
企業・業界動向
湖池屋が仕掛けるデジタル販促戦略 28日間で1日平均3.4万リツイートを達成したキャンペーンの要点は?
湖池屋は、Twitterを活用した新商品の販促に力を入れている。「湖池屋プライドポテト」のプレゼントキャンペーンでは、テレビCMとTwitter、Webを連動させて、28日間で1日平均3.4万リツイートを達成し、売り上げにも貢献した。マーケティング本部広報部広報課の堀崎知穂氏にデジタル販促の戦略について聞いた。
※この記事はITmedia ビジネスオンライン([田中圭太郎]/2022年06月17日掲載)からの転載記事です。
菓子メーカーの湖池屋は、Twitterを活用した新商品の販促に力を入れている。フォロワーは55万人を超えていて、公式アカウントのつぶやきをリツイートした人に抽選でプレゼントを提供するキャンペーンも好評だ。
2月にリニューアルした「湖池屋プライドポテト」のプレゼントキャンペーンでは、テレビCMとTwitter、Webを連動させて、28日間で1日平均3.4万リツイートを達成し、売り上げにも貢献した。
湖池屋は、先進的なデジタル販促に取り組む企業によるオンラインセミナー「デジタル販促×SNS最前線」(アライドアーキテクツ主催)にパネリスト企業として参加。マーケティング本部広報部広報課の堀崎知穂氏(「崎」の正式表記は「大」ではなく「立」)が登壇して、同社の取り組みを語った。ITmedia ビジネスオンラインでは堀崎氏にTwitterを活用したデジタル販促の戦略について聞いた。
堀崎知穂(ほりさき・ちほ) 湖池屋マーケティング本部広報部広報課。2011年4月に新卒として入社。商品開発部を経て、17年より広報部にてSNS(Twitter、Facebook)の管理運用やWeb業務を担当。新商品紹介や顧客とのコミュニケーションを目的にSNSを運用。新商品の認知拡大のための施策をし、商品開発部での経験を生かした商品PRを積極的に実施
Twitterはブランド別ではなく2つだけ 新商品の情報を届ける
湖池屋のTwitterアカウント「コイケヤ【公式】」はフォロワー数が6月現在で55万人を誇り、同社のSNSを使ったマーケティングの重要な柱になっている。多くの菓子メーカーでは、商品のブランド別にアカウントを作っているが、湖池屋のアカウントは「コイケヤ【公式】」と「ムッシュ・コイケヤ」(約8万フォロワー)の2つだけ。アカウントの使い分けを堀崎氏は次のように説明する。
「SNSの活用は、商品の情報をお客さまに届けることによってのコミュニケーションを目標にしています。コイケヤ【公式】では、商品の情報やプレゼントキャンペーンを発信することで、身近に感じて興味を持った人に、店頭で商品を購入していただくきっかけになればと考えています。ムッシュ・コイケヤではより深いファンとのコミュニケーションを図っています。
コイケヤ【公式】については、平日はほぼ毎日ツイートするなどして動かしています。その時々にエゴサーチもしながら、お客さまがどういう情報を求めているのかを意識して発信していますね」
湖池屋ではTwitter以外にもLINEやFacebookも活用している。LINEではオンラインショップの会員向けに情報を発信。Facebookではオンラインショップで販売している最高級のポテトチップスなど、高価格帯の商品の情報を投稿している。
堀崎氏によると、SNSを発信する際には、テレビCMと連動させることも意識しているという。
「テレビCMで最初に露出した上で、SNSを使ってより深い情報を発信していくイメージです。テレビの視聴時間よりもSNSの視聴時間の方が増えていますが、テレビCMはやはり見ている人がたくさんいますので、SNSを有効活用してCMを広げていければと考えています」
Twitterアカウント「コイケヤ【公式】」のカバー写真
CM、Twitter、Webを連動して過去最高のリツイート
テレビCMとSNSの連動で成功した事例が、今年2月にリニューアル発売した「湖池屋プライドポテト」のプレゼントキャンペーンだった。テレビCMでは女優の永野芽郁さんを起用。Twitterの公式アカウントをフォローし、「湖池屋プライドポテト」のプレゼントキャンペーンの公式ツイートをリツイートすると、抽選で6袋セットが当たるというものだった。
このキャンペーンで新たに取り組んだのは、Twitterに加えて、Webでもプレゼントキャンペーンを実施したことだ。Webでは永野芽郁さんのサイン入りポスターをプレゼントとして用意した。すると、全ての取り組みが連動して相乗効果が生まれたという。
「CMリリース公開にあわせ、一番アクティブ率が高い午前中にコイケヤ【公式】Twitterで放送前のCMを流しました。『こちらで一足先に見ることができます』とリアルタイム性を重視しながら発信することで、大きな反応がありましたね。
さらに、初めてWebでのプレゼントキャンペーンを連動したことで、Twitterのリツイート数も、TwitterとWebのそれぞれのプレゼントキャンペーン参加者数も、過去最高を記録しました。Twitterのリツイートは、1ツイートにつき平均3.4万です。28日間投稿を続けましたので、3.4万の28倍もリツイートされたことになります。
これだけリツイートされた要因には、湖池屋プライドポテトがお客さまにとって興味のあるブランドだったこともあると思います。その上で、テレビCMとSNSそれぞれで湖池屋プライドポテトを知った人が一緒に盛り上がったことで、キャンペーンの成功につながったと考えています」
「湖池屋プライドポテト」のプレゼントキャンペーンテレビCMと連動。女優の永野芽郁さんを起用した
プレゼントに応募するユーザーがコアなファンになる
SNSはメーカーにとっては販促のツールだけでなく、コメントによって客の生の声を知る場にもなる。湖池屋では今後、SNSで寄せられた声を反映させた新しい商品や企画、EC限定商品などの開発も考えているという。
一方で、SNSのプレゼントキャンペーンを今後も重視していく。湖池屋はコロナ禍で、ルームウェアをプレゼントする「じゃがいも心地」のキャンペーンや、テレワークのおやつに小さくて食べやすい「ハッシュドポテト」を提案するプレゼントキャンペーンなども成功させてきた。
「じゃがいも心地」のキャンペーンなど湖池屋のSNS販促戦略
ルームウェアをプレゼントするキャンペーンなどを展開
堀崎氏は、プレゼントキャンペーンを続けるのは「応募してくれるユーザーの熱量の高さ」を感じているからだという。
「SNSではブランドの認知がどこまでできるのかが課題の一つです。その際に大事だと感じているのは、プレゼントに応募するユーザーの熱量の高さですね。自分から情報を取りにきてくれますし、ツイートをよく見てくださっています。
それに、プレゼントキャンペーンは、新たなファンを獲得するきっかけにもなります。フォロワーと公式アカウントでコミュニケーションをとることで、コアなファンが増えているのも確かです。これからもプレゼントキャンペーンは、定期的に実施していきたいですね」
元記事はこちら
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- ITmedia ビジネスオンライン
- 「ITmedia ビジネスオンライン」は、企業ビジネスの最新動向、先進事例を伝えることで、その発展を後押しする、オンラインビジネス誌です。「ニュースを考える、ビジネスモデルを知る」をコンセプトとし、各業界を代表する有力企業から新たなビジネスを提案する新興企業まで、多くの企業への取材を通して、その最新動向や戦略を紐解き、企業の現場で活躍するアクションリーダーに分かりやすく伝えます。