
食トレンド
【行った】韓国ポチャに流行の気配!新大久保韓国横丁で韓国の方とポチャを語る
「よしだけいすけの飲食店最前線巡り」のシリーズ14回目は、もはや一過性のブームではなく、日本人に馴染みの深い文化とも言える韓国グルメの話。行動制限がなくなり、飲み会が戻ってきた中で韓国の「ポチャ」という言葉を聞くことが増えました。韓国の方とともに新大久保韓国横丁へ向かい「ポチャ」を体験。減ってしまった2次会、3次会の代名詞になる日が近いかも知れません。
前回記事:【行った】ワタミの脱アルコール戦線。世界2,500店の「bb.qオリーブチキン」初上陸の裏側
そもそも「ポチャ」って何? 韓国グルメブームは衰え知らず
ポチャとは正式には「ポジャンマチャ(포장마차)」と呼ばれる韓国の屋台を言うようです。屋台…範囲が広すぎてイメージが湧かないので詳しい人に聞いてみようと、得意のゆる募でTwitterで投げかけをしてみました。
「韓国に長くお住まいで、韓国料理を食べながら屋台文化について教えてくれる方を探しています!」
ありがたい事に何人もの方からご連絡をいただき、韓国企業に務めていて日本事業所の役員をしているパクさん(40代男性)と、日本在住ながらこれまで何十回も韓国に旅行している韓国マニアな前田さん(30代女性)にお話を聞けることになりました。
食未来研究所の調査によると、上のグラフのように韓国関連のフード・ドリンクの検索は右肩上がりで上昇が続いています。コロナ禍においては、自宅で過ごす時間の増加と共に「ネットフリックス」などで韓国ドラマが流行し、人気作品の中で韓国グルメや飲食店の登場が増えたことも影響していそうですね。未だに視聴ランキングでも上位に出てくる「梨泰院クラス」はまさに飲食業がテーマのひとつでもありました。
新大久保韓国横丁へ。詳しい人に聞いてみた
パクさん、前田さんと待ち合わせたのは、昨年末にオープンした「新大久保韓国横丁」。“まるで韓国の夜市のよう”と話題になりましたが、ポチャに通じる場所だと感じたので、ここで体験しながらお話を聞くことにしました。
入口をくぐるとそこはまるで韓国! 賑やかな色使いの内装やネオンサインがまぶしく、のっけからテンションを上げてくれます。
そして広い。ワンフロアに10店舗が入っており、焼肉、豚足、チキン、海鮮、ホルモンなどそれぞれの専門店が所せましと並んでいます。言うならば、韓国屋台のフードコート。まず最初にお店を選ぶのですが、なかなか決められないで悩んでいると、店員さんが「違うお店の料理も食べることができますよ」と教えてくれたので、今日の拠点はヤンニョムチキンが看板メニューの「元祖チキン屋」にしました。
10店舗全てのメニューを確認できる場所が用意されていたり、QRコードからスマホでもチェックできるのが便利です。
個性的な専門店がずらり。メニューだけでなく座席も様々
ご覧の通り、それぞれの店舗で雰囲気が少しずつ違うことも興味深いポイントです。ポスターが壁にたくさん貼られ、テーブルやイスがビールケースだったり、良い意味で気取らず飾らず自然体。
この日は平日の19時ごろに入店しましたが、席が随分空いていて「あれ、人気ないのかな」という不安も杞憂に終わりました。20時くらいからどんどん人が増えてきて、21時にはほぼ満席です。
ポチャは福岡の屋台に近い。2次会で使われる場
飲み物を注文してからいよいよ質問タイム。わかりやすいようにここからは対談方式でお伝えしますね。
吉田:注文はパクさんにおまかせしましたが、これはビールとチャミスルですね。
パク氏:はい。韓国ではこの2つをミックスして乾杯をします。爆弾と呼ばれています。
吉田:なるほど…アルコール度数25度のものをビールで割るなんて…韓国のみなさんはお酒が強いというのも理解しました。
前田氏:グラスにも比率が書いてありますね!
吉田:まずポチャについて聞きたいのですが、韓国で流行っているのは本当ですか?
パク氏:そうですね、流行っているという表現は正しくないかもしれません。一時的なものではなく、ずっと前からあった生活の一部です。
前田氏:私は韓国によく遊びに行きますが、福岡の屋台に近いです。昼間は普通の「通り」だったのに、夕方になると簡易的なテントがぞくぞくと出来て、屋台の列になります。
吉田:福岡の屋台という表現で理解が一気に進みます。「ポチャしに行こう」というノリで仕事終わりに行くものですか?
