下園薩男商店×クックパッド「はらぺこサバケチャ」生活者起点の共同開発

下園薩男商店×クックパッド「はらぺこサバケチャ」生活者起点の共同開発

鹿児島で水産物加工販売をおこなう「下園薩男商店」。昭和14年に創業以来、ウルメイワシの丸干しを主力商品として、地域資源を活かした商品作りをしています。同社は2022年7月8日に、クックパッドと共同開発した「はらぺこサバケチャ」を発売。共同開ではクックパッドユーザーからのフィードバックを取り入れるなど、生活者のニーズが生かされていました。共同開発の背景や製品に込められた想いなどについて、代表取締役社長 下園正博氏にお話をうかがいました。

お話をうかがった方

株式会社下園薩男商店(しもぞのさつおしょうてん)
代表取締役社長
下園 正博氏

魚食市場の課題と生活者ニーズから生まれた
「はらぺこサバケチャ」

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「はらぺこサバケチャ」のパッケージ

ーークックパッドとの共同開発で生まれた「はらぺこサバケチャ」は、お子さんにも食べやすく、ご飯がすすむ商品とのこと。まずは商品について教えてください。

下園:「はらぺこサバケチャ」は、魚の臭みをおさえて、お子さんでも食べやすい商品に仕上げました。唐辛子を少量入れることによって、クセになるような味わいに。さらに生姜で魚の臭みを消して、ケチャップという洋風な味付けながら、“ご飯がすすむ”一品です。

冷凍食品なので、余計な添加物を使用していないのも、お子さんにうれしいポイント。フライパンで温めるだけの簡単調理です。

ーー生活者にとっては“いいとこ取り”な商品ですね。「はらぺこサバケチャ」はクックパッドとの共同開発で誕生した商品ですが、取り組みはどのような形でスタートしたのでしょうか。

下園:2021年からクックパッドとアライアンスを組んで、さまざまな取り組みをする中で、今回のお話をいただきました。生協や量販店などからも、「クックパッドと一緒にやっているんですか」と、以前からお問合せをいただいていたんです。

クックパッドには膨大なレシピデータの蓄積があります。その中から、ユーザーに人気の高いレシピを活用して、新たな商品提案をするのは非常に面白いだろうと、今回の企画がスタートしました。

ーー下園商店の主力商品はイワシですが、今回サバを選んだというのは最初から構想としてあったのでしょうか。

下園:確かに当社は創業以来イワシを主力商品として、歩んできました。ですが、イワシは骨の多さや大きさの面で、課題がありました。
一方、今回選んだサバは食べやすい漁種なんですよね。一般受けしますし、値段的な面でも使いやすいということで選びました。

ーー「サバケチャ」というネーミングも可愛らしいですし、サバとケチャップという組み合わせもユニークです。味付けなどのアイディアは共同開発の中で生まれたものなのでしょうか。

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下園:開発に先駆けて、クックパッドマートで当社の人気商品「旅するまるぼし」をサンプリングし、アンケート調査を実施したんです。その際、「子どもに食べさせるというよりは、大人が楽しむ商品」という感想が非常に多かったんです。さらに、当社に望む新商品としてあがったのが、「魚の惣菜」と無添加商品への意識向上でした。

この結果から、お子さんがいる家庭に浸透させていくには、クックパッドとの共同開発という形がベストだろうという結論に至りました。そこから、魚を使った人気レシピを6種類ぐらいクックパッドからご提案いただき、着目したのが「サバケチャ」でした。

ーー「サバケチャ」のどういった点に惹かれたのでしょう?

下園:魚の売り場って、何十年と変わっていないんです。サバであれば、みりん干しや西京漬け。最近では、ブリのバジル風味のオイル付けなども、一時期流行ったりしたんですけど。新しい味付けを浸透させるのが非常に難しいマーケットなんですね。そうした中で、バイヤーさんもどうやって売り上げを伸ばしていこうか、悩まれている姿を目の当たりにしてきました。
そこで、ちょっと意外性があって面白そう。かつ味も良さそうだったので、サバケチャが目に留まったんです。提案いただいたレシピをもとに、ブラッシュアップして商品を作れば、新たな味付けとしてヒットを見込めるかもしれないと、取りかかりました。

ーー開発で苦労された点などはありましたか。

下園:味付けと価格の部分です。
味付けは、もともとイタリアで料理をしていたスタッフが担当しました。試作を何十回も重ね、丁寧に味を調整してくれたんです。おかげで、非常にユニークな味になったと思いますね。

そして、実は一番苦労したのが価格の部分です。味は決まったけれども、加工賃や人件費などのバランスをどうやって簡素化していくか。今後も課題になってくる部分ではありますが、なんとかお客さまが手に取りやすい価格帯での調整が見えたので、完成させたっていう感じですね。

ーー味付けや価格のバランスは、共同開発でみなさん苦労されるポイントですよね。
「サバケチャ」は冷凍商品ですが、そこは共同開発の前提のところから、決まっていたのでしょうか。

下園:当初から冷凍商品をイメージしていました。最近は、小売店でも食品ロスをなくそうという取り組みが増えています。そういった観点からも、日持ちする冷凍食品のニーズが増えています。それと、冷凍食品は油で揚げるものが多いんですけど、揚げ物でない魚や惣菜の冷凍食品を探されているバイヤーさんも結構多いんです。「はらぺこサバケチャ」はその走りになれるんじゃないかと。生協の宅配でも冷凍流通の商品が多いので、冷凍商品がベストだろうと考えました。

