【聞いた】サブウェイがTikTokに取り組む理由

【聞いた】サブウェイがTikTokに取り組む理由

世界で最も店舗数が多いチェーン店はどこだと思いますか?3位はスターバックス、2位はマクドナルド、そして1位はサブウェイといわれています。その数は約4万店で、世界各地で愛されているオーダメイドサンドイッチのお店です。コト消費に注目が集まって久しいですが、まさに店舗でのそれをSNS上でも体現してファンと繋がっているサブウェイ。「よしだけいすけの飲食店最前線巡り」シリーズ第10弾は、TikTokの活用について企画と運用のすべてを担っているサブウェイの協力パートナーのお2人に話を聞いてきました。
          前回記事:【レポ】ガストで活躍する猫型ロボットに会ってきた


お話をうかがった方


株式会社EmpaC
代表取締役
松山 真衣氏

株式会社日宣
コミュニティマーケティング部
佐野 開氏

多くの人にサブウェイの価値を伝える
広告では果たせないコミュニケーション


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ーー まずはお2人の役割を教えてください。

松山 真衣氏(以下、松山):サブウェイの各SNSチャネルの企画、ディレクションを行っています。基本は私たち二人とインターン生で企画や撮影、発信、お客さまとのコミュニケーションの全てをおこなっています。

佐野 開氏(以下、佐野):特に私はサブウェイ全体のコミュニケーションにおけるディレクション。SNSに限らず、PR、メルマガ、広告等、責任代理店として発信内容がブランドにマッチしているかの点検を含めて、サブウェイの情報発信の統括をおこなっています。

ーー サブウェイがTikTokを活用する目的は何ですか?

松山:メインの情報伝達はアーンドメディア(SNSやPR等)でおこなっています。基本的にはペイドメディア(広告メディア)は使っておらず、最初はTwitter、Instagram中心でした。そこで情報を届けられない層にアプローチする場所として、TikTokを選びました。サブウェイへのなじみが薄い若年層とも繋がることが出来ています。


佐野:顧客層は幅広いですが、食材の特徴的に20代など働いている層がボリュームゾーンです。10代にとってはまだ関与が低いブランドなので、そこをカバーする媒体としても最適だと考えています。

ーーSNSと一言で言っても利用属性が違いますよね。たくさんのプラットフォームがある中で、どれに注力すべきか迷っている企業も多いです。サブウェイではどんなきっかけでTikTokを始めたのですか??

松山:始めたのは2020年6月でした。実は綿密な計画があったわけではなくて「TikTok来るからやろうよ」というノリでした。当時はダンス動画が中心で、活用している企業は少なかったのですが、サブウェイの特徴と動画はマッチしているし、まずはチャレンジしてみようと。最初の再生数は300回くらいでしたが…(笑)。

佐野:まずはやってみようという精神がサブウェイに根付いているので、そこもチャレンジしやすかった要因です。成功する方法はまだ確立されていませんでしたが、ペイドメディアと比較しても、1人に情報を届けるリーチコストは格段に安いと考えたのも一因です。

ーーなるほど。スタートしておよそ2年が経ちました。実際に得られている価値を教えてください。

松山:「話せる公式」というテーマで運用しています。いただいたコメントには基本的に全返信し、今ではコメントに対して応える形で動画を作るサイクルが出来上がりました。コミュニケーションの場として、コメント数も徐々に増えていて、広告と比較しても低予算でリーチを得られているのが大きな価値です。動画だからこそサブウェイの魅力を伝えやすく、理解を高められると感じています。

佐野:中の人への親近感を持ってもらうことで、楽しそうなブランドイメージだったり、アルバイト先としても候補に入りやすくなっている印象もあります。

松山:TikTokでインターン生を募集したら、50人近くが応募してくれました。

ーー店舗でのコミュニケーションのノウハウを持っているからこそ、TikTokでも臆することなく会話ができるとてもステキな事例ですね!

伝えるだけではなく、耳を傾ける場所として

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ーーTikTokで得られる価値には、とても納得しました。一方で、運用の手間やリスクのために社内理解が得られないという企業の担当者も多いですが、どのようにアドバイスしますか?

