家で作る人が急増中の「りんご飴」。パリパリ食感が人気のヒミツ[トレンド調査隊]

家で作る人が急増中の「りんご飴」。パリパリ食感が人気のヒミツ[トレンド調査隊]

急上昇のトレンドメニューを調査する「トレンド調査隊」。今回は、人気の高まりから家庭でも作られることが多くなってきた昔ながらのスイーツ、りんご飴です。なぜ今、りんご飴なのか、そこには現代ならではの趣向が反映されています。そんなブームの理由を探ります。

りんご飴ブームの理由は?

「りんご飴」とは、生のりんごを1個まるごと砂糖や飴でコーティングして、食べやすく棒が刺さったお菓子のこと。日本では縁日やお祭りの屋台グルメとして有名で、日本のオリジナルスイーツのように思っている人も多いかもしれませんが、発祥はアメリカだと言われています。特に欧米では「アップルキャンディー」として、ハロウィンの定番のスイーツとして親しまれています。

いずれにしろ、これまではどちらかと言えば“昔ならではのスイーツ”というイメージが強いりんご飴ですが、なぜ今ブームになっているのでしょうか。

理由①美味しく食べやすいスイーツに進化した

近年の日本のりんご飴ブームのきっかけは、2014年に専門店がオープンしたのが始まりです。以来、専門店が続々オープンし、一時は行列ができるほど人気のスイーツになりました。

理由は、おいしさと食べやすさ。それまでの「分厚い飴がかかった屋台のりんご飴」とは違い、飴は薄くパリっした食感。使うりんごそのものにもこだわり、フレーバーもチョコをかけたりシナモンパウダーをかけたりするなどバリエーション豊富で、おしゃれなスイーツに変身しました。

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さらに、りんご飴をカットして販売する店も増え、単純に食べやすくなったことも大きな要因でしょう。食べ歩きがしやすいフィンガーフードのひとつとして取り入れやすくなったと言えます。

昔ながらのスイーツも「おしゃれ×おいしい×食べやすい」といった現代のニーズを捉えたアレンジで人気になるという、まさに代表的な進化系スイーツの例だと言えるでしょう。

理由②韓国のフルーツ飴「タンフル」人気が日本にも上陸

2019年頃、韓国で「タンフル」というフルーツ飴の人気が高まりました。いちご、りんご、ブドウなどさまざまなフルーツを串に刺して、飴でコーティングしたものです。

そんな韓国のフルーツ飴ブームが日本にも到来。東京で「いちご飴」の専門店ができ、原宿や新大久保など若者に人気の街でも見かけるようになるなど、フルーツ飴自体の認知度が高まりました。

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韓国でブームになるグルメやスイーツが日本でもヒットする流れは、ここ数年で特に多く見られます。これまでお祭りや縁日のスイーツだった少々地味なりんご飴が、韓国スイーツの人気とともに新しい地位を確立したのではないでしょうか。

理由③パリパリした音を楽しむ「AMSR動画」がヒット

「ASMR」とは、「Autonomous Sensory Meridian Response」の略で、日本語では「自律感覚絶頂反応」と訳されます。視覚や聴覚に起こる心地よい感覚、脳がリラックスする感覚のことで、食べ物の咀嚼(そしゃく)音を収録した「ASMR動画」は人気の動画ジャンルです。

もともと2009年頃から、韓国発祥のモッパン(食べる様子を見せる動画)が大流行し、食べる動画は刺さるコンテンツ。そんな中、大量のフルーツ飴を食べる動画は、モッパン要素がありつつ、パリパリ食感の音が心地良いAMSR動画として注目を集め、人気動画配信者がフルーツ飴を食べる様子を配信しました。味だけでなく音の要素も、りんご飴が人気となったヒミツのひとつとしてありそうです。

写真映えする大きさ&色もポイント

スイーツの流行の要素として欠かせないのは、写真映えする見た目です。韓国の「タンフル」で人気のいちご飴も同様、赤くて飴でつるっとした見た目は写真映え間違いなし。

りんご飴の大きくコロンと丸いシルエットは、持っているだけで撮影アイテムとして存在感があります。また、棒付きなので手に持って撮影しやすいというのもプラスの要素でしょう。さらに、真っ赤な色を顔の近くに持ってくることで写真の印象が華やかになり、食べようとしている表情や様子はかわいさを演出できます。

りんご飴を家で作る人が急増

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クックパッドのデータを見ると、2022年は秋冬のりんごの旬の時期にあわせて「りんご飴」のレシピ検索が急増しています。2021年は旬の時期でも特に大きな変化はありませんでしたが、今年は大きな上昇が見られるのが特徴的です。

この理由としては、りんご飴の専門店が引き続き増えていること。りんご飴が祭りや縁日の屋台で食べる限定的なものではなく、一度は食べたことのある身近なスイーツとして、じわじわ定着しつつあること。「おしゃれなスイーツ」の仲間入りを果たしていること。さらにそのお店の味を自分で再現したいという需要が高まっていること。果物のなかでもりんごはとても身近な食材なので、手に入りやすく簡単に作れそうなイメージがある、などが考えられます。

クックパッドの「りんご飴」レシピ

飴が剥がれない!パリっと!!りんご飴 by rose8155 さん
https://cookpad.com/recipe/3197570

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完璧簡単♪一口サイズミニりんご飴♪屋台風 by katochiri さん
https://cookpad.com/recipe/4893386

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よくある定番スイーツは「進化系」がカギ

「りんご飴=屋台グルメ」「子ども向けのおやつ」というのはひと昔前のこと。食感の良さや写真映え、動画ブームなど、味以外の意外な面から人気が高まり、注目度がアップしました。見た目もおしゃれで、たくさんのフレーバーがあり、行列に並んでも食べてみたいスイーツに進化しています。

時代にあわせて価値をうまく変換させ、ブームを作り出したマーケティングの成功例だと言えます。昔からあるシンプルなスイーツも、時代のニーズにあった要素を打ち出し、こだわりをもって進化させることで一大ブームとなり、ヒットする可能性は十分にありえます。今後、りんご飴と同じように人気に火が付くスイーツは、まだまだ眠っているはず。次なるブームに期待です。

writing support:Miyuki Yajima



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