パク氏:いいえ、2次会や3次会の場として使います。1軒目はしっかり食べて飲んで、帰り道にポチャを見つけたら、寄ってく?という流れです。
吉田:今日の店内は20代前半くらいの世代が多いですが、韓国ではどんな世代の人がポチャするのですか?
パク氏:30代~50代くらいのビジネスパーソンが多いです。映えとかではなく、サクッとした飲みの場です。
前田氏:このお店は韓国のポチャというよりフードコートに近い気がします。
パク氏:余談ですが、韓国では箸を自分に対して直角に置きます。日本では箸先を人に向けるのはマナー違反ですよね。
前田氏:目上の人に飲んでいる姿を見せないよう横を向く、という韓国のマナーはドラマなどで知られてきましたね。
ポチャと言えば。何を飲み食いする?
吉田:ポチャといえば何を食べますか?
パク氏:お店によって売っているものが違いますが、寒いこの時期はおでんに行きたくなります。あとは雨の日はチヂミですね。
吉田:雨の日はチヂミ・・・ですか?
パク氏:理由を聞かれると難しいのですが、焼く音と雨の音が似ているのか、食べたくなると言われています。
前田氏:私はスンデが好きです。豚の腸詰めで、中に春雨が入っています。色が黒いのは血を使っているからです。
吉田:スンデ、名前は聞いたことがありますが初めて食べました。日本にはあまりない食感の食べ物ですね。お酒に合います。
パク氏:これがチヂミです。日本のてんぷらに近いかも知れません。野菜やお肉など色んな種類があるんです。
たくさんの乾杯。会話こそポチャの醍醐味
吉田:日本では一人飲みをテーマにしたり、立ち飲みや角打ちの文化もあります。ポチャは一人で行くこともありますか?
パク氏:韓国では一人で飲み食いすることはほとんどないです。
前田氏:ポチャに限らず、飲食店でも一人用メニューって少ないですよね。基本的にはシェアすることが前提。
パク氏:そうですね、新しいお酒を注いだり、会話の間の度に「乾杯」をします。
吉田:一人飲みをしない文化は日本との大きな違いですね。乾杯も会話も一人で出来ないので、ポチャ自体がコミュニケーションの一環なのですね。
パク氏:これがおでんです。串に刺して食べるものが多いです。
吉田:屋台っぽいビジュアルですね!この意外性は写真を撮りたくなるし、日本と似ているようで違う面もトレンドになるヒントがありそうです。
前田氏:日本にあるメニュー名でも、実物をみると全然違うものが多いのは面白いですよね。
吉田:ポチャや今日来ている新大久保韓国横丁のような、小さなお店がたくさんある場所の魅力は何だと思いますか?
パク氏:色々なものを少しずつ、たくさんの種類を食べられるところでしょうか。個数が選べたり、何人かで来ることが前提なので、シェアしながら楽しめますね。
希薄になりがちな人とのつながり。食べ物と会話を繋ぐ場所に
過去の記事でも取材しましたが、最近はひとりしゃぶしゃぶやひとりでも行きやすい回転寿司など、個食動機に応えたお店が増えている印象です。一方でポチャはみんなでワイワイと楽しむ場。スマホなどのデジタル機器やリモートワークが浸透し、人と人の関係が希薄になりがちだからこそ、ポチャで同じものをみんなで食べながら、杯と言葉を交わすことの大切さがより増してくるのかもしれません。
あるいは2人でしっぽりと、職場では話せないことを伝え合うシーンも作ることができそうで、刻々と変化する飲食店のトレンドは人の暮らしそのものだなぁと思いながら、ヤムニョムチキンを食べました。
【店舗情報】
新大久保韓国横丁
住所:東京都新宿区大久保2-19-1 セントラル大久保
営業時間:11:30〜翌5:00
https://www.instagram.com/shinokubokankokuyokocho/
※2022年11月の取材時点での情報です
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著者情報

- よしだけいすけ
- 2020年5月よりカラビナハート株式会社に入社。10社ほどの企業SNSアカウントのコンサル・運用支援を行っている。公式アカウントのフォロワー増や投稿のノウハウだけではなく、目的に合わせた目標設計やビジネス貢献の可視化、再現性ある仕組み作り、SNS担当者のトレーニングが得意領域。2020年4月までは株式会社すかいらーくHDのマーケティング本部にてコンテンツコミュニケーションチームのリーダー。7つの公式Twitterアカウントを立ち上げて合計210万フォロワーに。広告宣伝のほかアプリ、メルマガ、公式サイト、ファン施策、ポイントプログラムなどを担当した。店舗勤務含めて15年間在籍。
Twitter:https://twitter.com/ruiji_31
note:https://note.com/yoshiwo_note