[スーパーマーケット偏愛日誌]ライフ編

[スーパーマーケット偏愛日誌]ライフ編

自他共に認める「スーパーマーケットオタク」の谷尻純子さんによる新連載!
初回となる今回は、全国で広範囲に展開されている「ライフ」の特集です。
読んだら訪問せずにはいられない、スーパーマーケット偏愛情報をぜひご堪能ください。

スーパーマーケットマニアです!

はじめまして!スーパーマーケットが大好きで、日夜研究し続けている谷尻純子と申します。

さて私、SNSやインターネット、そのほかメディアで「スーパーマーケット」の文字を見つけると、もう目がキラキラ。気になったスーパーには全国どこであろうと自費で足を運び、アドレナリンを大放出させながらそのスーパーの魅力を満喫しています。

最近は、都道府県をまたぐ外出を控えなくてはいけなかったので、SNSでチェックしたり、そのスーパーの名品をお取り寄せしたりしながらスーパー欲を満たす日々。いつかまた、何も気にせず各地のスーパーへ行ける日が来ることを願うばかりです。

ところで皆さん、ひとくちに「スーパーマーケット」と言っても、その特徴がさまざまであることをご存じでしょうか? 以前から疑問だったのですが、多くの人は海外旅行では現地のスーパーでお土産を買うのに、国内旅行ではその土地のスーパーに立ち寄りません。もしかして、国内のスーパーってどこも同じと思っている人が多いのでは…? でも、そんなことはないのです。

地方のローカルスーパーには、郷土料理のお惣菜やその土地でしか出回っていない老舗メーカーの商品をたくさん発見できるし、また首都圏のスーパーであってもその個性はさまざま。Amazonなどのネットショッピングやドラッグストアでも生鮮食品や日配食品が買えてしまう今、スーパーはそれぞれ独自の魅力を磨いていくことに余念がありません。

前置きが長くなりましたが、そんなわけでこの連載では、スーパーマーケットマニアであり専門家としてもお仕事をいただいている私が、偏愛的視点で各スーパーの個性をお伝えしてまいります。少々熱が入りすぎるかもしれませんが、ぜひお付き合いくださいませ。

第1回:ライフ、それはPBの宝庫

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提供:ライフコーポレーション


皆さんがお住まいの地域に、スーパーマーケット「ライフ」は存在するでしょうか?

ええ、そうです。そのライフです。ライフは首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)および近畿圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)と、比較的広範囲に店舗を展開しているスーパーなので、ご存じの方も多いかもしれません。

ライフといえば最近では、新型コロナウイルスの影響で学校への提供がストップしてしまった給食用牛乳を店頭で販売したり[*1]、また「店舗の衛生環境の維持」と「従業員の体と心のリフレッシュ」を目的として各店舗1日ずつ臨時店休日を設けたりと[*2]、食を守り、従業員を守り、お客さまを守る取り組みにも注目が集まりました。

そんなライフについてアレもコレも取り上げたいものの、文字数の都合上、今回はPB(プライベートブランド)商品にスポットを当てさせてください!

嗜好に合わせて選べる4ブランド。
多様性が魅力のライフPB商品

ライフのPBは「選べる多様性と絶妙なバランス感」が魅力です。というのも、実はライフのPBとひとくちに言っても、ブランドが4つあることをご存じでしょうか?4つそれぞれのブランド名とコンセプト、価格については以下のとおりです。

・スマイルライフ:安全・安心な品質、実感できるおいしさ、そしてお求めやすい価格にこだわって開発したPB。お手頃価格。

・ライフプレミアム:素材・製法にこだわった、おいしさを追求したPB。上質な味と素材で価格はスマイルライフよりは高め。

・ライフナチュラル:からだに優しい素材や製法、健康や自然志向にあわせたPB。価格はスマイルライフと同じ~やや高め。

・スターセレクト:ライフとヤオコーが共同開発したPB。お手頃価格。

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提供:ライフコーポレーション


このように複数のPBブランドが存在するライフでは、例えばPB食パンに「スマイルライフ」と「ライフプレミアム」の2種類が存在するといったこともあるのです。

また、首都圏と近畿圏でも展開される商品は異なります。これは各地域にお住いの方々の好みに合わせて、首都圏・近畿圏それぞれのバイヤーが商品開発をおこなっているからなのだそう。

