海藻が欧米の健康トレンドに 「シーモス」「ダルス」って何?

海藻が欧米の健康トレンドに 「シーモス」「ダルス」って何?

昆布やわかめなどの海藻といえば、日本人にとっては古くからなじみ深い食材です。それが今欧米では、健康や美容効果の高いスーパーフードとして大注目されているそう。その理由や、今後の予測について探っていきます。

スーパーフードとして海藻に脚光

欧米では和食ブームも手伝って近年海藻の認知が広がっていましたが、スーパーフードとして注目されるようになったのは2020年頃から。海外セレブのキム・カーダシアンがInstagramで「シーモス(Sea moss:紅藻類の総称)」を紹介したことから、一気に拡散されました。アメリカのスーパーマーケット・ホールフーズが発表した2023年の食品トレンド予測では6位に昆布が、アメリカのレシピ雑誌「Eating Well」の2023年食トレンド予測では5位に「Sea Plants(海藻)」がランクインしています。

▶︎[ホールフーズ2023]食のトレンド予測 トップ10:https://foodclip.cookpad.com/15187/
▶︎[アメリカの食トレンド予測2023]レシピ雑誌「Eating Well」が2023年の食トレンドを分析:https://foodclip.cookpad.com/15848/

  

欧米での海藻人気、その背景は?

海藻が欧米でここまで注目されている理由は一体何でしょうか。具体的にご紹介します。

①健康・美容効果の高さ

海藻は日常生活で不足しがちな食物繊維やミネラル、ビタミン類が豊富で、ダイエットや美容効果が高い食材。特にミネラル分の一つで、代謝や成長促進効果が期待される「ヨード」が豊富ですが、元々海藻を食べる習慣がない欧米では不足しがちな栄養素のため、日常的に摂取できる食材として知られるようになりました。

②サスティナブル食材として注目

海藻は海の中で育つため、食肉と比べて飼料や水が不要で成長が早く、二酸化炭素をとりこみ光合成で成長することから、環境にやさしい食材として注目が集まっています。また、海中の二酸化炭素を消費することでサンゴなど海中生物を守っていることからも、サスティナブル食材であると言えそうです。

③ヴィーガン食としてのニーズも

現在ベジタリアンやヴィーガンなどの菜食人口は増加傾向のようですが、海藻はヴィーガン食にも使用可能。そのままサラダや料理に使うだけでなく、ペースト状にしてドリンクやゼリーに使うなど、幅広く料理に使えることから受け入れられるようになりました。またタンパク質の含有量が高いため、世界では海藻を使ったプラントベースミート(代替肉)の開発も進んでいるようです。

日本ではなじみのない“New Face海藻”

日本でおなじみの海藻といえば海苔、昆布、わかめ、ひじきなどですが、欧米で注目されている海藻の中には日本で聞き慣れないものも。キム・カーダシアンが注目している「シーモス」のほか、同じく海外セレブをきっかけに認知が広まった「ダルス」について、詳しくご紹介します。

シーモスはジェル状のものが一般的

「シー(Sea)」は海、「モス(moss)」は苔の意味で、シーモスは世界中の海域に生息する紅藻類の総称。日本では天草やオゴノリが該当します。欧米ではシーモスをペースト状にした「シーモスジェル」が瓶入りで販売されており、最近では味つきのものも登場して種類が増え、身近になりつつあります。スムージーやゼリーに混ぜたり、サラダのドレッシングや料理のとろみづけに使って食べることが多いようです。

16426_image01.jpg
ダルスはシャキシャキ食感がおいしい「海のパセリ」

ダルスは海苔と同じ紅藻類の一種で、紅紫の色合いとシャキシャキした食感が特徴。アイルランドやカナダでは「海のパセリ」と呼ばれ昔から重宝されていましたが、ここ5年ほどで欧米の女優やモデルが積極的に取り入れていることが拡散され、広く知られるようになりました。サラダやスープのトッピングにするほか、焼くとベーコンに似た味わいになることから、サンドイッチの具などに使われることもあるそうです。

16426_image02.jpg
クックパッドにも「ダルス」のレシピが

海外で人気の「シーモス」や「ダルス」ですが、クックパッドのレシピ数はまだわずか。「ダルス」は炒め物やご飯・麺料理の投稿レシピがあり、汎用性の高い食材なので、今後国内の認知度が高まればさらにレシピが増えるかもしれません。

ほうれん草とダルスのピリ辛そぼろ炒め by -KURUMI- さん
https://cookpad.com/recipe/4031470

recipe

30分ベジタリアン・クリームスープスパ by だらけシェフ さん
https://cookpad.com/recipe/446823

recipe

海藻スイーツや海藻ワインも登場

普段のおかず以外にも、海藻を活用する動きが出てきています。例えば、伊勢丹新宿店で2023年1月に行われた催し「サロン・デュ・ショコラ2023」では、青のりを使ったチョコレートケーキなどのスイーツや、海藻を発酵させて作ったノンアルコール飲料「海のワイン」が登場しました。また欧米のオーガニック専門店では、海藻や海苔を使ったスナックが人気に。スイーツやスナックなどに海藻が使われることで、健康意識の高い人だけでなくさまざまな立場の人に身近な存在となっていきそうです。

国内の海藻市場拡大に期待

日本国内では若者が海藻を食べなくなってきている、とも言われているようですが、欧米では今注目を浴びている食材。これまで日本人が慣れ親しんできた海藻料理が、もしかしたら将来欧米で人気を集めるかもしれません。

また、日本では和食やサラダなどに使うイメージが強い海藻ですが、欧米でのブームをきっかけに新しい食べ方・飲み方が逆輸入されて、トレンドになる可能性も秘めています。海藻を食べてきた歴史が長い日本で、海藻ブームが市場拡大につながることも期待できそうです。



この記事が気に入ったらフォロー

ニュースレター登録で最新情報をお届けします!





著者情報

著者アイコン
FoodClip
「食マーケティングの解像度をあげる」をコンセプトに、市場の動向やトレンドを発信する専門メディア。
月2-5回配信されるニュースレターにぜひご登録ください。 
登録はこちら>>> https://foodclip.cookpad.com/newsletter/
twitter : https://twitter.com/foodclip