[蕎麦ワンダーランド]粋に楽しむ蕎麦屋の注文手引き

[蕎麦ワンダーランド]粋に楽しむ蕎麦屋の注文手引き

食や料理への「偏愛」を語ってもらうHolicClip。現役の蕎麦職人でもある「そば小僧」さんによる新連載コラムです。3回目となる今回は、蕎麦屋をおいしく楽しむためのポイントを解説していただきます。

前回の記事はこちら:https://foodclip.cookpad.com/3882/

蕎麦屋をおいしく楽しむポイント

皆さん、こんにちは。第3回目、そば小僧の登場です♪
そして早々に皆さんにご報告があります。小僧は更科堀井を8月で退職いたしました!
急なお知らせでごめんなさい!

元更科堀井のそば小僧になりましたが、連載コラムは続けていきますので、よろしくお願いいたします!小僧の今後はtwitterでそっと見守っていただけると嬉しいです。

さて今回は、「蕎麦屋の時間をより楽しむ」をテーマにお話したいと思います。蕎麦を気楽に、そして最高に楽しんでもらいたいので、蕎麦屋の利用ガイドを小僧なりにお伝えしたいと思います。では、まいりましょう!

蕎麦屋はフトコロが深いのです

4727_image01.jpg出典:室町 砂場 日本橋本店(ぐるなび)
https://r.gnavi.co.jp/g212300/


まず言いたいのは、どんな蕎麦屋でも気楽に入りましょう。小僧は老舗蕎麦屋で働いていたので、以前からよくこんな声を聞いていました。

・老舗の蕎麦屋って入りづらい…
・一人で行っても大丈夫なの?
・自分の蕎麦の食べ方が合っているのかわからない など

その気持ち、とてもよくわかります。蕎麦以外のジャンルでは、小僧もそういう気持ちになることが多々あります。しかし、こと蕎麦においては、その心配は必要ありません!なぜなら、蕎麦屋はフトコロが深〜いからです。ではフトコロが深いとはどういうことでしょう?いろんな目的用途に応える形態を持っていることだと小僧は思っています。

蕎麦は「江戸のファストフード」です。ですが「ファストフード」と言いながらも、蕎麦屋定番のおつまみでゆっくりとお酒を飲みながら「蕎麦前」を楽しんだり、宴席でのおもてなしにも利用できる「蕎麦会席」などもあり、蕎麦はさまざまな用途に応えてくれます。そして、冬でも夏でも、もり蕎麦でもかき揚げのようなボリュームのある蕎麦でも、その日の気分に合わせて楽しめますよね!

そうです、蕎麦屋は多目的なご要望に応えられるフトコロの深さをもっているんです。だから気楽に、そしてそれぞれの楽しみ方で味わってもらいたいのです。

蕎麦屋の注文には気をつけるべし!

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さて、ようやく今回の本題に移ります。そしてここが一番お伝えしたいポイントです!

“蕎麦とおつまみは分けて注文しましょう”

小僧が先生だったら、「ここテストに出ます!」と高らかに宣言するでしょう。わかっている人にはもう当たり前かもしれませんが、蕎麦屋では注文のコントロールがとても重要なのです。

なぜ重要なのか?先に結論からお話しますと、蕎麦とおつまみの同時提供が起こってしまうからです。わかりますでしょうか?改めてお話しますね。

ここではあえて、蕎麦だけを食べたい時や特別急いでいる場合は除きますが、お客さんがおつまみと蕎麦を同時に注文した場合、基本的にはおつまみが先にテーブルに運ばれてきて、蕎麦が後から出てきます。これはおそらく、どこの蕎麦屋さんでも当てはまることだと思います。

調理場ではおつまみを提供した後に、蕎麦を茹でます。はい、ここでストップです!さらっと言いましたが、実はここが大事なポイントです!おつまみが出てきた後に、蕎麦は茹でられてしまうのです。

つまり、おつまみを楽しんでいる間に、蕎麦が運ばれてきてしまうのです。これは悲しいことです…。蕎麦がのびてしまいますし、蕎麦に集中するとおつまみが楽しめません…。さらに、おつまみを食べ終える寸前であればよいのですが、ほぼ同時に出てきてしまうこともあるのです。
非常に悲しいですね…。しかし、これにはお店側にも理由があります。

蕎麦と玉子焼きの競争?