ライフ首都圏の食品日配部 関口昌久部長におうかがいしたところ、「首都圏・近畿圏それぞれの地域性に合わせて展開している点と、お客さまのライフスタイルや多様なニーズにお応えして4つのブランドで販売していることで、ライフのPBが支持いただけていると感じている」とのことでした。

発売4カ月で10万パック突破!
爆売れカステラ

そんなライフのPBは、売上高に占める割合を見ても貢献度は明らかです。

一般社団法人全国スーパーマーケット協会が発行する「2019年 スーパーマーケット年次統計調査報告書[*3]」では、総売上高に占めるPB商品の売上高比率が全国平均9.9%であったのに対し、ライフでは食品部門の売上に占めるPB割合が約20%なのだそうです。

ライフは日用雑貨品も多く取り扱うため、総売上高に占めるPB商品の割合だと9.2%となりますが、スーパーの主戦場である食品の売上だけで見ると、その存在感には目を見張るものがあります。

PBの商品点数は、2020年2月末時点で約1,200点(食品日配部のもの)。中には発売4カ月で10万点を突破した「ライフプレミアム 至福のカステラ」などもあり、PBから「ライフの顔」となるような商品も誕生しています。

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「至福のカステラ」398円(税抜)


ちなみにこのカステラは、ライフの人気PB「ライフプレミアム 濃厚コクと旨味のおいしい赤たまご」と「ライフプレミアム 信州あづみ野おいしさ極だつはちみつヨーグルト」を使って開発されたもの。

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「濃厚コクと旨味のおいしい赤たまご」259円(税抜)
「信州あづみ野おいしさ極だつはちみつヨーグルト」169円(税抜)


これら2つはなんと、PBの売上ランキング1位と3位の商品です。(2020年5月末時点)自社の人気商品を使用して、さらに商品を開発する……。もうどう考えても、おいしくないわけがない!ですよね。

ほかにもPB売上ランキング2位には、2017年7月の発売から累計27万本を突破した「ライフプレミアム 北海道サロベツ豊富町厳選牛乳」がランクイン。「あの値段(※1L 239円)で高級牛乳と遜色ない」「手軽に買えて圧倒的においしい」などSNSでもかなり話題になっており、そのおいしさにハマってしまう人が多い大好評の商品です。

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「北海道サロベツ豊富町厳選牛乳(500ml)」145円(税抜)
※1Lタイプは239円(税抜)


このようにPBの中から人気商品が続々と登場しているライフでは、単純に価格の安さで生活者の興味を惹くのではなく、「ライフで買いたい商品」を生み出すことで来店動機を創り出し、他社との差別化に成功していると言えるでしょう。

PBによって個性を打ち出していくライフ

ところでスーパー側の視点で考えた際、PBにはいくつか果たすべき役割があります。先ずは粗利益の確保。流通コストなどがかからない分、自社で得られる利益が高いのです。またこれは生活者視点で考えた際、PBはコストを抑えられるため、価格以上に価値のある商品が購入できるとも言えます。

またその他に、企業ブランドの価値を高めるという役割も。これからのスーパーはナショナルブランドの商品を安く売って価格で勝負していても、苦しい状況が続くだけ。ほかに安いスーパーができれば、生活者はすぐにそっちへ心変わりしてしまいます。そのため、他のスーパーでは代替できない価値が重要。こうした理由でオリジナルのお惣菜やPBに力を入れているスーパーが多いのは、食にアンテナを張る皆さんはすでにご存じかもしれません。

SNSでバズって爆売れするなんて、今の時代では当たり前。おいしくて誰かにシェアしたくなる商品を自社だけが販売しているのは、紛れもなくそのスーパー独自の強みであり個性です。

正直に言うと、数年前まで私個人のライフに対する印象は「商品にも店舗にも全然悪いところはないし便利なお店だけど、スーパー界の優等生といった感じで、あまり個性は感じられない」といったものでした。(ライフさんごめんなさい‥!)

