【レポ】スターバックスの“モバイルオーダー比率”が低い意外な理由とは?

【レポ】スターバックスの“モバイルオーダー比率”が低い意外な理由とは?

「よしだけいすけの飲食店最前線巡り」シリーズ第12弾は、スターバックスのモバイルオーダーを深堀りします。日本では2019年から一部店舗でテスト導入され、翌2020年には全店に展開されました。ただ他国と比較すると利用率が極端に低いのだとか。実際に店舗に足を運んでお客さまの様子を見ながらその理由を推測してみました。

満足度の高いモバイルオーダー
飲食店の利用率は?

モバイルオーダーとは、スマートフォンなどの端末から飲食店のメニューを注文したり、決済できるサービスを言います。例えば仕事帰りにテイクアウトしたい時もオフィスを出る前に注文して、店舗では待たずにピックアップできたり、店内飲食でも先に席に座ってから端末で注文することで立って待たなくても済む画期的なサービスです

みなさんはモバイルオーダーを使っていますか?

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一般的な利用率を調べてみました。マクドナルドやスターバックスは公表していないため、外部調査会社が調べたものです。2020年4月時点であり、この後にさらに普及していることが予測できますが、2年前でも13.3%が使っていると回答しています。

驚くべきは利用者の満足度の高さです。85%の人が満足、やや満足と回答しており、自分のライフスタイルに合わせて活用すればデメリットよりメリットが圧倒的に上回るサービスだと私も個人的に感じています。

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利用者満足度が高い便利なサービスにも関わらず、マクドナルドやスターバックスではレジ前の行列が日常的に起きています。スターバックスでいうとアメリカでは4人の1人、中国では3人の1人がモバイルオーダーで決済をしているとのこと。並ばずとも買えるのに日本では人が並ぶのはなぜなのでしょうか。

先行テスト店での利用率を探る
東京駅 グランルーフ フロント店へ

スターバックスでは、2019年6月から東京都内の56店舗でモバイルオーダーをテスト導入し、2020年12月から全国の店舗へ展開しています。全店リリースしてからすでに1年半以上が経ち、アプリやモバイルオーダーサービスの認知は広がりつつも、私の周りでも利用している人が少ないので思うように利用率は伸びていないのかも知れません。

実数が公開されていないので、実際に店舗へ行って、モバイルオーダー利用者がどれくらいか目視で確認してみることにしました。まず向かったのは、先行テスト店にも含まれていた「東京駅 グランルーフ フロント店」です。早い段階から利用できたこと、立地的にも働く人たちが朝や昼休みの限りある時間の中でオーダーし、ピックアップすると予想し、モバイルオーダー比率が高いと見込んだのが選んだ理由です。

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実は私もスターバックスのモバイルオーダーは未経験であり、この日に初めて使いました。月に2回くらいの利用頻度で、マクドナルドでは日常的に使っているのに、スターバックスでは使っていなかったのはなぜか、自分でも説明ができないのでその解を探しにいきます。

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モバイルオーダーの魅力は外から注文して待たずに受け取れることだけではありません。店内利用の時も席に座ってゆっくり注文できるのも嬉しいポイントです。テーブルにある案内に合わせてスマホで登録を進めました。

注文完了まで10分ほどかかりましたが、「思っていたより手間がかかったなぁ」というのが本音です

・スターバックスカードの購入が必須
・チャージのためにクレジットカードとの連携が必要
・住所、電話番号など個人情報の入力が必要

このあたりが時間を要した理由です。

ただ、これらの作業は初回のみで、必要な金額さえチャージされていれば2回目からはどこのお店かと商品を指定するだけでサクサク買えそうな予感がします。注文が終わると、下の画像のようなお知らせが届き、3分から5分ほどで出来上がるとのこと。あとは受取時間を目安にカウンターへ行くだけです。

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平日のランチ後でモバイルオーダーは約10%の利用率

時間になったのでモバイルオーダーの受取カウンターへ足を運ぶと、頼んだ商品が出来上がっていました。パッケージに自分の受取番号が書かれたシールが貼ってあり、自身で確認して持っていくスタイルです。注文、会計、受け取りが全て非接触ですね

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初回登録に手間取りましたが、ここまでは立って並ぶ時間は全くなかったので、注文まで待つ時間、商品の出来上がりを待つ時間が全くないのは時間短縮という意味ではとてもありがたい体験でした。

さて、ドリンクを飲みながらレジ前の様子を眺めました。レジ前の注文の列、注文してドリンクの出来上がりを待つ列、そしてモバイルオーダーを受け取るゾーンと3つに分かれているので、お客さまの動きもわかりやすいですね。1時間ほど過ごして、モバイルオーダーで注文して取りに来た人は片手で数えられるほどでした

平日13時から14時の店内は8割以上はうまっています。土地柄か、多くは働く世代でパソコンを拡げている人も目立ちました。店内で過ごす人より持ち帰る人がやや多く、その中でもモバイルオーダー利用と見受けられたのは10%ほど。「思ったよりも少ない」というのが率直な感想です。レジ前には5人前後の列が途切れずあったし、席も空きが少ないので、まずはテーブルを確保し、そこで座ってオーダーした方が確実にも関わらず、モバイルオーダーが選ばれないのは、何かがハードルになっているのは間違いなさそうです

