2022年グッドデザイン賞の玄米麺はSNSで認知拡大。ダイエットではなく子どものための麺だった

2022年グッドデザイン賞の玄米麺はSNSで認知拡大。ダイエットではなく子どものための麺だった

ここ数年で、小麦を使わない麺が増えています。米粉麺をはじめ、大豆・えんどう豆を原料にした豆ヌードルや、ケール・モロヘイヤといった野菜系など、多様化してきました。今回お話をうかがったのは、玄米麺の「スーパー麺」を販売する株式会社ウォンツの山口雅朗氏。糖質を控えたいニーズに応える商品は、SNSで人気に火がつき、3年で累計16万食を売上げています。当初のターゲットは実は子どもたち。健康やダイエットのため、糖質制限をする人ではありませんでした。その開発の経緯や販売戦略などをお聞きしました。

 

お話をうかがったひと



株式会社ウォンツ
山口 雅朗 氏

きっかけは、ラーメン大好きだけど小麦アレルギーの息子のため

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福井県鯖江市にある株式会社ウォンツは、もともと食品メーカーではなくネット通販運営代行会社。「ラーメンが好きだけど、遅延性小麦アレルギーの息子のために、創業者の一人が小麦を使わないおいしい麺を作りたいと考えたのが始まりでした」と山口さんはいいます。

「さまざまなグルテンフリー麺を試食し、イメージする麺が作れる所を探して何度も試作。おいしくなければ、子どもの胃袋はつかめないし、継続して食べてもらえません。約2年を経て、生麺のようにもっちりとしていて、しっかりとしたコシがある玄米麺がようやく完成。ラーメンやパスタ、そば、うどんなど、あらゆる麺料理にアレンジできるクセのない味に仕上がり、その子も喜んで食べていたと聞きました」

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食物アレルギーの悩みを持つ人は多いはずと、Amazonで販売することに。材料は焙煎した玄米とでんぷんのみで、生麺のようなもっちり食感は特許取得製法により実現しました。ゆで時間はわずか1分と調理は手軽。また、常温保存ができ、1年間という長い賞味期限も特長です。

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ゆでた麺に醤油をかけて、卵をのせた「かまたま」

商品名は「スーパー麺」。白米やパスタと比べて食物繊維が豊富で、ビタミンEやカルシウム、鉄、亜鉛、カリウム、マグネシウムも多く含まれる玄米麺は、食で困りごとを抱えた人のヒーローのような存在になれるはずだとネーミングしました。

SNSで取り上げられ、3年で累計16万食を突破

販売は自社ECやAmazon、楽天市場がメイン。2019年11月の発売以降、2022年11月には累計販売数16万食を記録しました。

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「広告費に大きな予算はとれず、特別な広報活動はしていないのですが、インフルエンサーの方が個人的に商品を気に入って、紹介していただいたことで徐々に認知を広げ、売り上げを伸ばしてきました」と山口さんはいいます。

「自社HPにメディアだけでなく“インフルエンサー窓口”を設けていて、商品紹介の要望があればサンプルを発送しています。Instagramでスーパー麺を調べて、投稿を見つけたら“いいね”してフォローすることも欠かしません」

地道とも思える広報活動だが、じわじわと評判が広がり、雑誌や新聞でも多数取り上げられるように。特徴的なのは、美容やスポーツ分野の有名人のファンを獲得したことです。人気モデルはスーパー麺で5kg痩せたといい、著名なヘアメイクアーティストは50個ストックしているほどのヘビーユーザー。また、陸上競技のオリンピックアスリートがYouTube動画で調理して食べるなど、著名人が商品を気に入って、自然発生的に発信してくれるという嬉しい状況が続きました。

「子どものために作った商品ですが、大人にも愛されているというのはありがたい反響です。憧れのスポーツ選手が食べているなら試してみようと、子どもに思ってもらえるかもしれませんし、子どものために実際に商品を買う親世代にも訴求できると思います」

パッケージだけでなく社会的意義を評価され、グッドデザイン賞を受賞

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販売開始当初は何も表記がない透明のパッケージでしたが、商品の魅力をより伝えるために新デザインにリニューアル。2022年度のグッドデザイン賞を受賞しました。

「グッドデザイン賞は、“受賞商品ならばいいものだろう”と思ってもらえる、商品選びの第一ステップになるもの。メディアでの露出を期待してというよりは、ブランディングを狙って応募しました」と山口さん。

デザインのポイントは、認知度の低い玄米麺だから、玄米由来の色や麺の太さがわかるように中央部を透明にしたこと。また、「食べたぶんだけ強くなる!」をキーメッセージに、ポップで力強いイメージの赤をベースカラーにしました。

「インパクトのあるネーミングやポップなデザインが目を引きますが、おいしく食べて、子どもたちに健やかに育ってほしいという想いで作った商品。グッドデザイン賞で、食料自給や食物アレルギーといった社会的課題に対する貢献も評価していただいたことは、大変嬉しく思います」と山口さん。

パッケージのデザインだけではなく、社会をよりよくしていく“ソーシャルグッド”な開発背景を重視しての受賞だったのでしょう。

地道なSNSでの広報活動やグッドデザイン賞への応募など、広告費を極力おさえながらも着実に認知を拡大し、ブランディングを強化していくことができると、スーパー麺の事例からよくわかりました。

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パスタのアレンジも可能

クックパッドの食トレンド予測2023でも、注目キーワードとして「物価高」「代替食品」「SNS発」をあげていて、米粉や豆ヌードルのブームを予測しています。実際、「米粉」の検索頻度はスイーツ系だけでなく、お好み焼きやチヂミ、唐揚げといった主食や主菜でも上昇傾向にあります。

ゆで時間1分で、生麺のようにおいしく、栄養素も高い「早い、うまい、強い」がウリの玄米麺。価格面ではまだ安いとはいえませんが、その栄養価と生活者のニーズに合うコンセプトで、今後も注目を集めそうです。

writing support: Ayu Ito



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