商機を勝機に!旬を狙ったヤマキのコミュニケーション戦略

商機を勝機に!旬を狙ったヤマキのコミュニケーション戦略

ヤマキは、1917年に愛媛県伊予市で創業。「お客様がある故に我が社がある」を原点に、かつお節をはじめ、だしの素、めんつゆ、鍋つゆといった、さまざまなだし製品を開発してきました。
1994年には「割烹白だし」を発売。現在は「白だしさっと煮レシピ」を提案し、さまざまなアイデアを発信し続けています。そんなロングセラー商品のさらなる飛躍をめざし、ヤマキがクックパッドと取り組んだ企画とは? クックパッドの齋藤がお話しを聞きました。

ヤマキ株式会社
家庭用事業部
岡田 太一さん(以降、敬称略)

クックパッド株式会社
マーケティングソリューション事業部
部長 齋藤 貴生

売り上げ好調ながらも次の手を投じていく
ロングセラー「割烹白だし」

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齋藤:今回は、2018年春にヤマキさんとご一緒させていただいた「割烹白だし」の企画についてお話していきます。まずは「割烹白だし」についてご紹介いただけますでしょうか。

岡田:「割烹白だし」は、鰹の一番だしをベースに、薄口醤油、みりんなどで味を整えた液体調味料です。薄めるだけで気軽に使えて、料理の味がぴたりと決まる。薄口醤油を使用した薄色仕立てですので、食材の彩りを生かして、見た目も上品に仕上げることができます。2019年には発売から25周年を迎えました。

齋藤:2010年から2017年までの売り上げ推移は、200%の成長が見られます。どのような取り組みがあったのでしょうか。

岡田:2008年頃、白だしが便利な調味料としてさまざまなメディアで取り上げられたことでブームになり、「割烹白だし」の売り上げも大きく伸びました。ただ、2010から2013年は売り上げの伸長も落ち着きました。当時は年齢層を問わないオールターゲット。いろいろな料理に使えることをひたすら訴求していました。ただ、このままでいいのだろうかと…。

2014年、生活者に向けて白だしの大々的な調査を行ったところ「名前は知っているけれど使い方がよくわからない」「これから使ってみたい」という方が多く、白だしはまだまだ伸びしろのある調味料だと感じました。そこで、ターゲットを白だしを使ったことがない20代から30代の単身女性や主婦に設定し、薄めるだけで誰でも簡単に作れるスープのレシピを打ち出しました。テレビCMの製作も普及の一因になりましたね。2017年まで売り上げは伸び続けました。

齋藤:ちょうどその頃から、当社との取り組みが始まりました。データ的には好調と思える時期に、なぜあえて「コミュニケーション戦略の変更」に踏み切られたのでしょうか。

岡田:2017年の「割烹白だし」の売り上げは前年比110%でしたが、市場全体の伸び悩みを感じていました。改めて白だしの調査をしたところ、使い始めて1年くらいの人には「使い方が簡単」「和食をおいしく作れる」「手早くだしの効いた料理が作れる」と、「割烹白だし」の良さを実感していただいていました。

その一方で、使ったことがない人は「何に使えばいいの?」「白だしの必要性って?」「めんつゆと何が違うの?」といった意見が多数。2014年の調査後、魅力的でわかりやすく使い方の訴求をしてきたつもりでしたが、依然として多くの人に伝わっていなかったんです。

そして、すでに使用している人と未使用者との間に大きなギャップを感じました。このギャップを埋めて、未使用者の方に商品を理解していただかなくてはならないという考えに至りました。

春の旬の食材を使った
たけのこご飯で商機を呼ぶ
新たな戦略に取り組む

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※検索頻度(SI)値:Search Indexの略。クックパッドでの検索1,000回あたりのキーワードの検索回数


