沖縄発「ポーたま」から読み解くおにぎりブームの傾向[トレンド調査隊]

沖縄発「ポーたま」から読み解くおにぎりブームの傾向[トレンド調査隊]

急上昇のトレンドメニューを調査する「トレンド調査隊」。昨年、沖縄復帰50周年でメディアやドラマなどさまざまな情報発信があり、沖縄グルメに注目が集まりました。今回取り上げるのは、沖縄のソウルフードとして親しまれているポークたまごおにぎり、通称「ポーたま」。ご当地おにぎりの枠を超えて全国的に人気が高まっている「ポーたま」を中心に、近年のおにぎりブームの傾向を探ります。

ポーたまとは?

ポーたまとは、ポークたまごおにぎりの略称であり通称。SPAM(スパム)などに代表されるポークランチョンミートと、薄めの玉子焼きをはさんだおにぎりのことです。沖縄ではコンビニや弁当店、スーパーなどに必ずと言っていいほどある、県民にとってのソウルフードともいえるグルメです。

発祥は、ハワイの「スパムおにぎり」だと言われています。SPAM(スパム)とは、アメリカ軍糧食として取り入れられていた豚肉を加工したランチョンミート缶詰の商品名。沖縄では、このランチョンミートが戦後のアメリカ統治時代に広まっていき、今では「ポーク」と呼ばれ定着しています。

そんなポークを焼いて、玉子焼きを添えた「ポーク&たまご」の定食は、沖縄の食堂の定番メニューでもあり、お店によってポークの種類や玉子の焼き加減、味付けが異なるなど、個性あふれるグルメ。この定食をまとめて、手軽におにぎりにしてしまったのがポーたまというわけです。

基本の具は、ポークと玉子焼きですが、最近では、基本の具材に加えてツナマヨやえびフライ、ゴーヤの天ぷらなど、さまざまなアレンジを加えたメニューが増えています。

ご当地おにぎりだったポーたま、人気が高まっている理由は?

このポーたまが近年、全国的に人気を集めているのはなぜなのでしょうか。

2015年には、にぎらないおにぎり「おにぎらず」が、「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされるなどブームになりました。この頃から少しずつ、三角に握った定番具材のおにぎりではない、「進化系おにぎり」が注目されるようになってきました。

ポーたまは、おにぎらずのような四角い形が特徴的。おにぎらずの人気とともに、ポーたまの認知も広がったのでしょう。

そして2021〜2022年、沖縄県内の行列店であるポークたまごおにぎり専門店「ポーたま」が、福岡と東京に進出し、一気に注目度が高まりました。

「ポーたま」の商品は、よくある普通のポークたまごおにぎりとはひと味違います。具材がたっぷりで、沖縄そば、エビマヨ、島豆腐や島らっきょうなど、沖縄定番食材やグルメを使ったものから、炙り明太子、バインミー、煮穴子など、店舗限定や期間限定の個性的なメニューが多くあります。

具材を挟む形のおにぎりなので、複数の具材をいれることができます。見た目も豪華で写真映えする点も人気の理由となっているようです。

また最近では、全国チェーンのコンビニでも商品化されて認知度がさらにアップ。「沖縄でなくても食べられる 」という手軽さも追い風となっています。

クックパッドでも「ポーたま」の検索頻度が上昇

15919_image01.jpgクックパッドの検索頻度をみると、2015年のおにぎらずブームで微増。その後停滞するも、2021年から2023年にかけて上昇を続けています。沖縄の人気店「ポーたま」の店舗拡大が、家庭での注目度アップにも影響しているようです。

ポーたまと組み合わせて検索されるキーワードをみると、2020年頃から、ポーたまの具材である「スパム」と「玉子」以外に、「ゴーヤ」「油味噌」「明太子」「チーズ」などが検索されていて、具材が多様化しています。人気店「ポーたま」の味を家庭で再現しようとしている様子がうかがえます。

おにぎりブームの傾向は「1個で完結」?

おにぎりは日本の食文化において昔からあるものですが、これまでも「進化系おにぎり」が度々話題になってきました。たとえば、宮崎の「肉巻きおにぎり」、先にあげた「おにぎらず」、ローソンから発売され人気となった「悪魔のおにぎり」、韓国版おにぎり「チュモッパ」、最近TikTokで話題になっているパンの代わりにごはんで挟む「おにぎりドック」「ホットドッグおにぎり」などがあります。

ブームの傾向として、以下の共通点がみえてきます。

●具材がたっぷりで、たんぱく質食材とセットになっており、栄養バランスが良い
●おかずがなくても、味としておにぎり1個で満足できる

忙しい現代において、手軽に片手で食べられるおにぎりは重宝するグルメ。朝、昼、夜と食べる時間も、場所も選びません。おにぎり1個で必要なエネルギーと満足感を得たいというニーズに応えるべく、おにぎりは進化を続けています。

ポーたまは、おかずとセットになっていて、たんぱく質がしっかりとれる定食のようなおにぎり。さらには写真映えする見た目もあり、人気グルメとなる要素が揃っていると言えるでしょう。

クックパッドの「ポーたま」レシピ

沖縄のうまうまB級♪ポーたまおむすび by 太田アキオ さん
https://cookpad.com/recipe/3318283/

recipe

簡単♡ぽーたまおにぎり by Avi♡ さん
https://cookpad.com/recipe/6166985

recipe

今後のヒットしそうなおにぎりのポイントは

お米、具材、海苔という基本の組み合わせはずっと変わらないのに、時代にあわせて進化し続けているのがおにぎりの魅力であり、可能性ではないでしょうか。

ご当地おにぎりでいうと、特に沖縄のポーたまの認知度が高まっていますが、全国各地で地域ならではのおにぎりがあり、形も、味も、具材もさまざま。その土地の特産品、根付いた歴史などが反映されています。

「手軽」「栄養価が高い」「映える」など、ヒットグルメのキーワードともいえる特徴をおさえれば、ポーたまに続いて全国区となるご当地おにぎりもでてきそうです。今後の「進化系おにぎり」に期待が高まります。

writing support:Miyuki Yajima

※記事の内容は2023年1月時点の情報です



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