食のIT革命? ”完全食”の基礎知識から話題ブランド紹介

食のIT革命? ”完全食”の基礎知識から話題ブランド紹介

2013年にアメリカのシリコンバレーで初めて開発された「完全食」をご存知でしょうか?
完全食とは、人が健康を維持するために必要な栄養素を全て含んだ食品のことを指します。

初の完全食は「ソイレント」という商品で、パウダー状のものでした。このパウダーにはあらゆる栄養素が含まれており、これを水に溶かして飲むことで肉や野菜を食べなくても健康的な生活を送れるという食品で、非常に大きな注目を集めました。現在、日本でも完全食の開発や研究が進められており、独自の商品が登場しています。この記事では国内で販売されている購入可能な完全食を紹介したいと思います。

はじめに、完全食とは何か?

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完全食とは、わかりやすく説明すると「人が活動を維持するための栄養を全て満たすことができる食べもの」です。もちろん、自然界にはこうした食べものはありません。最新のテクノロジーがそれを実現したのです。

例えば、栄養補助食品やサプリメントは普段意識しないと摂取できない栄養を補うためのものですが、完全食はそれだけを毎日食べていても問題ないものです。

日本においては、厚生労働省が制定した「日本人の食事摂取基準」に定められている、必須栄養素を過不足なく補える食事を完全食と呼びます。1日3食を食べることを標準と考え、完全食1食分はこの1日分の必須栄養素を1/3以上を満たすように設計されています。

この完全食の市場規模は2045年には145億円にも成長するという予測もあり、非常に注目されています。(参考:https://www.fnn.jp/articles/-/18633

食のIT革命と呼ばれる背景

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食習慣が健康に大きな影響がある、というのは常識的に知られていることですが、栄養バランスが考えられた食事をいつも食べるというのは、現代において非常に高い壁となっています。

時間、食材、調理方法、栄養知識、費用などを考えるとそれが実践できているのは日本では学校の給食くらいかもしれません。学校の給食は、栄養士が献立や栄養バランス、コストを考えて調理されるものです。これを自身で実践するのは、あまり現実的ではありません。

そうした現代に救世主のごとく誕生したのが完全食です。完全食は栄養の知識を必要とせず、時短で全ての栄養を摂取することができます。これらの衝撃は非常に大きく、今後の「食」の在り方を変える可能性もあるのです。

最近では「フードテック」という言葉も聞かれるようになりました。「フード」と「テクノロジー」という言葉を掛け合わせた造語ですが、完全食は代用ミートや昆虫食などとともに「フードテック」を代表する食べものとして取り上げられることが増えてきました。

完全食の可能性、メリットは何か?

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では、改めて完全食のメリットを考えてみたいと思います。国内で発売されているどの完全食でも、非常に手間がかからずにバランスよく栄養を摂取できるというのが最大の特徴です。現代人にとって特に惹かれるキーワードは「時短」と「健康」であると思われます。

これまで、両者を同時に実現するものとしてサプリメントがありました。しかし、そのサプリメントを摂取するには「どの栄養素が自分の体に必要なのか?」という利用知識が必要でした。

完全食はその食品だけで全ての栄養素をバランスよく摂取することができるため、「栄養に関する知識を必要としない」という点が最大のメリットかもしれません。

完全食は、現代人がこれまで費やしてきた料理や費用、時間を削減できるだけでなく、フードロスや食料の再分配、飢餓や栄養不足といった世界が抱える食料問題を解決できる可能性もあります。

また、新型コロナウィルスにより世界的な自粛ムードが漂う現在、人と接触せずに栄養バランスの良い食品を届けてくれる完全食は非常に貴重な存在です。特に休校措置や在宅ワークといった状況化において栄養バランスの整った食品として活用されているようで、どのメーカーも軒並み売上を伸ばしているようです。

完全食は今のところ、公式ホームページなどからオンラインによる購入しかできませんが、やがてスーパーやコンビニなどで購入できるようにもなることでしょう。

国内の完全食ブランド3つ

1.COMP

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COMPは2016年に日本で初めて発売された完全食です。現在では、パウダー、グミ、ドリンクタイプの完全食を発売しており、忙しいエンジニアやプログラマーなどに人気があります。

日本人向けの商品ということもあり、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に準拠して設計されていて、ビタミン、ミネラル、食物繊維、タンパク質、炭水化物など、人が1日に必要とする栄養素を全て配合しています。

眠くならないように血糖値が制御されるように開発工夫されており、食事をする暇がない現代の日本人の栄養をサポートしています。新商品としてチョコレート味の「COMP BLOCK」というスナックバーも発売予定で、こちらも非常に楽しみです。


2.BASE FOOD®

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ベンチャー企業であるベースフード株式会社から2017年2月に発売されたのが、「BASE PASTA®」です。主食タイプの完全食であり「栄養のインフラ」として日常的に完全食を取り入れることで健康になることを目的として開発されました。

主食の歴史は非常に長いものですが、その栄養価はこれまでほとんど変化していませんでした。現代のテクノロジーによって、全ての栄養を含む主食が誕生したのです。
下記の図は、BASE FOOD®の1食あたりに含まれる各栄養素と推奨摂取量との比較です。

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さらに2019年3月には、業界初となるパンの完全食「BASE BREAD®」がリリースされました。開封すればそのまま食べられるBASE BREAD®は、常温保存もできるということから、完全食の可能性を広げる商品となりました。さらに2020年5月にはチョコレート味のBASE BREAD®が発売予定です。


3.日清食品

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ベンチャー企業のCOMPとBASE FOOD®が日本の完全食の市場を確保しようと奮起する中、大きな潮流が発生しました。あのカップヌードルでお馴染みの日清食品株式会社が完全食を開発し、発売することになったのです。

All-in PASTA(オールインパスタ)は「この1食で、全ての栄養、全部どり。」というキャッチコピーのもと、2019年3月に発売されました。

All-in PASTA(オールインパスタ)に続き、All-in NOODLES(オールインヌードル)が発売され、完全食カップ麺という新しいジャンルが開拓されたのです。これまでカップ麺というと健康には良くないものという印象がありましたが、それを払拭したのがこの商品でした。

大手企業である日清食品の参入は、国内完全食業界に非常に大きなインパクトがあり群雄割拠の時代が訪れました。それと同時に、これからの時代には「時短」で「健康」というものの価値が、現代人にとっていかに大きいかということを改めて認識する契機となったのです。

新しい完全食

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前述した商品だけでなく、完全食の研究や開発は日本のスタートアップ企業などでもおこなわれています。

例えば、株式会社マージェリックが販売している「もがな栄養レトルトカレー」(https://www.rakuten.ne.jp/gold/kuroko/)や、SAICOOL株式会社が販売しているスープタイプの完全食「新栄養スープ REAT(リイト)」(https://reat.jp/)、医学生たちが開発した完全栄養チョコレート「andew」(https://readyfor.jp/projects/27973)なども非常に注目されています。

こうしたスタートアップ企業が新しい切り口で完全食に参入する背景や、その過程も様々です。今後はより美味しく食べやすい完全食も次々と生まれてくることでしょう。
今回、初めて完全食を知った人もぜひ自身の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?





著者情報

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完全食とは何か?@編集者
完全食の素晴らしさを発信するために「完全食とは何か?」
http://完全食.life )というサイトを運営。結婚後も主夫として料理の腕を磨く一方、1日1食は健康のために完全食を食べている。