今、何が検索されている?家ごもり長期化による食卓変化9選

リモートワーク勤務や学校の休校措置や外出自粛によって、今「家庭での調理」に大きな変化が起きています。数週間の短期的なものではなく、長期化する恐れもあるこの状況において、生活者の調理ニーズはどのように変化しているのでしょうか。月間5,200万人が利用するクックパッドの検索データを活用しながらその兆しを見つめ、今後の傾向についても予測してみたいと思います。

5,200万人が利用するクックパッド
2020年4月の検索ランキングに大きな変化

「クックパッド」は月間5,200万人(日本世帯の80%に相当)がアクセスし、2020年4月時点では約320万件のレシピが投稿されています。この莫大な利用規模によって、クックパッドには大量の検索・閲覧データが蓄積されています。生活者が「いつ、何を調べ、何を検討したのか」がデイリーにわかり、これらのデータを分析することで、生活者が食に求めていることを迅速かつ正確に解き明かすことができます。

下の図は2020年4月10日時点の検索頻度ランキングで、注目すべきは「前年同期比」です。異例のメニューがランクインしており「クレープ生地」や「バナナケーキ」「ミルクレープ」などが登場していたり、6位には「春」というキーワードが挙がっています。

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なぜこのような検索傾向になっているのか、特徴的なキーワードの検索背景を考察しながら、9選をご紹介していきます。

1.「ホットケーキミックス」の検索が伸長
クレープなどをアクティビティとして楽しむ

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グラフは「ホットケーキミックス」の検索頻度です。2018年から2019年の波形とは異なり、3月18日以降も伸長傾向がみられます。ホットケーキミックスを使って何かを作ろうとする意識がうかがえます。

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※検索頻度(SI)値:クックパッドでの検索1,000回あたりのキーワードの検索回数

続いて、「ホットケーキミックス×●●●」の組み合わせ分析です。上昇傾向のメニューを抽出してみると、「バナナケーキ」や「クレープ」「スコーン」などでした。

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※マッチ度:「ホットケーキ×●●●」など「○○×●●」の組み合わせて検索される割合

ホットケーキミックスは小学生にも作れるくらいの簡単な調理工程ですし、クレープには焼いた後にホイップクリームやフルーツなどで自分好みのトッピングをする楽しさがあります。自宅で過ごす日々が長期化するにあたって、このように「時間を楽しく過ごせるお菓子」というものが求められているのかもしれません。

2.初夏〜の家ごもりおやつ需要はゼリー系?

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これから夏に向けて気温が少しづつ上昇していくにつれて「お菓子」のニーズにも変化が生じてくるでしょう。「ゼリー」や「寒天」など、子どもと一緒に簡単に作れる冷たいお菓子が人気となるかもしれません。

下は2019年のゼリーと寒天のSI値グラフです。ゼリーの検索ピークは7月ですが、今年は5月頃から頻繁に検索される可能性も高いと思われます。

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キーワード分析でみてみると、既に「ゼリー」の検索は前年同週比よりも上がってきていますね。

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3.「ホットプレート」の検索が伸長
「簡単」との組み合わせ検索でメニューを探索

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下のグラフは「ホットプレート」の2018年から2020年の検索頻度です。2020年2月から急上昇しています。過去のホットプレート記事(https://foodclip.cookpad.com/1106/)でも紹介した通り、今やホットプレートは日常使いにシフトしています。

子どもと一緒に自宅で過ごす時間が増え、食事シーンに楽しさをプラスするために調理のライブ感が味わえる「ホットプレート」が求められているのかもしれません。

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下記のグラフは「ホットプレート×●●●」の組み合わせ分析です。「もんじゃ」の検索が3月から急上昇していて「ピザ」も微増傾向です。また特徴的なのは「簡単」との組み合わせが伸長している点です。特定のメニューは決まっていないものの、ホットプレートで簡単に作れるメニューを探していることがわかります。

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4.ファミリー層にも、単身者にも
全世代に愛される「餃子」

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下のグラフは2018年から2020年の「餃子」の検索頻度を示しています。季節を問わず一定して人気のある餃子ですが、2020年2月から伸長し続けています。餃子キーワードの検索頻度ランキングでは、餃子の皮やたねの検索も上がっています。

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どの年代が検索しているかについても調べてみたところ、20代から40代まで一定してリフトしていることがわかりました。