松山:マーケティングの責任者も兼務している日本サブウェイの代表は、社内で誰よりもTikTokをみています。トレンドを追うアンテナが非常に強い。もし経営者の理解が得られなければ、実際にアプリをダウンロードして、まずは見てもらうことから始めるのがおすすめです。今でこそ他の外食企業でも少しずつ始めるところが増えてはいるものの、まだまだブルーオーシャンです。特にTikTokは拡散性が強く、バズからのリーチが生まれやすい媒体です。フォロワー数が起点となった他のプラットフォームとは性質が違うのが特徴です。

佐野:実際にSNSを運用している方なら体感があると思いますが、Twitterで100万インプレッションを作るのは大変です。でもTikTokなら、現状3万フォロワーですが格段に100万リーチは作りやすいです。Twitterなどですと、リーチを作るために最初はお金をかけてフォロワー数を増やす行動から始めるのが一般的な流れですが、その定説は不要です。ブランドイメージや炎上を気にする方も多いですが、しっかりルールを決めて運用すれば、リスクはかなり抑えられます。


ーーTikTokはコンテンツ制作や企画にも時間がかかりそうな印象ですが、どんな体制、人員で運用を行っていますか?

佐野:現役学生のインターン生と私たちです。インターン生はデジタルネイティブであり、企業として伝えたいことをうまくTikTok文脈に転換し、お客さまに伝わりやすい形で表現してくれています。私は道を整備しているだけなんです。


ーTikTokはどんな業態、業種が相性が良いと感じますか?

松山:どんな業種でも活用方法があると思います。BtoBでもいいし、医療の分野でも活用されています。例えば、産婦人科医なら性や生理について聞きやすい。見せ方、コンテンツ次第でどんな発信も伝えられます。業種の相性よりも、いかにTikTokを理解をするかが大切な視点だと考えます。


ーーTwitter、Instagram、TikTok、note…たくさんあるSNSをカバーしきれない時、どう優先順を付けたら良いですか?

松山:軸は2つあると思います。企業の規模と認知度、そして目的。
まず1つ目は、認知度が低いブランドは拡散性が高いメディアをおすすめします。具体的にはTwitterとTikTokです。コストを多くかけなくてもアイデアで勝負ができます。
2つ目の目的は、SNSで何をしたいか。採用か、あるいは商品認知かなど狙いに合わせてプラットフォームを選ぶのが良いと思います。

認知が高い企業であれば全部やった方が良いです。それぞれ属性が違う利用者がいて、違う「声」がある。耳を傾けて、商品開発に役立てたり、営業部門に伝えることで、双方向性を活用したコミュニケーションの場になります。ちなみにサブウェイの優先順はTwitter、TikTok、Instagramの順です。

佐野:Twitterはビジネスフレンドリー。企業公式アカウントが好意的に受け入れられる土壌が整っていますし、媒体側も推奨しています。TikTokはいかにも企業からのメッセージという内容ではない工夫をすれば、自然に受け入れられやすい雰囲気が特徴的です。

発信することだけが仕事ではない
Twitterとそこに居る人々をよく知る

ーー特にTikTokはよく「時間が溶ける」と表現されますが、滞在時間が長いのも魅力的ですね。サブウェイのように、店頭でオーダーメイドで作ってもらう価値はテキストや静止画よりも動画の方が伝わりやすいかと思うので納得できました。

広告では起きないミラクルが起きるのもSNS。今までTikTokを含めたSNSで起きたミラクルや嬉しかったこと、印象に残っていることを教えてください。

松山:フォロワー数が2桁万人のYoutuberから、サブウェイを取り上げたいというDMをいただいて、紹介してもらいました。それが縁になり、お取組みへと繋がっています。高い露出があり、話せる公式だからこそ気軽に声をかけてもらえたと感じています。もう1つは、テレビとの連動です。直近でテレビでの露出が3回あり、Twitterでリアルタイムで投稿して3回すべてでトレンド入りしました。リアルタイムでコメント返信もおこなったのが良かったと感じています。

