチし続けられる。情報として繋がり続けられるのは、いままでと全く違う革命的なポイント」と話す住氏。それを受け、「データ活用によって、飲食店でAmazonと同じ体験ができる」と、diniiの益子氏は述べました。

益子:飲食店のCRMはビジネスモデル的にも難しく、この25年間ほど進化がない状態でした。そこに活路を見出せるのが、モバイルオーダーだと私は考えています。

QRコードからオーダーすると、ECサイトと同じように全ての履歴がログで残ります。LINEとの連携によって個人との紐づけが可能になり、顧客データが“見える化”できるようになるのです。

飲食店でAmazonと同じ体験ができるんですね。

どういうことかと言うと、QRを読んだ瞬間に、自分と同席者それぞれに異なる商品レコメンドがされます。ユーザーは「この店、接客もイケてるけど、自分好みのものを推奨してくれる」という体験ができます。喫食データ、POSデータと紐づくことで、パーソナライズ化した接客が可能になるのです。

アンバサダーマネジメントはこれからの飲食店の鍵に

益子:飲食店のユーザーは、新規とリピーターにわかれます。これまでは、ユーザーを見分けるには、人の記憶力に頼るしかありませんでした。

「この店舗は今何人のユーザーとつながっているのか」「リピーターかつ、集客もしてくれるアンバサダーは誰なのか」そうした情報が、モバイルオーダーを通じて見える化するのです。アンバサダーマネジメントは、これからの飲食店には非常に重要だと考えています。

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益子:diniiの導入事例をひとつご紹介しますね。

スパイスワークスが展開する「スシンジュク」というお店なんですが、こちら坪月商で60万円を超えています。モバイルオーダーの導入後に、リピーター販促を強化したことで販促費は半分になりました。

また注目していただきたいのが、来店から3ヶ月半後のリピーター回数です。1回きりで2回目の来店をしていないユーザーが7,800名以上いたんです。「2回目どうきてもらうか?」を考えられるのが、DXによる見える化です。

2回目の来店までの平均日数は、これまで出せていませんでしたが、モバイルオーダーでそれが可能になりました。リピート率は各店によって本当にバラバラですし、しっかりとQSC※がベースにあることが大事だと言えます。

※QSC=「Quality:クオリティ」「Service:サービス」「Cleanliness:クリンリネス」

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データ活用で飲食店の可能性はもっと広がる

セッション最後には「来場者へのメッセージを」と住氏からの投げかけが。髙橋・益子両氏からは、今後のDX導入に向けてのヒントとなるコメントが発せられました。

髙橋:データ分析に苦手意識をもたないでほしいですね。飲食店は、もっと多様なお店を作って良いし、個性あるお店が残っていくと思います。これまでは、ランキング上位のお店に集中する傾向がありました。DXの導入によって、これからはその日の気分や天気、個々人の好みにフィットした飲食店のレコメンドが可能になります。ぜひ味方につけて、多様な飲食店が増えていってほしいですね。

益子:私からお伝えしたいのは、モバイルオーダーを省力化ツールだと思ってほしくない、ということです。モバイルオーダーは、さまざまな可能性をもったCRMツールになります。ポジティブな視点でDXに向き合って欲しいですね。



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