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餃子が全世代で愛されている背景としては、ひき肉やキャベツ、ニラなどの材料が比較的安価に揃えられること、冷凍保存ができること(今は大量に作り置きする時間的余裕がある)、大人も子どもも大好きなメニューであることなど、いくつもの理由が考えられます

20代の主に単身女性の場合は、オンライン飲み会などのシーンで餃子をおつまみに楽しんでいることが想像できます。30代以降のファミリー世代の場合は、子どもと一緒に餃子を包んでアクティビティとして楽しめる点も人気のようです。子どもを持つファミリー世代に愛されるホットプレートを活用して、親子で餃子を焼くという調理行動も想像することができます。

5.「春」の検索が伸長
食で季節を感じたい、新しい意識の芽生え

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以下のグラフでもわかる通り、「春」というキーワードを検索する頻度が増えています。花見イベントなどが大幅に制限された今、食で春らしさを感じたいという意識から調べているのかもしれません。

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「春」の組み合わせ分析を見てみると面白い結果が出てきました。2019年までは「お弁当」でしたが、2020年は「節約」が突如組み合わせランキング1位に。次いで「炊き込みご飯」や「パスタ」となっていました。花見自粛や新学期再開の遅れでお弁当を作る機会は減り、自宅での食事頻度が増えたことで、節約を意識しながらも春らしい献立を楽しみたいという気持ちがうかがえます。

今後、夏や秋などの季節名はもちろん、シーズンイベント(催事)でも高検索が予想されます。母の日や父の日のイベントを自宅で家族で楽しむために「何かを作ってお祝いしよう」とする検索行動が高まるのではないでしょうか。

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6.「旬野菜」に大きな影響なし
春キャベツや新たまねぎは例年通りの検索

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これまでに例のない外出自粛という事態を受けて、旬の生鮮食品の検索傾向には何か変化が生じているのかを調べてみました。

「春キャベツ」の2018年から2020年の検索頻度です。グラフが示している通り、従来の波形をみせていて、この状態は今後の旬食材でも同様のことが言えるのではないでしょうか。

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下記は「新たまねぎ」の2018年から2020年の検索頻度です。こちらも大きな環境要因による変化ではなく、店頭価格などの要因による検索傾向と考えられそうです。

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7.「ピザクラフト」や「パン」の検索が伸長
時間がかかる本格料理にチャレンジか

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2020年2月以降「パン」や「ピザクラフト(ピザ生地)」の検索も伸びています。下記の図が「パン」の検索頻度ですが、2月から急上昇しています。

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続いて、「ピザクラフト」の検索頻度です。検索規模は小さいものの急上昇しています。せっかく家ごもりするのだから、おいしいピザやパンを作りたいと考えるお料理上級者も出現しているようですね。

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強力粉や小麦粉の検索頻度も上昇していて「強力粉×パン」「小麦粉×お菓子」などで検索されているようです。

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8.じっくり煮込む「角煮」や
「チャーシュー」が上昇

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以前より自宅で過ごす時間が増えた今、時間がかかる煮込み料理にトライしたい。そう考えている人が増えているのかもしれません。外出自粛となった頃から「角煮」や「チャーシュー」「スパイスカレー」などの検索も上昇しています。

下図は「角煮」の2018年から2020年の検索頻度です。

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続いて、「チャーシュー」の2018年から2020年の検索頻度です。

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9.「下味冷凍」も継続的な人気キーワード
買い出し食材の有効活用&増える調理機会の対策に

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2019年食トレンド大賞を受賞した「下味冷凍」が、今もなお注目されています。その背景には、まとめ買いによる食材在庫の確保と調理機会の増加が考えられます。

先ず「下味冷凍」の2019年から2020年の月別検索頻度をみてみると、2020年2月から上昇しています。

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下図は「下味冷凍×●●●」で、調味料と組み合わせた検索です。味噌や酢とのマッチ度が上がっていました。「下味冷凍のレシピにチャレンジしたいけど、どんな調味料を使えばいいのかわからない‥」そんな生活者もまだまだ多くいるはずなので、レシピ提案などに良いかもしれません。

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いかがでしたでしょうか?
これまでに経験したことのない状況下であっても「食を通じて今の暮らしを楽しみたい」という生活者の気持ちが伝わってくる検索傾向でした。今後長期化していく場合は、「自粛太り」などを意識したキーワードの伸長なども予想されます。検索傾向はまた随時ご紹介していきたいと思います。