
生鮮
梅雨時期のだるさから解放される、薬膳的除湿のすすめ
身体には良さそうだけど、なんだか難しそうなイメージの強い薬膳。
実は、基本的な考え方に沿って身近にある食材を取り入れながら、食事のバランスを整えるだけでもいいんです。忙しいビジネスマンにこそ知ってほしい薬膳のポイントを解りやすくご紹介。
今回は梅雨時期の不調対策です!
前回紹介した春のセルフケア薬膳はこちら:https://foodclip.cookpad.com/1871/
ちょい足しですっきり、薬膳の除湿効果
一年の中で最も不快指数が高まる梅雨。空はどんよりしているし、髪や服はまとわりつくし、室内で過ごしてもなんだか気分が晴れないなど、快適とはほど遠い季節ですよね。手のひらや足の裏、手足の指などに、かゆみを伴う小さな水ぶくれができてしまう方もいるのではないでしょうか。また雨の日は肌寒いのに、晴れた日には日差しが強くなり、気温差が激しく体調を整えるのが難しい季節でもあります。
そこで、ぜひ活用いただきたいのが薬膳です! 薬膳は、日本と同じように長雨のある中国で生まれた考え方なので、この季節にもぴったりなのです。普段の食事や間食に薬膳の考え方をぜひ取り入れてみてください。
その不調、湿度のせいかもしれません
体が重くてやる気が出ない、おなかを下しやすい、頭痛で雨雲が近づいているのがわかる、むくみが気になる、小さな不調や不安がどんどん出てくるこの季節…、気分も体調も優れないという方は体の中の除湿を意識しましょう。
なぜ除湿が必要かというと、薬膳では体の中の余分な水分が、心身の不調を引き起こすと考えるからです。梅雨時は体内の水分代謝や消化吸収、思考を司る「脾(ひ)」が活躍する季節なのですが、「脾」は湿度の影響を受けるとその機能がダウンしてしまいます。「脾」が弱ると体のキレがなくなって、なんだかだるい日が続いたり、気分が落ち込んで些細なことを気に病んだり、思考がまとまらなくなったりと、心身ともに梅雨空のようにどんより重くなっていきます。同時に消化吸収の機能も低下するので、いつもより食欲がわかない、食後すぐにおなかを下してしまうといった症状も出やすくなります。
この季節は、食べる気はしないけれど、とにかくカロリーを取らなくちゃ!と冷たい麺類や冷えた飲み物につい手が伸びる季節でもありますが、残念ながらその食べ方は水分代謝を自ら鈍くするようなもので、「脾」に追い打ちをかけてしまいます。あんまり飲みたくないけど体に良さそうだからと、水分を頑張って摂っている方も要注意です。ただでさえ体の外側から水分がたっぷり供給される梅雨時ですから、そこでさらに水分を取ると「脾」がキャパオーバーを起こし、体内が水浸しになってしまうのです。水分補給はもちろん大切ですが、多すぎても少なすぎても体調不良につながります。何事もバランスをとること、これが薬膳の基本です。
また「脾」は「胃」とも関連が深いため、梅雨時の不調をそのままにしておくと共倒れしてしまいます。「脾」も「胃」も弱った状態で梅雨明けを迎えると、夏バテまっしぐらという状態をまねいてしまうことになります。梅雨のジメジメを乗り越え楽しい夏を迎えるためにも、今のうちに「脾」をしっかりケアしておきましょう!
ちょい足しするだけ、梅雨の薬膳
一番簡単な薬膳は、旬のものを取り入れることです。自炊派も外食派も、季節のおすすめに注目してください。梅雨時に旬を迎える食材は、体内の水捌け改善の強い味方なのです。
この時期に頑張る「脾」を助けてくれるイチオシは、「枝豆」と「そら豆」。どちらも余分な水分を外に出すはたらきが強く、体内の水捌け力のアップに役立ちます。お酒のお供としても優秀ですね。豆類から派生して「もやし」や「豆苗」にも同様の効果が期待できます。タンパク質を取りたい方は「スズキ」などの白身魚を。消化のよい白身魚は「脾」をパワーアップさせ、水分代謝を活発にしてくれます。魚の気分じゃないなという日は、副菜に「かまぼこ」や「ちくわ」が入った一品をどうぞ。影も形もなくなっていますが、練り物の主な原材料は白身魚ですよね。また、どうにも頭がスッキリしない時は「青じそ」や「三つ葉」、好き嫌いは分かれますが「パクチー」など香りの強い薬味を添えてください。スーッとした香りが湿気を払い、思考のキレを取り戻してくれます。
そして、薬膳の効果を倍増させるとっておきの方法もお伝えします。それは、調理法を意識することです。この時期の揚げ物はできれば避けたいところです。揚げ物は消化吸収されにくく、体内に「湿熱」と呼ばれる水と熱がくっつきあったドロドロとしたものを溜めてしまい、気や血の流れを阻害してしまうからです。煮る・蒸すなどヘルシーなメニューを温かい状態でいただきましょう。これらの食材や調理方法は、和食やアジアン料理で取り入れることができますね。
梅雨に食べたい食材たち
梅雨に頑張る「脾」のはたらきを助けてくれる食材をご紹介します。
今日は何を食べようかなという時にぜひご活用ください。
【野菜編】
脾:枝豆、そら豆、グリーンピースなどの豆類、海藻類、イモ類、冬瓜、きゅうり、アスパラガス
【肉・魚介類編】
脾:あさり、スズキ、アジ、ハモ、鶏肉
【果物編】
脾:スイカ、サクランボ
【ドリンク編】
トウモロコシ茶、ハトムギ茶、あずき茶
薬膳って簡単!
スーパーやコンビニで買える身近な食材、それぞれが薬膳パワーを秘めています。だから特別な食材を用意しなくても大丈夫です!忙しい毎日で食事まで気が回らないというあなたでも、少し選ぶ工夫をするだけで薬膳パワーを取り入れることができます。冷蔵庫の余りものも、組み合わせ次第で立派な薬膳になります。行きつけのお店で自分にぴったりな食材が入ったメニューを選ぶことも、薬膳と言えるでしょう。気負わず、いつもの生活の中で出来ることから始めてみませんか。薬膳パワーであなたの毎日が少しでも快適になりますように。
著者情報

- Biz薬膳アドバイザー 安藤穂奈実
- 「食で人生を切り開く」をモットーに、Biz薬膳アドバイザーとして活動中。
ビジネスマンに向けて仕事で成果を出すための簡単に取り入れられる薬膳を伝える他、マンツーマンの食生活サポートも。