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小僧が所属していた更科堀井でも、気を付けてはいたものの、忙しい時にはおつまみと蕎麦が同時提供になってしまうことが多々ありました。お店側としてはスムーズに商品を提供する必要があるので、おつまみが出そうなタイミングで蕎麦を茹でてしまう場合があるのです。

特に更科堀井では、常時4種類の蕎麦を提供していましたが、茹でる釜は1つなので、蕎麦を入れるタイミングを間違えると、かなりお待たせしてしまうことになりかねません。ですので、小僧が玉子焼きを担当していた頃は、調理場でこんなやり取りも…。

社長「小僧くん!玉子焼けるかい!?」
小僧「はい、焼けます!」
社長「では、もり蕎麦〇〇人前を入れるよ!」

忙しい時には玉子焼きの焼き上がりと蕎麦の茹で上がりが競争になります。そうなると、お客さんへはほぼ同時の提供になってしまいます。そば小僧としてはどちらの理屈もわかるので、この問題を最もシンプルに解決する方法としてお伝えしたいのが、先ほどのこちら!

“蕎麦とおつまみは分けて注文しましょう”

おつまみが運ばれてきてから蕎麦を頼むことによって、茹でたての蕎麦を心置きなく食べることができます。注文の主導権を握れば、ゆったりとした気持ちで蕎麦の時間をより楽しめると思います。

蕎麦の種類に気をつけるべし!

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そして、メインの蕎麦を頼む時にはもう1つポイントがあります。特に複数人で蕎麦を食べに来た時に考慮したほうが良いポイントです。それは、注文する蕎麦の種類をなるべく絞ることです!

たとえば、複数人で食事をする時に、全員分の料理が運ばれるまで食べ始めずに待つような場面がよくありますよね。ですが、料理は出来たてが一番おいしいのと同じで、蕎麦も当然茹でたてが一番おいしいです。提供された蕎麦は時間が経つごとに、ほぐれなくなり食べづらく、味も落ちてしまいます。待っている方もストレスだと思いますが、かといって先に食べ始めると、後から運ばれてきた方は慌てて食べなくてはいけません。

これは蕎麦屋ではとても起こりやすいケースです。更科堀井を例にお話します。
先にお伝えの通り、更科堀井では蕎麦を4種類(もり蕎麦、更科そば、変わり蕎麦、太うち蕎麦)用意しています。例えば4人で来店し、4人全員が違う種類の蕎麦を注文したとします。茹でる釜は1つなので、どんなに急いでも、最初の蕎麦から最後の蕎麦を提供するまでに最大10分近くの時間差が生じてしまうのです。

蕎麦を注文する際には、蕎麦の種類を絞るほど提供の時間差を減らすことができます。
もちろん、皆さんがそれぞれ食べたいものを注文いただくことが前提なわけですが、こうした蕎麦屋の仕組みを理解していると、心持ちが少し変わるかもしれませんね。更科堀井はとりわけ蕎麦の種類が多いのですが、1種類のみ提供している蕎麦屋も多くありますのでご安心ください。

最後に

今回は、蕎麦に詳しい方にとっては当たり前の話をかなり熱く語ってしまいましたが、これはよくある話です(笑)。注文のタイミングを少し気を付けるだけで、よりおいしく、気持ちよく食べられるということが言えるんです。

ぜひ蕎麦屋へ行く時には、こんな話をしながら楽しんでいただけると嬉しいです!そしてもし、小僧と蕎麦を食べに行きたいという方がいましたら、お気軽にお声がけください(笑)。
それでは今回はこのへんで。





著者プロフィール

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そば小僧
「江戸三大そば」とも言われる更科堀井で約5年間修行。厨房で料理を作る傍ら、SNS運営、通販サイトの立ち上げと、何でも屋の小僧です。「日本の伝統」がとても好き♪ Twitterも是非ご覧ください。https://twitter.com/sobakozoo