[イギリス発の食トレンド予測2023]食のキーワードTOP20を「TFP」が発表

[イギリス発の食トレンド予測2023]食のキーワードTOP20を「TFP」が発表

英国では地球環境に対する配慮が社会に浸透し、脱炭素の動きも活発な一方で、エネルギー価格の上昇やEU離脱にともなう人手不足で物価高が続いています。そんな中、食に関するコンサルタント「ザ・フード・ピープル (thefoodpeople)」が、2023年の食トレンドトップ20を発表しました。本稿ではその抄訳をお届けします。

ザ・フード・ピープル(TFP)とは

「ザ・フード・ピープル (thefoodpeople)」、通称「TFP」は、英国に拠点を置く食のコンサルタント集団。トレンドアナリスト、マーケター、シェフ、商品開発者、心理学者などの多様なメンバーで構成され、オンラインコミュニティや独自の調査分析に基づく食のトレンドを16年にわたり発信し続けています。

イギリス発 2023年の食トレンドTOP20

TFPが発信する2023年の食のトレンドキーワードを見ていきましょう。20項目の食にまつわる動向が示されています。英国のニュースでよく聞かれる「Cost of living crisis(生活費の危機)」が、トレンドキーワードにも大きく反映されているようです。

1.COST OF COOKING(料理に対するコスト意識)

生活費の危機はまだ始まったばかりかもしれませんが、すでに家での食事(内食)や外食産業に影響を及ぼしています。生活者の気分は、質素倹約は「あり」で、過剰な贅沢は「なし」です。質素倹約の助けになるような小売店の取り組みや、インフルエンサーのレシピ、食品ロスを減らす技や、お手頃なメニューが身近な存在になっています。

2.BACK TO BASICS(基本に立ち返る)

インフレや地政学上の不安定さに直面した人たちは、前を向くために、時には過去を振り返る必要があります。農家は昔ながらの再生農法に戻り、発酵食品や保存食は食品ロスを防ぎます。それらは賢明で健康的な食事への回帰につながっています。

3.BEIGE COMFORTS(ベージュ色のお楽しみ)

財布のひもは固くても、食の楽しみは捨てがたいもの。厳しい時こそ財布にやさしい“ベージュ色”の主食の出番です。素朴なサンドイッチが「gourmet(グルメ)」になります。シンプルでアレンジの幅が広いトーストもお忘れなく。ポリッジ(米やオート―ミールを煮たおかゆ状のもの)やマカロニチーズといった、おなじみのメニューにも注目が集まっています。

4.PERFECT PATISSERIE(パーフェクト・パティスリー)

伝統的な料理が好きな人に朗報です。フランスのパティスリーやヴィエノワズリー(卵や牛乳、砂糖などを用いたリッチなパンの総称)が流行しています。おいしくて、「正式な」フランスのパティスリーを家庭で再現するのは不可能に近いこともあり、予算が限られた外食のなかでも、手が届きやすい贅沢のひとつになるのです。生地が何層にも重ねられたクロワッサンやキャラメリゼされたクイニーアマン、クラシックなカヌレを思い浮かべてみましょう。

5.NEW CLIMATE & CROPS(気候変動と作物)

異常気象は作物の生育環境に壊滅的な打撃を与えています。そのため、生産者はできる限り気候変動に適応しようとしています。世界的に干ばつに強い作物が好まれ、トウモロコシや小麦への依存を減らすために、豆類や古代穀物などが支持されるようになってきています。

6.REAL & RECOGNISABLE(リアルで認識可能なもの)

生活者は、インフルエンサーよりも医師や科学者から、栄養に関するアドバイスを受けることが増えています。魔法のような治療法に飛びつくよりも、誰もが理解し得る常識的で健康的な食事へと興味が移り、人工的なものが否定され、最小限の加工を施されたものが好まれるようになっています。

7.PRECISION FERMENTATION(精密な発酵)

食品開発にとっては、まさにエキサイティングな時代になりました。科学者たちがほぼ同一の、または時に改良されたタンパク質をつくりだし、想像以上に早いタイミングで市場に投入するようになったのです。発酵という古くからある技術は、動物の飼育や屠殺の必要なく、微生物を動物と遺伝子的に同じタンパク質に変えます。

8.PHYGITAL WORLD(現実とデジタルの世界)

パンデミックにより、世界はあらゆることをデジタルで行っています。生活者は日常生活を取り戻すなかで、オンラインとリアルを最大限に活用し、消費生活に調和させようとしています。店頭でのライブストリーミング映像やデジタルディスプレイ、メタバースやNFT(偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ)など、リアルな世界の利益につながるものが増えています。

9.PRECIOUS ENERGY(貴重なエネルギー)

私たちは、世界の貴重な資源をこれ以上乱用してはならないと感じています。現在の地政学的な状況は、エネルギー価格の高騰と、エネルギー供給の脆弱性を浮き彫りにしました。生活者や小売業者、サプライヤー、農家に至るまで、誰もがエネルギーを節約するのみならず、生み出す方法を探しています。

