「サッポロ一番」レシピ開発で売上UP、勝因は潜在ニーズ

ニッポンの国民食とも言える「サッポロ一番」。誕生から半世紀を過ぎた今もなお、売上No.1(※2020年6月)を誇る袋麺です。そんな「サッポロ一番」が苦戦するのは夏シーズン。暑い季節に熱々の袋麺を味わってもらうには?

クックパッドの広告ディレクター遠藤が、レシピアイデアからCM・店頭プロモーションを動かした事例を紹介しながら、サンヨー食品の福井様に詳しい話を聞きました。

サンヨー食品株式会社
マーケティング本部 広報宣伝部 部長
福井 尚基様


クックパッド株式会社
マーケティング企画制作部
遠藤 いく
クックパッドの広告ディレクター8年目。前職は食品メーカーで約8年販促を担当。
販促企画、レシピ開発、POP制作、売場づくり、POS分析等を経験。

「サッポロ一番」のレシピプラットフォームが
クックパッドに誕生した背景

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「サッポロ一番」の袋麺商品


遠藤:はじめに、「サッポロ一番」がクックパッドに広告出稿されるに至った背景を教えてください。

福井:背景は大きく2つあります。1つはデジタルプロモーションにも注力していこうという点です。数あるデジタル施策の中で、クックパッドの施策に投資しようと決めた背景は「商品とクックパッドのマッチングの高さ」です。

当社で実施している商品購入者アンケートを見ると、多くの方がネギや卵などをトッピングして召し上がっているんです。クックパッドには、そんな簡単で実用的なアレンジレシピがたくさん掲載されていますから、購買者特徴にフィットしているなと思いました。

遠藤:クックパッドの場合、調味料メーカーなどレシピ必須の商品が多い特徴があるので、そのまま調理して喫食できるインスタントラーメンのご依頼は少し珍しいなと思いましたが、そういう背景があったんですね。

2015年にご相談をいただき、それから継続して掲載している「サッポロ一番」のレシピプラットフォーム「めんパラ(https://cookpad.com/pr/tieup/index/1468)」は、メーカー発信のレシピよりも自由な発想でつくられるユーザーレシピをページ冒頭で紹介しています。

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福井:クックパッドのユーザーさんのレシピは本当に素晴らしく、いつも驚かされます。

遠藤:本当ですね、ユーザーさんはみんな「サッポロ一番」がほんとに好きなんだなと思います。レシピを通じてこんな楽しみ方があったんだ!という驚きやワクワクを紹介しながら、インスタントラーメン自体を盛り上げたいという想いのもと制作しています。

「めんパラ」は2020年で実施6年目となり、多くの方に愛されるビックコンテンツに成長しました。そんな「めんパラ」のレシピが、「サッポロ一番」の難題を解決できた事例がありましたよね、そのあたりをぜひお話させてください。

袋麺の売上が落ち込む”夏”
主婦インサイトで突破できるか


遠藤:「めんパラ」のこれまでの取り組みの中で、最も印象的なのは「冷やしのアレンジレシピ」考案ですよね。

福井:そうですね、施策背景をお伝えすると、夏は袋麺全般の需要が3割ほど低下します。暑い日に熱々のラーメンを食べる人はもちろん少ないですよね(笑)。ずっとそこに課題を感じていました。

遠藤:福井さんから夏の課題を聞き、ピンとくるものがありました。夏の検索傾向と言えば「夏休み中のランチ課題」。ユーザーの主婦たちは朝ごはんと晩ごはんだけでも大変なのに、夏休み中はランチも作らないといけない。長期休みの場合、メニューもマンネリ化しやすいので、クックパッドでレシピを検索されるんです。「サッポロ一番」もまた、土曜のランチの定番メニューですよね。そのため夏にぴったりのランチレシピを開発できれば喜ばれるんじゃないかと思いました。

「ランチ」 のキーワード年間比較分析

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福井:「夏にランチの検索が伸びる」というのは全く知りませんでしたから、目からウロコで驚きました。

遠藤:問題は夏に「サッポロ一番」をどのように食べてもらうか。そこで「冷やし」という食べ方をピックアップさせていただきました。麺はそのまま茹でて、粉末スープは水などで溶いて召し上がっていただくスタイルです。社内でも試作してみて、これはいける!となりました。

