秋の食材で身体のミイラ化を防ぐ、薬膳メンテナンス

秋の食材で身体のミイラ化を防ぐ、薬膳メンテナンス

身体には良さそうだけど、なんだか難しそうなイメージの強い薬膳。実は、基本的な考え方に沿って身近にある食材を取り入れながら、食事のバランスを整えるだけでもいいんです。忙しいビジネスマンにこそ知ってほしい薬膳のポイントを解りやすくご紹介。
今回は夏から秋、そして秋から冬への季節変化に備えるアドバイスです!

前回記事はこちら:https://foodclip.cookpad.com/3586/

秋は疲れを癒すベストタイミング!

暑さもやわらぎ、過ごしやすい季節になりましたね。さわやかな風が吹き抜ける秋は、夏に受けたダメージを回復するとともに、冬の寒さに備えるベストなタイミングです。
おいしいものがいっぱいの秋、旬の食材からパワーを取り入れる薬膳で身体を労りましょう。

ミイラ化の季節?!乾燥にご注意

心地よい日が続く季節ですが、秋は夏の疲れが出やすい時期でもあります。
夏の暑さによりたくさん汗をかいて、体内の潤いが失われた状態で秋を迎えると、乾燥した空気の影響で身体がカラカラになってしまいます。

この季節に活躍する「肺」は乾燥を嫌い潤いを好むので、カラカラのまま身体を放っておくと様々なトラブルが生じます。「肺」は呼吸器系や肌、免疫機能と関連が深い部分。ここが乾燥でダメージを受けると、肌や唇がカサついたり、なんでもないときに鼻がムズムズしたり、空咳や痰が切れないなど呼吸器系のトラブルが起こりやすくなります。また、乾燥しているので必要な潤いが体内に行き渡らず代謝が悪くなり、むくみや便秘、ほてりといった症状が出ることも。

ひとつひとつの症状は「そんなに大したことないな」とい思うかもしれませんが、このカラカラを放っておくと冬の体調管理にも影響を及ぼします。潤いが不足したまま冬を迎えてしまうと、冷え込んだ空気とともに体内に入ってくる異物をブロックできず、寒くなったとたんに風邪をひいてしまう、という事態になりかねません。季節の変わり目に毎年風邪をひいてしまうという方は、このタイミングでしっかりと潤いをチャージしてくださいね。

このカラカラは、ただ水をたくさん飲むだけでは解決できないのが難しいところです。
また、良かれと思って水分を摂る際、体温より低い温度のものを摂ると胃腸を冷やしてしまい、疲れた身体にムチを打つことになりかねません。身体を労わるためには、ゴクゴク飲むには少し熱いな、と思う温度の飲み物を選んでください。

そして、潤いを保つ意外なポイントは「体温を下げないこと」。例えば筋トレをしたり、湯船につかったり、クーラーの温度設定を高めにしたりと平熱36.5℃を保つ生活スタイルを心がけてください。「良質な塩分を摂ること」も効果的です。精製されたものではなく、ぜひ天然塩を選んでくださいね。秋の後に活躍する「腎」のケアにもなります。

また、秋は夏に弱った「脾」を回復させるベストタイミング。消化機能と関連の深い「脾」は梅雨から活発にはたらき続けて、かなりダメージが蓄積されやすいところなので、引き続きメンテナンスしていきましょう。「脾」が活発になると、身体全体の元気も底上げしてくれるので、ぜひ労ってくださいね。

実りの季節を堪能!秋の薬膳

秋に活躍する「肺」と、これまで頑張ってきた「脾」を労る最も簡単な方法は、旬の食材を毎日の食事に取り入れることです。自炊派も外食派も"季節のおすすめ"を意識してメニューを選んでくださいね。秋においしくなる食材たちは、「肺」や「脾」に嬉しいものばかりなんです!

まず、「肺」を助けてくれるイチオシ食材は「レンコン」。煮物の定番という印象ですが、「肺」のためには生のまますりおろして、お湯にイン!するのがおすすめです。飲みにくい場合は「はちみつ」で甘みづけを。「レンコン」を買いに行く時間もすりおろす手間も惜しい、もっとお手軽な食材を…というあなたには「牛乳」「豆乳」「豆腐」をおすすめします。だんだん気温が下がってくる時期なので、なるべく温かい状態でどうぞ。身体に負担の少ない方法で召し上がってくださいね。

ヌルヌル・ネバネバな食材も、細胞から身体を潤してくれます。「オクラ」「もずく」「なめこ」あたりは、おつまみとしても優秀ですね。たんぱく質なら「豚肉」を。茹でたり蒸したりとあっさりした味つけにすると、消化がよいので「脾」にも負担がかかりません。また、秋においしくなってくるフルーツの代表「梨」も潤いチャージの強い味方です。

そして「脾」を労る代表的な食材は「米」。秋といえば新米の季節。主食にはぜひ「米」をチョイスしてください。同じく旬を迎える「さつまいも」も「脾」を元気にしてくれます。メニューに「さつまいもの炊き込みご飯」があれば、ぜひ。またきのこ類も「脾」をパワーアップしてくれる食材。特に「まいたけ」は身体の弱ったところを補う作用が強いので、積極的に取り入れてみてくださいね。

秋に食べたい食材たち

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秋に頑張る「肺」、夏にダメージを受けた「脾」を助けてくれる食材をご紹介します。
今日は何を食べようかな?そんな時にご活用ください。

【野菜編】
肺:レンコン、百合根、山芋、里芋、白ごま、大根
脾:さつまいも、じゃがいも、きのこ類、豆類

【肉・魚介類編】
肺:豚肉、鴨肉、いか、牡蠣
脾:鶏肉、白身魚

【果物編】
肺:梨、ぶどう、柿
脾:なつめ

【ドリンク編】
肺:牛乳、豆乳、ぶどうジュース
脾:ハトムギ茶、黒豆茶

旬の味覚でおいしい薬膳

旬の食材はただおいしいだけでなく、あなたの体調を整えてくれる強い味方。さらに自分の体質に合った食材を選べば効果倍増!このような考え方が、薬膳の基本です。だからといって、見慣れない食材を買うのも食べるのも少し億劫…そんな方も、ご安心ください。イチから調理しなくても、食べ方を工夫するだけでOK!手軽に買えるお惣菜や缶詰も、あなたの体調を整えてくれるパワーを秘めているのです。

例えば、食事を摂るときには「レンコン」のきんぴらや「里芋」の煮っころがし、「きのこ類」を使ったスープなど旬の食べ物を取り入れてください。デザートには「梨」や「ぶどう」を添えたり、おつまみに「牡蠣」の燻製を選んだり…少しの工夫で、いつもの食事や間食があなたのパフォーマンスを支えてくれる強い味方になります。
薬膳パワーで、あなたの毎日が少しでも快適になりますように。





著者情報

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Biz薬膳アドバイザー 安藤穂奈実
「食で人生を切り開く」をモットーに、Biz薬膳アドバイザーとして活動中。
ビジネスマンに向けて仕事で成果を出すための簡単に取り入れられる薬膳を伝える他、マンツーマンの食生活サポートも。