「イシイのミートボール」に学ぶ、次世代の組織作り

「イシイのミートボール」に学ぶ、次世代の組織作り

前回「イシイのミートボール」のデジタル施策についてご紹介した石井食品株式会社。
その先進的な組織作りや環境・地域への取り組みは、常に注目を集めています。
今回は、社内の組織作りやコロナ禍での変化、新しい取り組みなど、企業体制についてお話しをうかがいました。

前回記事はこちら:https://foodclip.cookpad.com/3533/

「SDGs」が国際社会共通の目標として掲げられ、ビジネスの現場でもよく耳にするようになりました。食品業界では「持続可能な食文化」を意識し、新たなブランド作りに取り組むメーカーが増えてきました。また、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、生産体制や働き方など組織の見直しが必要となっている企業も多いのではないでしょうか?これからのニューノーマルを築いていく上で、企業の組織文化にも時代に合わせた変化が求められています。

先進的でユニークな取り組みが異業種からも注目されている石井食品株式会社への取材では、これまでの組織体制や文化を大きく変えることなく、今の時代に合った新しいシステムやメソッドを取り入れることで、円滑でスピーディーなPDCAを実現している様子がみえてきました。

今回お話をうかがった方

石井食品株式会社
社長室 阿部 純哉様(以下省略)
マーケティング部 小原 尚敏様(以下省略)

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伝統の土壌の上で作りあげる
新たな組織文化

編集部:石井食品さんは社内のコミュニケーションツールに、食品企業でまだ導入の少ないSlackを活用されていたり、環境問題への取り組みとして、商品梱包素材を紙やプラスチックの代替である新素材「LIMEX(ライメックス)」へ切り替えを進められたりと、各種メディアでユニークな取り組みや組織作りが取り上げられていますよね。組織における基本的な考え方などを教えていただけますか?

阿部:石井食品は「価値を生み出すのは人である」と考えています。価値を生み出す人々の時間を最大限にするため、コミュニケーション向上や作業の効率化を目的に、PCの入れ替えや新しいシステムの導入を進めています。Slackでのコミュニケーションはかなり定着していますね。

小原:一番大きなポイントは石井智康社長が提唱している「アジャイル開発(※)」及びそれに合わせた組織作りが社内で取り組まれている点だと思います。「スクラム(※)」や「スプリント(※)」という言葉を、長年勤務している60代の従業員も含めて使っているくらい社内に浸透しており、それによって生産部門と販売部門の垣根もなく、うまくPDCAのサイクルを回せる環境が作られ、開発や分析のスピードを向上させています。


※アジャイル開発:システムを構築する際の仕組みを指すIT用語で、予め決められた一連の計画に沿って開発をおこなうのではなく、細かい単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていく手法。従来の方法よりもスピードや精度が上がる方法とされている。
※スクラム:ラグビー用語に由来する言葉で、開発を進める際に組織された小規模なチームのこと
※スプリント:開発をおこなう期間。及び開発した成果物を確認し、ユーザーフィードバックを受けること(スプリントレビュー)


編集部:それはすごいですね!そういった組織開発の考え方は、社長をはじめITコンサルの出身である方々や経験者の方が啓蒙することで定着していったんですか?

小原:元々、石井食品という会社には「仮説-検証-実施」の土壌があったことが非常に大きいと思います。昭和の頃から「仮説と検証を繰り返す」という考え方があり、テスト販売や試食販売によってお客様の声を集め、開発や生産部門にフィードバックするということをおこなっていました。そういった土壌に最新のメソッドが加わったことで今の状態が作られているのだと思います。

編集部:なるほど。食品業界であれば、そういった土壌をお持ちの企業もたくさんありそうですね。

コロナ禍での新たな取り組み

編集部:このコロナ禍で、何か新たに取り組んだことなどあれば教えていただけますか?

小原:オンライン会議の活用は進みましたね。先日は社内の全社朝礼をオンラインで実施しましたし、メディア向けにもオンラインでの商品発表会を開催しました。

編集部:確かにこの状況では、大人数を一箇所に集めて開催するのは難しいですもんね‥。内容について詳しくお聞かせいただけますか?

小原:今、注力している取り組みのひとつとして「地域と旬」という地方の食材を活かした商品開発をおこなっています。今回は、山梨と京都で地元の玉ねぎを使ったハンバーグがそれぞれ同時発売されるので、その商品発表会を複数拠点を繋いだオンラインの形式で開催しました。地元の生産者の方や各自治体の市長さんにも登場していただきました。

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事前送付したサンプル。食べながら聴講するスタイル

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実際の公演画面


編集部:生産者の声を直接届けられるのは素晴らしいですね。
配信において技術的な懸念もあったと思うのですが、どのように進めされたんですか?

小原:運営については、前職で生中継の業務経験のあるメンバーを中心におこないました。

編集部:なるほど‥!そのように異業種から転職される方々は多いんですか?

阿部:そうですね、近年さらに多くなっています。

編集部:オンライン商品発表会にも実際に参加させていただきましたが、内容に関しても「日本一、生産者と地域に貢献する食品会社になる」という石井食品さんの企業姿勢が表現された素晴らしい発表会でしたね。また、こうした生産者・地域社会・生活者を繋げる商品開発も、日頃からのお取り組みの賜物なのだろうと感じました。

今後のお取り組みも楽しみにしています!本日は貴重なお話ありがとうございました。





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