佐野:2022年のエイプリルフールで「サササンド」のツイートをしました。そこからメディアでも取り上げてもらい、たった1つのツイートで媒体を超えて広がっていくのがSNSの面白いところです。

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ーーサブウェイ公式TikTokアカウントを活用するうえで、これだけは譲れないこだわりポイントを教えてください。


松山:ホスピタリティです。サブウェイの代表がよく口にしているのはCTA(コール トゥー アクション)。すべての投稿にCTAを入れるのが思想。簡単にいうと、何かしらの行動喚起です。
私たちのおこなっていることは、SNS上での接客だと考えていて、ご指摘に対しても決して見て見ぬふりはしないですし、なんでも安易にお問合せフォームに誘導するようなこともしません。

佐野:まじめでおちゃめでがんばりやさん。これがSNS全体の方針です。サブウェイブランドを体現するために、そこはこだわっています。TikTokで初めてブランドに接した人にもわかりやすくサブウェイを理解してもらうことを目指しています。

松山:発信者のペルソナも細かく設定しています。使う絵文字も定めていたり、社内に実際にいる人を想定することでメンバーみんなが共通の認識を持てるのもコツの1つです。

ーー話を聞きながらサブウェイへ行きたくなってきましたが、お二人が個人的に好きなサブウェイのメニューを教えてください。

13653_image04.jpg佐野:BLTです。ベーコンを増量してチーズを挟んでトーストすると、焼けたベーコンにチーズが絡まって絶品です。

松山:たくさんあって一つを選ぶのがつらいですが、セットでエビアボカド(画像:下)です。ドレッシングはチポトレソースをチョイスして、トッピングでオリーブ、ホットペッパー。サイドメニューのポテトをハーブソルトでいただきます。

ー松山さん、佐野さんありがとうございました。

お客さまにとっては店舗と同じ
ここはサブウェイTikTok店

13653_image01.jpgこだわりポイントの質問の回答に驚きました。多くの企業アカウントでは、ネガティブな声への対応の難しさや、平等性を意識してコメント返信は一切しないところも少なくありません。コメント返信はしていても多くの人の目に入る場所だからこそ、その場では答えずにお客様相談室などに誘導するケースがほとんどです。サブウェイではむしろ、お客様相談室への誘導こそ避けるべきと考えて、その場で返信をする方針を徹底しています。

飲食店など小売店にとっては、SNS上も接客の場所であり、まさにサブウェイTwitter店であり、サブウェイTikTok店。現場でお客さまにその場で聞かれたことを「お客様相談室に問い合わせてください」とは答えませんよね。そういったスタンスがファンを増やし、エンゲージしてくれる人が増えて、結果的に発信した内容が多くの人にリーチするという好循環を作っているのだと感じました。

また、お二人の話から一貫して感じたのは、目的が明確だからこそアクションにブレがないこと。簡単に始められるからこそ企画から入ってしまったり、担当者が変わるとスタイルが変わることも多い企業のSNSですが、ゴールがはっきりしていれば、発信する内容、やるべきアクション、コメント返信の言葉も一貫性が保てます。Twitterなのか、Instagramか、あるいはTikTokか。どう活用するか迷っている方は、まずはもう一度「目的」に立ち返ってみてはいかがでしょうか?


※2022年4月の取材時点での情報です。



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著者情報

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よしだけいすけ
2020年5月よりカラビナハート株式会社に入社。10社ほどの企業SNSアカウントのコンサル・運用支援を行っている。公式アカウントのフォロワー増や投稿のノウハウだけではなく、目的に合わせた目標設計やビジネス貢献の可視化、再現性ある仕組み作り、SNS担当者のトレーニングが得意領域。2020年4月までは株式会社すかいらーくHDのマーケティング本部にてコンテンツコミュニケーションチームのリーダー。7つの公式Twitterアカウントを立ち上げて合計210万フォロワーに。広告宣伝のほかアプリ、メルマガ、公式サイト、ファン施策、ポイントプログラムなどを担当した。店舗勤務含めて15年間在籍。
Twitter:https://twitter.com/ruiji_31
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