「豆ヌードル」など小麦の代替麺が急増。その理由は?[トレンド調査隊]

「豆ヌードル」など小麦の代替麺が急増。その理由は?[トレンド調査隊]

急上昇のトレンドメニューを調査する「トレンド調査隊」。近年、健康志向の高まりから、ダイエットや糖質制限に取り組む人を中心にニーズが高まっているのが「豆ヌードル」です。小麦粉以外の素材を使った代替麺が注目を集める理由と今後の予測について紐解きます。

「豆ヌードル」とは?素材の選択肢が広がる麺類

豆ヌードルとは、えんどう豆、大豆、ひよこ豆などを原料に作られた麺類のこと。これまで、麺類の原料と言えば小麦粉が一般的でした。近年は素材が多様化しており、豆、米、玄米、ケール、モロヘイヤ、カリフラワーといった穀物や野菜などさまざまです。小麦を混ぜたものから、代替素材100%で作られているものもあり、形状も一般的な細長い麺から、マカロニやニョッキといったショートパスタタイプまであります。

SNSの広告やテレビCMをはじめ、スーパーでもよく見かけるようになっています。ハワイの自然食品店「WHOLE FOODS MARKET(ホールフーズマーケット) 」のトレンド予測2023でも、3位に「Produce Meets Pasta(農作物とパスタの融合)」が入ってきました。

小麦を使わない・減らす麺が増えた理由は?

小麦麺に比べると決して価格が安いわけではない代替麺。なぜそれでも、小麦を使わない、もしくは減らした麺類が続々と増え、注目が集まっているのでしょうか。それには健康、環境や社会へのメリットといった次のような要因が考えられます。

 

理由①「食に関する健康志向」の高まり

コロナ禍によって今まで以上に健康志向が高まり、食の質を見直す人が増えたということが大きな後押しになっていると考えられます。

生活習慣病のリスク低下のため、ダイエットのため、免疫アップのためなど、健康面でメリットがある食品を積極的に選ぶようになり、低カロリー、低脂質、低糖質・糖質オフ、野菜原料といった商品は、生活者ニーズの高いものになっています。

そうした傾向の中で、小麦(グルテン)を減らして糖質を控える、グルテンフリーの食生活を取り入れる人が増え、メリットを感じる人も多くなってきたのではないでしょうか。糖質制限やグルテンフリー、高タンパク質の食事を意識している人にとって、小麦以外の原料で作られた代替麺は、主食の新たな選択肢として定着しはじめていると言えるでしょう。

理由②「環境や社会に配慮したSDGs意識」の高まり

もう一つの理由が、地球環境やよりよい社会のために配慮したSDGs的な意識の高まりです。

以前から、‟こんにゃく麺”や‟米粉麺”などの代替麺はありましたが、どちらかというとダイエットや健康のために選ぶという傾向が強いものでした。近年はそれだけでなく、いかに地球にやさしく環境負荷が少ないか、持続可能な社会づくりに貢献できているか、といった観点も、商品選択の際に重要な要素となっています。企業だけでなく個人レベルでも「地球環境保護やSDGsにつながる商品選び、生活行動、消費をしたい」という考えは広まっているでしょう。

そうしたことから、「環境負荷の少ないプラントベースフード」の一つとして、小麦だけではなくさまざまな植物性素材で作ることができる「麺」が注目されるようになったと考えられます。「環境や社会への影響を考えた食」を提供したい企業、それを選びたい消費者という双方のニーズの相乗効果で、豆ヌードルをはじめとした代替麺のバリエーションが増えていると推測できます。

豆ヌードルへの生活者の注目度は?

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クックパッドでの検索頻度を見ると、「豆ヌードル」のキーワードではまだ少ないものの、「ミツカン」が2020年9月に発売した黄えんどう豆100%の豆ヌードル「ZENB」を使ったレシピの検索頻度は増加傾向です。いずれの月も前年比で上向きに推移しています。

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また、2022年8月に「キッコーマン」から「大豆麺」シリーズが発売されて以降、「大豆麺」の検索数も上昇しています。現状では商品ごとのインパクトが強いと読み取れますが、今後は豆ヌードルという食材そのものへの興味関心も一層高まっていくと予想されます。

クックパッドの「豆ヌードル」レシピ

【ZENB】マメロニの簡単具沢山スープ♪ by MEGUPON3 さん
https://cookpad.com/recipe/7110491

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大豆麺で和風和え麺 by jiejieの台所 さん
https://cookpad.com/recipe/6500474

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健康、環境、栄養面でも「代替麺」ジャンルは拡大の兆し

今後も、健康や環境を意識した生活者の消費傾向はより強くなり、食の多様化もますます進んでいくでしょう。そうした中、プラントベース、アレルギー対応も可能な豆ヌードルは
ポテンシャルの高さがあります。種類が増えるほど、より多くの人が自由に麺類を楽しめるようになります。

また、豆ヌードルでタンパク質摂取量を増やしたい、野菜麺で野菜の摂取量を増やしたいなど、摂りたい栄養素にあわせて好みの麺を選ぶという機会も増えていくはずです。「糖質を摂らない、制限する」といった傾向から変化しつつある、「糖質を抑えながら健康的に食を楽しみたい」といったニーズにもフィットします。

社会や人の価値観など変化の激しい時代の中で、さまざまな素材で作ることができて多様なニーズに対応する代替麺。新しい◯◯ヌードルの登場に期待が高まります。

writing support:Miyuki Yajima

▶クックパッドが「食トレンド予測2023」を発表



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