[トレンド調査隊]第3次プリンブームが到来?ブラジリアンのプリン「プヂン」が人気上昇中の理由

[トレンド調査隊]第3次プリンブームが到来?ブラジリアンのプリン「プヂン」が人気上昇中の理由

急上昇のトレンドメニューを調査する「トレンド調査隊」。第3のプリンブームを牽引する?と話題の、コンデンスミルクで作るブラジルのプリン「プヂン」について歴史、レシピ、話題のお店までたっぷり紹介します。

ブラジルプリン通称「プヂン(Pudim)」とは……

15014_image01.jpgヨーロッパから渡来したPuddingがブラジルの風土で進化した「プヂン※」。牛乳の代わりにコンデンスミルクを使うこと、ココアスポンジとプリンの2層構造でできているのが日本のプリンとの大きな差。プリン部分のテクスチャーはスプーンの上で独立する程の固さで、むっちりとなめらかな食感が珍しく、練乳(コンデンスミルク)の濃厚で独特な甘さの味わい深さが特徴です。特に、甘さ控えめのスイーツが一般化している日本人にとっては、甘さが強く感じられるとか。

※プヂン:ポルトガル語表記でPudim
「プヂンジレイチコンデンサード/Pudim de leite condensado」とも表記される

形は、日本では円形のホール型で作られて取り分けるスタイルのものも広まっていますが、本場ブラジルでは中央がくり抜かれた大きめのエンゼル型を使用して作られることが多いようです。

ブラジルの歴史からひもとく「プヂン」が“甘さ強め“である理由

15014_image05.jpgブラジルのお菓子は、かつてポルトガルの植民地だった歴史的な背景から、卵や牛乳を使用したお菓子が多くみられます。
16世紀にサトウキビが国内に持ち込まれて以来、今でも砂糖の生産量が、コーヒーと合わせて世界1位であるブラジル(参照1)。歴史的に一般生活者が手に入れやすい調味料であったことが一要因と考えられます。
また、年中高温多湿で熱帯気候であるブラジルでは、かつてお菓子は保存食としての役割があり、傷みやすい食品と多めの砂糖を混ぜ合わせて長期保存の効くレシピへと自然と進化したと考えられています。
ブラジルの伝統的なお菓子でプヂン以外の代表的なものにチョコレートのかかったキャロットケーキ (Bolo de cenoura)、練乳やナッツをトッピングするアサイー(açai)等があり、食事の後や日本と比較して回数の多い軽食時に自宅で食べられています。

参照1:農林水産省「生産量と消費量で見る世界の砂糖事情」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1611/spe1_01.html

 

日本で「プヂン」の人気が高まっている理由とは?

過去に2回。日本の“プリンブーム”は「プッチンプリン」と「なめらかプリン」が牽引

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1972年にグリコの「プッチンプリン」が発売されるや、受け皿にプリンをひっくり返して“プッチン“する体験訴求を機にプリンブームが加熱。その後、スーパーマーケット、コンビニエンスストアでの人気スイーツの地位を不動のものにしました。
その後、1993年に生クリームを加えた“なめらかさ”が特徴の高級スイーツPastelの「なめらかプリン」が誕生。今までにはないとろけるような口当たりに、多くの消費者が熱中。“おもたせ”としての需要も相まって、 なめらかなプリンの認知と市場を拡大しました。これが2回目のプリンブームといえます。

「プヂン」と同じく“硬め食感”の第3次プリンブームが到来。その背景とは?

15014_image06.jpg近年、Instagram投稿時に“映え”を叶えるスイーツ市場が拡大。そのうちの1つ、2020年頃から10代~20代を中心にした“昭和レトロ”“純喫茶”ブームの1つとして、銀食器にプリンのカラメル部分を上に盛り付け、絞った生クリームと缶詰さくらんぼで飾ったスタイルのプリンがSNS上で拡散されました。「固めのテクスチャーと優しい味わい」の昭和プリンは「リッチななめらかプリン」が一般的であった若者世代には新鮮に映ったのかもしれません。

“萌え断”拡散を背景に、ローソンの「プヂン」発売がブームを牽引中

近年、全国各地のカフェや喫茶で「コーヒーの国ブラジルのお菓子」という文脈で、コーヒーに合うメニューとして提供され始めたことをきっかけに、SNS、特にtwitterで“プリンじゃなくてプヂン”“萌え断”と表現されて、拡散されました。
低価格帯で発売されたローソンの「プヂン(ブラジル風プリン)」が盛り上がりを決定的なものにしたと推察されます。

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参照:ローソン「プヂン(ブラジル風プリン)
https://store100.lawson.co.jp/product/newproduct/detail/1433752_5067.html

 

家庭で作る“プヂン”は?クックパッドの検索傾向

15014_image07.jpg2022年、TV放映が特に影響して8月に検索頻度が大きく伸長。「簡単」「炊飯器」といったワードが合わせて検索されているようです。レシピでは「ブラジル人に教わった」「現地で販売されているコンデンスミルクを使用して作る」など、本格的な味を再現したいニーズがありそうです。

クックパッドの“プヂン”レシピ2選

濃厚プリン(プジン) by ショクジスキーさん
https://cookpad.com/recipe/7167846

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材料3つ♡フライパンでブラジルプリン☆ by リカちゃんさん
https://cookpad.com/recipe/3939169

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“プヂン”が食べられる話題のお店2選

●TOKAKU coffee+:トカクコーヒー(清澄白河)
Instagramでの投稿件数1位。カラメルのしずる感が特徴。
https://tabelog.com/tokyo/A1313/A131303/13253896/

●COLINA COFFEE:コリナコーヒー(吹田)
スペシャルティコーヒー専門店です。珈琲に合うスイーツを厳選して提供している様子。
http://colina-coffee.com

 

ブラジルプリン“プヂン”は、今後も盛り上がるのか?

現在では、本格的な珈琲人気の風も受ける「プヂン」。継続的なトレンドとなるのかについては、現時点では確定できないですが、食感の似た「硬めのプリン」の人気は継続して上昇中。国別のプリンの切り口等で、プリントレンドを牽引していく可能性はあると推測されます。一方で、なめらかプリン筆頭のPastelから2022年に「柔らかさを極めた“プリンドリンク”」をファミリーマートで発売をスタートするなど、なめらか派もプリン市場に台頭しています。
プリンブームの行方には、これからも目が離せませんね。


Writing Support: Yuki Kobayashi

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