「サッポロ一番」をランチ難民のママたちへ提案
暑さを感じにくい冷やし麺レシピで勝負


福井:遠藤さんからの提案はとても面白かったので、ぜひと施策を実施しました。デジタル施策の良さは動きやすいところだなと思っていたので、不安もありましたがGOしました。

遠藤:「めんパラ」の他に、クックパッドではレシピコンテスト(https://cookpad.com/pr/contest/index/623)を実施しました。アレンジ幅を広げて、色々な選択肢をユーザーさんへお届けしたかったので、レシピを集めていくタイアップ施策を選びました。

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福井:ユーザーさんからの反応は非常によかったですよね。普段はやらない「まさか」と思うような食べ方に興味を掻き立てられたのかなと思います。夏のランチのニーズを掘り起こしてもらったことで売上にもつながりました。

遠藤:タイアップでは、熱々ではない汁なしラーメンや、スープが冷やしてあるラーメンのアレンジレシピを紹介し、誘導テキストは「夏休みに!」「夏冷やしランチ」など、夏休みランチを想起させるキーフレーズを意識的に使いました。

結果として、夏シーズンのタイアップ企画PVが通年で一番高い、という結果になりまして、私達も大変驚きました。やはり前提として生活者インサイトにむけたレシピというソリューションを提示できたことで、ページ誘引がしやすかったのだと思います。


福井:社内でも大変話題になりました。

遠藤:ユーザーさんからは「簡単に短時間で出来るのが夏休み中のお昼にちょうど良い」とか「袋麺で冷やしアレンジが出来るなんてビックリ!」「この暑い夏に絶対、試してみたい」といった声が届き、夏休みランチの課題を解決したレシピ提案ができました。

冷やしレシピがテレビCMにも起用!
継続実施で「夏も売れる」商品に


福井:クックパッドでの冷やし施策の反応がよかったので、翌年からは夏にテレビCMでも冷やし訴求をするなど、会社全体の取り組みになりました。

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また、メーカー発信の情報として「粉末スープが水で溶けること」や「麺は通常よりも1分長く茹でること」などの冷やしレシピならではの情報も提供しました。

サンヨー食品では毎年、秋に大陳(ディスプレイ)コンテストを実施しているのですが、昨年は初めて夏に冷やし企画で実施し、今では夏の風物詩のような欠かせない企画に成長してくれました。

遠藤:この夏の施策を毎年実施していただくことによって、クックパッドの検索行動にも変化が見られるようになりました。まず、課題だった「夏」に商品名が検索されるようになりました。袋麺が最も喫食される秋や冬は、各家庭のアレンジ術で召し上がるのか、わざわざ検索しないのかもしれませんが、こうやって夏に山を作れたことはとても嬉しいです。

福井:期待以上の成果ですね(笑)。

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遠藤:また組み合わせ分析※でも変化が見られます。「冷やし」というキーワードとの組み合わせ単語で「サッポロ一番」や「インスタントラーメン」「サッポロ一番塩味」が、施策実施後の2016年から急上昇しています。

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福井:これまで夏は売れない、というのが社内通説でありましたが、レシピを通じて生活者ニーズとマッチングすることができたため、受け入れられたのだと思います。実際に2018年は増収増益で、弊社の決算でも、「夏は冷やしてサッポロ一番!」キャンペーンが貢献した旨を報告させていただきました。

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参照:日本食糧新聞(2018/07/06)


遠藤:「サッポロ一番」のお取り組みでは、今も様々なチャレンジをされてますよね。晩ごはんシーンで食べてもらうレシピや、スープを「サッポロ一番」の粉末で作って、シメに麺を入れて食べる鍋レシピなど。

福井:そうですね、まだまだインスタントラーメンは、届けられる価値があると思っています。最近はリモートワークも加速化していて、男性も自宅でランチを食べるライフスタイルに変化しつつありますしね。

遠藤:はい、ぜひ今後も様々なチャレンジをご一緒させてください。

福井:ぜひ宜しくお願いします。


text support: miho bessho





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