齋藤:当社では、レシピの検索データを分析できるサービス「たべみる※」を提供していて、ヤマキさんをはじめ、いろいろなメーカーさんにご利用いただいています。この「たべみる」で白だしを分析したところ、検索数は2009年から伸び続けているものの、2017年で歩留まり。検索データ数と売り上げの推移は、ちょっと似ているという印象を持ちました。

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続いて、2013年から2018年までの白だしと組み合わせて検索されているメニューを調べたところ、上位は「茶碗蒸し」「だし巻き卵」「うどん」など変動がなく、固定化されていました。これと並行してクックパッドに投稿されている白だしを使用したレシピのデータを調査しました。白だしを使用したメニューのシェア数が高いものから順に並べて、実際にどんな料理に使われているかを分析してみると、「たけのこご飯」は23%の使用率でした。

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4月公開のタイミングで、ユーザーから何を求められ、どんなメニューだったらトライアルしてくれるかと考えたときに、旬のたけのこを使ったレシピの訴求は、大きな商機になるのではないかと、ヤマキさんに提案いたしました。

岡田:これまでヤマキでも「土佐煮」など、たけのこを使用したメニューを提案してきました。「割烹白だし」は素材を活かす液体調味料ですから、たけのこにはぴったりなんです。ただ、たけのこご飯のシェア数がこれほど高いとは思っていなかったので、正直驚きました。

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齋藤:4月に公開したページでは「たけのこご飯」を検索したユーザーが、「割烹白だし」を使ったレシピを閲覧できるようにしました。その結果、クリック率(CTR)は3.06%。一見小さな数値に思えますが、CTRは0.5%を超えると平均よりちょっといい、1%を超えると相当よい数字です。このときは、なんと驚きの3%越え。こんな数値、この業務に長く携わっていてもなかなかお目にかかれません。

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岡田:弊社担当の方たちに「これはすごい」と何度も言われたので、すごい結果なんだなと漠然と受け止めました(笑)。ただ売り上げは伸びたので、効果はあるのだなと。2018年4月にはテレビCMを打ち出したり、容器を変えたりという時期でもありましたが、クックパッドの影響も非常に大きかったですね。

齋藤:クックパッドでは、ユーザーが「たけのこ」と一緒に何を検索しているかというランキングも出しました。結果は、1位「炊飯器」、2位「簡単」、3位「白だし」。ユーザーが気になるポイントをデータから引き出し、そのワードをクリエイティブに反映させることで、興味範囲をより広げることができたのではないかと分析しています。

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外部調査も可能な限りおこない、アンケートパネルで広告に触れた人と触れていない人の差がどの程度あるのかも調査。「食卓実現」という項目では、クックパッドのユーザーが「割烹白だし」を購入する前と、購入した後のデータを比較すると、広告に触れた人は、触れてない人に比べて31%多くたけのこご飯を作ったことがわかりました。

岡田:日本人は旬の食材を食べたい、料理に使いたい、という思いが強いですよね。たけのこは少しハードルを感じる食材。どう使っていいのかわからない人も多いと思いますが、意外と簡単に料理に使える。その点がユーザーに響いたのではないでしょうか。

齋藤:今回は我々も満足のいく結果でした。今後の課題は「食卓実現」を継続していくことですね。

岡田:正直なところ、なかなか難しいかなと思ってはいますが…。

齋藤:そうですね。ヤマキさんは通販ではないので、デジタルで購買を追える状態ではありません。我々もそうした状況を少しでも改善すべく、SCI®(全国個人消費者パネル調査)とクックパッドのユーザーを紐づけ、購買の調査ができる仕組みを構築中です。現在、80%くらいがユーザーシンクしています。

(※)クックパッドの検索・アクセスログを活用した、明日の食が見えるビッグデータサービス https://info.tabemiru.com/

(※)株式会社インテージによる、全国15歳~79歳の男女5万人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。



より詳しく知るなら[Cookpad Report]
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ヤマキの次なる課題となる、ボリュームの大きい秋冬の「割烹白だし」購入率強化への取り組みは、下記より資料ダウンロードをしてご確認くださいダウンロードはこちら






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