ですが、最近のライフは「優等生を極めてきているな」と感じています。お手頃価格の商品を買いたいときも、ちょっとイイものを買いたいときも、ライフへ行けば何でもある。冒頭で紹介した取り組み対策もしかりですが、企業・店舗としてのバランスがバツグンで、従業員・生活者ともに「心地よく買い物ができること」に対して、どこよりもしっかり取り組まれているスーパーといったイメージに変わってきています。

そして、PB強化によりバランス力が磨かれただけではなく「ライフじゃなきゃ、だめ」といった買い物も生まれました。前述の「信州あづみ野 おいしさ極だつはちみつヨーグルト」をはじめて食べたときの衝撃。クリーミーで甘酸っぱくておいしかった。また、PBとはちょっと違うものの、店内のベーカリー「小麦の郷」で販売している「手作りサーターアンダギー」を食べたときの感動。ザクザクした食感に夢中になりました。私自身今ではすっかりライフのPBに夢中になり、お目当ての商品買いたさにちょっと遠いライフまで出かけるなんてこともしばしばです。


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「サーターアンダギー」3個入り 198円(税抜)
※これめっちゃおいしいです!

 

お話をうかがった、ライフの関口部長さんは最後に「ライフのPBを食べておいしいと言ってもらえる、ナショナルブランド商品にも負けない商品にしていきたい。また、お客さまがライフのPBでなければダメという商品をつくっていきたいです」とおっしゃっていました。

もちろん、PB以外でも強みを磨かれているのだと思いますが、ライフの意気込みや個性はそのPBの展開の豊かさから強く感じられるのです。

ライフのPBから思うこと、
PBの売れ筋は二極化する!?

ここからは私の勝手な想像です。

もともとPBは低価格のナショナルブランドの代替品として市場に導入されました。当初はあまり品質が良くなかったこともあり「安かろう悪かろう」なイメージのPBでしたが、その後品質も向上し、また「セブンプレミアム」などリッチさを売りにするPBも市場へ参入。少しずつ「PB=安くてマズイ」といったイメージもなくなり、抵抗なくPBを手にする生活者が増えてきたように思います。

今ではライフのようにブランドを分け、コンセプトの違うPBを展開するスーパーも登場。高級・高品質路線のPBは、初期には「PBなのに高い」といった反応があったものの、今では「この価格でこのおいしさなら逆にコスパがいい!」といった見方に変わり、好評価を得ている商品も多数見られます。

外出制限は解かれたものの、まだしばらくは続きそうなお籠り需要。2020年はあちこちへ出かけることよりも、家で過ごすことに重きをおく人が増え、それに伴い中食需要も加速することでしょう。また、世界的に経済状況が不安定で国内ではボーナスカットなど収入減の傾向も。そんな中、今後のPBは「節約のためにとことん安いもの」と「ちょっとリッチでおいしいもの」に、どんどん二極化していくのではないかと予想しています。

ライフのPBは、まさにその二極化ニーズにしっかりフィット。今後の商品開発がますます楽しみです!

 

※店舗によって取り扱いのない商品があります。
※商品の表示価格は2020年7月取材時点のものです。価格が変更となる場合があります。

[*1] http://www.lifecorp.jp/vc-files/pdf/newsrelease/others/Re200313gyuunyu2.pdf
[*2] http://www.lifecorp.jp/vc-files/pdf/newsrelease/others/20200507rinjitenkyu3.pdf
[*3] http://www.super.or.jp/wp-content/uploads/2019/10/2019nenji-tokei.pdf





著者プロフィール

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谷尻純子
1986年生まれ。編集者としてはたらく傍ら、スーパーマーケットキュレーターとして小売りや食品の情報を集め、自身の運営するWEBサイトやSNS、各種メディアで発信している。スーパーマーケットに関するメディア出演、執筆、監修など多数。暮らしの道具と台所も大好物。
Twitter:https://twitter.com/gotouchisuper
ゴトウチスーパードットコム:https://gotouchisuper.com/