
食トレンド
「ネオ・ワンハンドフード」とは?食べ歩き&ラップの“韓国食べ方カルチャー”が生みの親
2020年頃からクックパッドの検索頻度が伸長傾向の「ワンハンドフード」。元々、片手におさまる小さな食べ物を意味していたものが、社会事情やトレンドの影響を受けて進化を遂げているとか。そんな「ネオ」な「ワンハンドフード」の実態、変化の兆しについて探っていきます。
進化している?「ワンハンドフード」とは……
ワンハンドフードとは、片手で持って食べられる食べ物のこと。食べ歩きや忙しい時にもサッと食べられる便利なグルメです。
かつては、お弁当に入れる小さなおにぎりやラップサンドなど、単純に 「片手で一口サイズで食べられるもの」を意味していました。それがコロナの影響で、ランチはワンハンド程度のボリュームで押さえたい、リモートワークの片手間でサクッと食べたいといったニーズへと変化。
さらにここへ来て、若い世代を中心に韓国ブームが再来し、流行の発信地となっている新大久保で食べられる「屋台スイーツ」「スナックフード」「ラップして食べる料理」のことも指すようになりました。以前と比べると「ワンハンドフード」の意味合いは大きく拡張しています。
コロナ直前には下がっていた検索傾向は2020年以降から上昇し、2022年で最も高い数値となっており、関心度が高まっていることがうかがえます。
日本とは異なる韓国グルメの「食べ方文化」とは?
韓国の食文化において、「包んで食べる」食べ方はとてもポピュラー。肉や魚、ご飯を、サンチュやエゴマの葉で包む食べ方や料理はよく見られます。例えばサムパッという料理は、韓国語で「サム」は包む、「パッ」はご飯の意味。直訳すると「包んだご飯」で、葉っぱにご飯、具材、コチュジャンなどの調味料を包んで手を使って食べるものです。
韓国料理は食材や調味料を「混ぜて食べる」というのが一つのスタイルでもあります。さらに味わいの面でも、野菜と一緒に包んで食べることで、脂の多いサムギョプサルなどの肉料理はさっぱりと、辛みのある調味料もマイルドになります。さっぱりとマイルドな味わいにするためにいろいろなものを混ぜて包む、というのは理にかなっていると言っていいでしょう。
こうした「包んで食べる文化」の背景には、韓国の食習慣やマナーが影響しているとも考えられます。日本では食器を持って食べるのが一般的でいいマナーとされています。一方、韓国ではその逆。食器を持って食べるのはあまり行儀が良くない、タブーとされてるマナーです。そのため食べやすくする工夫として、包んで口に運ぶというのは自然に生まれた習慣なのではないでしょうか。
加えて、「屋台文化」の影響も考えられます。韓国では安くて手軽に食べられる屋台の食文化が、昔から一般に根付いています。こうしたことからも、手軽で食べ歩きできる屋台グルメ=ワンハンドフードのメニューが豊富にあるというのは納得できます。
“食べ歩く” “ラップして食べる”「ネオ・ワンハンドフード」にはどんなものがある?
昨今の新しい「ネオ・ワンハンドフード」には様々な種類があります。
食べ歩く系のワンハンドフード
韓国グルメのホットック、トッポギ、アリラン・ホットドッグなどの屋台フードがトレンド入りするようになりました。食べ歩きできるタイプのワンハンドフードです。
ラップする系のワンハンドフード
ライスペーパー、トルティーヤなどで包む(ラップする)タイプのワンハンドフード。コンビニやカフェメニューでも、ラップサンドは多くみられるようになっています。
上記のデータでもわかるように「ライスぺーバー」のキーワード検索が伸長、特に20代女性で最も多くブームを牽引。若者を中心に「ラップするサムギョプサル」といった新しいスタイルのラップグルメも人気を集めています。
また、コロナ禍以降はメキシコ料理の「タコス」が話題となり、トルティーヤが流行食材の一つとして注目されていることも見逃せません。
▶トルティーヤが流行の兆し:https://foodclip.cookpad.com/14696/
注目のワンハンドフードレシピ
豚しゃぶキムチの生春巻き by tubukoDX
https://cookpad.com/recipe/1451231
簡単にできる韓国風生春巻きレシピ、ホームパーティーでも重宝します。
ワンハンドでサクッと!チキンボール by クックV9EVPC☆
https://cookpad.com/recipe/7096669
レジャーやイベント、お弁当にもぴったりで
お子さんも喜ぶワンハンドチキンボールのレシピです。
クロッフルを持って出かけよう by sweeterm
https://cookpad.com/recipe/7144038
クロワッサン生地をワッフルメーカーで焼いた韓国スイーツの
「クロッフル」レシピ。ワンハンドフードとしてもぴったりです。
“ワンハンド”と題する、韓国トレンドフードのお店
片手で持って、スプーンやフォークで食べる食べ歩きワンハンドフード。最近注目されている韓国ワンハンドフードのお店を紹介します。
●【カップティラミス】Seoul_tiramisu(ソウルティラミス)
コリアンタウンの新大久保にある高級感あるティラミスを手軽なカップスタイルで食べられるお店。フォトジェニックな点、食べ歩きしやすい点も手伝って人気となっています。
●【ビビンパフェ】 VEGEGO (ベジゴ)オヌレシクタン&cafe MIYASHITA PARK
渋谷のMIYASHITA PARKにある韓国料理店「VEGEGO」では、2021年10月からビビンバのワンハンドメニュー『ビビンバパフェ』を発売。手軽なワンハンドながら、味は本格的ボリュームたっぷり、お好みで具材をトッピングしてカスタムも可能です。
「ネオ・ワンハンドブーム」はお手軽な韓国食べ歩きフード方向へ?
コロナ禍によってさまざまなスタイルの「テイクアウトフード」が生まれ、ワンハンドフードはその代表格ともいえます。こうした時代による食の変化が、今まで以上にワンハンドフードを広く浸透させ、文化そのものの定着を強めたとも考えられます。
今後は、昨今の韓国ブームとの相乗効果で、ネオ・ワンハンドは「手軽に食べ歩きできる韓国」という認識で広まっていくのではないでしょうか? 引き続き、韓国発の新しいワンハンドフードメニューが出てくることでしょう。
Edit:Yuki Kobayashi / WritingSurport: Miyuki Yajima
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