
コンビニ(中食)
セブンカフェの期待の新星!「お店で作る」スムージーがじわじわ話題に
セブン-イレブンが2021年3月に発売した「セブンカフェスムージー」がじわじわと話題になっている。東京と千葉の一部の店舗のみで取り扱っているため、SNSには「どこで売っているの?」「やっと見つけた!」といった声が多い。
※この記事は[ITmedia ビジネスオンライン([秋山未里]/2022年06月25日掲載)]からの転載記事です。
「スムージーはどこのコンビニにも大体あるのに、何が違うのか?」と思った方もいるのではないだろうか。このスムージーが話題になっている一番の理由は、その提供方法にある。この商品は「お店で作る」商品なのだ。
「セブンカフェスムージー」陳列の様子、以下写真は筆者撮影
この商品を販売している店舗には、スムージー専用のミキシングマシンが設置されている。お客は、冷凍棚で売られているスムージーのカップを購入し、このマシンで仕上げて飲む。カップの中には、大きめに切られた冷凍のフルーツや野菜がごろごろと入っており、機械で混ぜることでその場でスムージーが完成する。
マシンでスムージーを作った様子
「お店で作るスムージー」に商機を見いだした理由は?
陳列されているカップから色鮮やかなフルーツや野菜が見え、お店で作る方式に「自分も試してみたい!」と好奇心がわく──という“映え”や“体験”を提供していることからも、この商品の人気の理由が分かる。その一方で、店ごとに新しく専用の機械を設置する必要があり、コストも少なくなさそうだ。
セブン-イレブンはどのような戦略でこの商品を開発したのか。
広報担当者に商機を見いだした理由を聞くと、「健康志向の高まり」や「差別化」がポイントだという。
「継続してお客さまの健康志向が高まる中で、『健康感』と『おいしさ』の両立を目指し、そこにカウンター商材の強みである『できたての価値』を組み合わせていけば、差別化された商品がご提供できると考えました」
実際にこの商品を飲んでみると、デザート的すぎず、すっきりとした味わいとしているのが分かる。その理由は、「健康」がコンセプトになっているからなのだろう。同担当者は「素材そのものが持つおいしさを引き出すことにこだわりました」と説明する。
「非常に苦労」して開発、累計100万杯突破のヒットに
ただ、商品化には苦労もあった。
「糖度が高いものは凍結することが難しく、製品の開発には非常に苦労しました。(カップでの)冷凍形態とした結果、本来は鮮度が短い果物をたっぷりと使用しながら、ロスが出にくく環境にも優しい商品に仕上がりました」
さらにスムージー専用に開発したミキシングマシンについても「味や品質を向上させるための専用開発に、大変な時間を要しました」と、苦労を話す。
スムージーのミキシングマシン
この商品が初めて発売されたのは2021年の3月だ。ただ、専用の機械の導入が必要なこともあり、提供店舗は東京と千葉の一部のみ。それでも徐々に人気が広がり、累計販売数は100万杯を突破した(6月時点)。
今後の展開を聞くと、この夏には大幅に提供店を増やす予定だという。「この夏をめどに約2500店での展開を目指しており、より多くのお客さまに味わっていただきたいと考えております。新たなメニューの開発も計画しております」と同担当者は話す。
セブンの新たな定番商品となるか?
コンビニ業界は年々進化を遂げている。これまでも定番のから揚げや肉まんなどのホットスナックや、冬場のおでんなど、多くの人に親しまれる商品を登場させてきた。
特に、セブン-イレブンの功績といえば、コンビニ業界で真っ先にコーヒーを提供し始めたことだろう。今では、どのコンビニにも必ずといえるほどコーヒーマシンが設置されて多くの人が利用している。その一方で、15年に各社が参入したドーナツはあまり人気が出ず、失敗に終わったように、人知れず消えていった商品もある。
3年後、5年後にはコンビニでできたてのスムージーを飲むことが当たり前になっているのか、それとも一時のブームで終わるのか。提供店舗を拡大するこの夏に、その勝敗が決まるかもしれない。
ミキシングマシンからできあがった商品を取り出す様子
セブンカフェスムージーの「いちごバナナソイスムージー」
元記事はこちら
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