10.MANMA MIA(マンマ・ミーア)

不確実な時代において、生活者は自分たちがよく知るものに目を向けます。シンプルで満足のいくおいしさを体現する一皿と言えば、控えめで風味豊かなパスタやリゾットでしょう。外食産業では、素朴な家庭料理を提供するイタリアンのトラットリアが次々と誕生しています。

11.DONT CHUNK IT(捨てるべからず)

食品廃棄物をフードチェーンにのせることには、ハイエンドのシェフやTikTokのインフルエンサー、大企業に至るまで、誰もが関心を寄せています。環境問題に端を発したこの取り組みは、今や経済的な観点からも注目されています。食料不足が現実のものとなるなかで、食品廃棄物の再利用がひとつの答えになりつつあるのです。

12.NOSTALGIA(ノスタルジア)

暗い現実に直面している生活者は、ポリッジ(米やオート―ミールを煮たおかゆ状のもの)やパイやトーストといった、温かいおなじみのメニューに頼るか、子どもの頃に好きだったチキンナゲットに大人向けのアレンジを加え、ワインとともに味わうなどして、食に快適さを求めています。

13.ESCAPISM(逃避行)

パンデミックや財政事情などにより、世界的に旅行しにくい状況が続いています。そのため、生活者はリアルな旅行のかわりに、食を通じたハッピーな旅行体験を求めています。生活者たちはフレンチビストロやトラットリア(イタリアン)で、慣れ親しんだ、手間のかからない風味豊かな料理を楽しみながら、リラックスした時間を過ごしています。

14.SCREEN TO PLATE(動画から食卓へ)

TikTokの勢いはとどまるところを知りません。コーンリブ(とうもろこしを縦にスライスしポークリブのように調理したもの)やパスタチップス(パスタをカリカリに仕上げてディップを付けて食べるもの)といった、楽しくお手軽な料理を通じて食のマイクロトレンドを日々発信し、家庭料理人たちを勇気づけ、刺激をもたらしています。それらのレシピは動画から食卓の一品となり、再び動画コンテンツとして広がっていくのです。

15.FROZEN&PANTRY(冷凍&貯蔵)

生活費の危機の高まりにより、栄養価が高い食品をお手頃価格で手に入れることがますます重要になってきています。ヘルシーで安価、便利なうえにサステナブルな食事を作る手段として、生活者たちが見直しているのが冷凍食品や貯蔵できる主食です。冷凍野菜、レンズ豆の缶詰、水さえあればできる保存食など、さまざまな食品が注目されています。

16.HEALTHY SOIL(健やかな土壌)

私たちは今、土壌を守るために行動を起こす必要があります。具体的には作物の多様性、有機農法や不耕起栽培、被覆作物、多年生穀物などがあげられます。土壌は水をろ過し、食物を育てるなど、陸上生活全般において不可欠なものですが、驚くべき速さで浸食されているのです。

17.LOVE THE OVERLOOKED(見過ごされたものを愛する)

一部のマーケットでは長く評価されているが、一般的には見過ごされているものが注目されています。食肉業界のインフルエンサーたちは、元乳牛や高齢の豚、引退したアヒルに至るまで、高齢で経験豊富な動物について、食肉としての味を支持しています。重要なのは年齢だけではありません。在来種や伝統種、希少種が復活し、その食肉を生活者に届ける動きも見られます。

18.POWDERS(パウダー)

生活者たちは、かつてキャンプ料理として認識されていたフリーズドライの食品を「便利でサステナブル」「健康的でお手頃価格」という、まったく新しい視点でとらえています。フリーズドライ技術のおかげで、輸送コストや二酸化炭素排出量を削減できます。そして数滴の水を加えるだけで、いつでもどこでも手早く食事や飲み物、スナックを楽しむことができるのです。

19.LONGEVITY CONTROL(寿命をつかさどる)

加齢のプロセスをコントロールし、長寿を目指す生活者たちは、身近で強力な予防医学として何世紀もの歴史をもつ、食事や生活習慣に注目しています。伝統的な中医学、アーユルヴェーダ、ファスティングや呼吸法、冷水療法といったものがあげられます。

20.FLAVOUR BOMBS(大胆な味わい)

生活者の知識が高まるにつれ、大胆な味に目が向けられています。「甘い」「ピリッとしている」「塩辛い」「苦い」「うま味がある」といった味の境界線はさらにあいまいになり、ハーブやスパイスの効いたデザートは珍しいものではなくなりました。うま味や鼻にツンとくる味を用いた、ネクストレベルとも言える実験が行われており、何層ものうま味や、ガルム(魚醤)のような味わいをもつドリンクが登場するかもしれません。

出典:https://thefoodpeople.co.uk/infographics/top-20-whats-hot-23-24

writing support: Sachie Mizuno



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