クックパッドユーザーからの
フィードバックを活かし
味やパッケージを改良

ーークックパッドと共同開発では、自社での共同開発との違いや発見はありましたか。

下園:当社単独でサバケチャを作ったとしても、あまり広がりがないと思うんですよ。クックパッドとの共同開発という点が、バイヤーさんにも響いています。お客さまにとっても、「クックパッドで人気のレシピ」というのは、印象がいい。広報などさまざまな面で共同開発のメリットを感じていて、ありがたいことだなと思います。

ーーサバケチャの開発過程では、クックパッドユーザーへのアンケート調査なども実施されたとうかがいました。開発途中でフィードバックをえられたことで、手応えを感じながら進められた部分もあったのでしょうか。

下園:ええ。大いにありました。オンラインで繋ぎながら、アンバサダーの方がご家族で食べている様子を拝見したんですね。皆さん好反応で、お皿についたソースを舐めるほど喜んでくれたお子さんも。「あ、これで大丈夫なんだ」って、自信が沸きました。
反応を目の当たりにしたことで、バイヤーさんにも、あの場の感動をともなって商品説明ができています。実感とともにお話しできると、本当に響くなと感じますね。

ーー食べられた方の姿を実際に見たことで、どこに自信を持って提案できるのかなど、厚みがある形でお話できそうですね。

下園:本当にそうですね。試食した後に、「本当にすごくおいしいね。子どもがお皿をなめた気持ちがよくわかるわ」とコメントしてくれるバイヤーもいました。
子どもは正直ですから、ありがたいコメントですね。

ーー共同開発の制作フローでは、何か意識されたことなどありましたか。

下園:そうですね。クックパッドからは、売れる可能性が高いもののデータと、そのユーザーの声を提供いただいたので、それをしっかり生かせるような商品作りに注力しました。例えば、サンプルができて改良していく時にも、みんなが「これで行ける」と合意できるように、私自身が「ここを変えるべきだ」という軸をブラさないこと。

あとは、ユーザーの意見をしっかり汲み取れるよう、アンバサダーへの試食などにも同席しました。改良してほしいところを遠慮なく言ってもらえる場づくりができたことで、ユーザーの気持ちに寄り添った共同開発ができたと思います。

ーーアンバサダーの試食後にも、商品のアップデートはされたんでしょうか。

下園:ええ。いただいたご意見をもとに改良しました。最初は半身の状態だったんですが、それだとフライパンで返しにくいと言われてですね。あと、骨が全部抜けるわけじゃないので、骨の多い部分を親が、骨が少ない方は子どもに食べさせられるということで、4つ切りに改良しました。

サバケチャだと洋風のイメージですが、「和の食卓に出せる味なんだ」というのも、気付きでした。そこでパッケージの中に「ご飯がすすむ」というコメントを入れて。パッケージもアンケートをとって決定しました。

懸念していた価格についても、「350円から450円ぐらいの間」との意見をアンバサダーからもらったので、自信を持ってジャッジできました。

ーー生活者の声が生きた商品ですね。今後の販路としては、生協やスーパーマーケットなどで展開していくイメージでしょうか。

下園:量販店のバイヤーからの評価も高くて、「これいつから発売できるだろう?」という声もいただいていますね。在庫次第、原料次第にはなると思いますが。サバがどれだけ水揚げされるかですね。クックパッドとの共同開発で、長年人気のレシピ。そこがフックになってバイヤーから興味を持っていただいています。

魚惣菜のニーズに手応え。
魚食の新しいあり方を広げる

ーーユーザーのイメージとしては、お子さんがいらっしゃるご家庭などでしょうか。

下園:お子さんと一緒に作ったりしてもらえると、うれしいですね。フライパンで煮詰める時に、ブロッコリーやパプリカなど野菜を加えるのもオススメです。お子さんが食べやすい野菜を選んで入れていただくと、彩りも良いですし栄養の面でもいいのかなと思います。

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ーー魚食のマーケットに対して、「もっとこうなったらいいな」など、感じられていることはありますか。

下園:「子どもに魚は食べさせたいんだけれども、家庭でなかなか調理しづらい」などの課題は常にあると思うんですね。そういった時に干物だと、子どもたちがなかなか食べてくれない。加えて「手軽に魚を食べたい」「煙や匂いがしない」という課題があるのかなとも思ってまして。

今回の「はらぺこサバケチャ」は、出来上がり商品ではなくて、フライパンの中で煮詰めるひと手間があることで「自分で調理する」感覚で作れる商品です。お母さんやお父さんが「ちゃんと作った」という感覚が持てるもの。事前のクックパッドユーザーへのアンケートやフィードバックでも、非常に好評でした。こういった「おいしくて、手軽にひと手間」な魚商品は、これからも増えていくんじゃないかなと、感じています。

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ーー今後クックパッドとのアライアンスの中で、構想している取り組みなどはありますか。

下園:例えば、サバケチャもそうなんですけど、いち商品だとなかなかカテゴリーとして小さいと言われています。今後、3種類、4種類とできてくると、さらに広がりができるのかなと。他のカテゴリーをもう少し何か作っていきたいなっていうのが、まずひとつあります。

もうひとつは、アンケートから「お酒に合う“大人が自分用に食べる”魚の惣菜品」みたいなのも必要とされていることが分かりました。それを開発していきたいですね。ただ売り場をどこにしようか、どこで売れるだろうかっていうのが、ちょっとまだ模索してる段階なので、それもちょっと考えていきたいなと。

今後はさらに日本の人が魚を食べる世界を作れたらいいですね。
タンパク質への注目が高まっていますが、その中でも魚は良質なタンパク質を多く含んでいます。地域の伝統や文化にひと手間加え、自分達も楽しみながら新しい魚食のあり方を提案していきたいですね。

//Information//
<下園薩男商店×クックパッド>
「はらぺこサバケチャ」は、2022年7月8日からイオン九州で発売スタート!



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