週末のロードサイド店舗もチェック

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比較をするために、ロードサイド型の店舗にも行ってみました。土曜日の15時から16時に多摩野猿街道店へ足を運びます。30台は入れそうな広い駐車場と40席ほどの店内、そしてドライブスルーも完備したお店です。

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丸の内の店舗とのモバイルオーダーの利用状況の差はいかほどか。こちらでは新作である桃MORE フラペチーノ®をいただきながら、レジ周辺の様子を眺めました。小一時間ほど過ごして、

・レジオーダー(店内・テイクアウト含む):約30件
・モバイルオーダー:2件
・ドライブスルー:15台以上

という結果でした。

ほんの一部分の切りとり情報ではありますが、モバイルオーダー比率は6%ほどです。丸の内の店舗よりもさらに少ない利用率でした。

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ドライブスルーの混雑に驚き
販売チャネルの多さが価値に

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驚いたのはドライブスルー利用の多さです。この日は雨の週末というのも利用数を増やす要因ではあったと思いますが、終始行列が出来ており、注文待ちの車の列が駐車場から溢れるほど。しっかり警備員の方が誘導していらっしゃいました。

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曜日、時間帯、天気、立地によって様々な利用動機があるスターバックス。今回のテーマとは異なりますが、店内飲食、テイクアウト、ドライブスルーと利用チャネルをしっかり用意しているのは利便性を高め、利用動機を拡大する大切なことと改めて感じます。

ちなみにドライブスルーがある店舗の看板では、スターバックスのロゴと「ドライブスルー」という文字を表現し、店名がなくても伝え切れるのはまさにブランド力があるからこそ。ブランド名や「カフェ」などの業種、売っているものを書かなくても看板として成立するのはスターバックスの強みですよね。

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モバイルオーダーを使わない理由を考える

2店舗を訪れて、モバイルオーダーの利用率を検証してみました。とはいえたった2店舗をそれぞれ1時間ほど覗いただけで「低い」と語るのは乱暴なのであくまでも参考として受け止めてもらえればと思います。私の個人Twitterアカウントでもスターバックスとマクドナルドでモバイルオーダーを使っているかのアンケートを取ってみました。

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スターバックスは47%、マクドナルドは63%が使っていると回答してくれました。外食やマーケティング関連のフォロワーさんが多いので、一般的な利用率よりも高く出ている可能性がありつつも、マクドナルドの方が多くの方が使っているようです。

並んで待つ必要がない、モバイル決済まで出来るというメリットがあるのに、スターバックスは使わない人が多い理由は何でしょうか。実際に使ってみて感じたことを整理してみます。

①初回の登録に時間がかかる
②スターバックスカードでしか決済ができない
③計画的な利用でなく、通りすがりに思い立って来店
④注文や会計も含めてスタバ体験として価値を感じている

あたりと予想しました。みなさんはどう思いますか?

特に日本のスターバックスのサービスのクオリティを考えると④の体験価値も侮れないと思います。会話を含めた接客も心地よいものだからこそ、あえて時短ではなく体験を選ぶ選択肢もあるのではないでしょうか

マクドナルドがモバイルオーダー比率が高そうな理由も考えてみます。

①PaypayやLINE payなど決済手段が豊富
②店内飲食の場合は席まで届けてもらえる仕組みがある
③モバイルオーダー専用クーポンなど利用促進のインセンティブがある

以上のことが利用をドライブさせる要因として考え付きました。私自身も両店の利用頻度は差がなく、それぞれ月2回ほどですが、マクドナルドのモバイルオーダーは日頃から使っていたことを振り返ると、そういった差もあると感じます。

利用者にとっては待ち時間を短縮したり、立って待たなくても良いこと、お店にとっては注文やお会計などの作業時間を短縮できるメリットがあり、両者にとって価値がある仕組み、モバイルオーダー。他にも利用できる飲食店が増えつつあり、時間経過と共により使う人は増えていくのは間違いないですが、日本ならではの接客されることも含めた体験価値にどう置きかえていくかも今後の注目ポイントですね。

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著者情報

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よしだけいすけ
2020年5月よりカラビナハート株式会社に入社。10社ほどの企業SNSアカウントのコンサル・運用支援を行っている。公式アカウントのフォロワー増や投稿のノウハウだけではなく、目的に合わせた目標設計やビジネス貢献の可視化、再現性ある仕組み作り、SNS担当者のトレーニングが得意領域。2020年4月までは株式会社すかいらーくHDのマーケティング本部にてコンテンツコミュニケーションチームのリーダー。7つの公式Twitterアカウントを立ち上げて合計210万フォロワーに。広告宣伝のほかアプリ、メルマガ、公式サイト、ファン施策、ポイントプログラムなどを担当した。店舗勤務含めて15年間在籍。
Twitter:https://twitter.com/ruiji_31
note:https://note.com/yoshiwo_note