デリバリー専門ゴーストレストランが注目されている理由

デリバリー専門ゴーストレストランが注目されている理由

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発令を受け、営業時間短縮や休業を余儀なくされ、経営面で大きな打撃を受けた飲食業界。飲食店経営のリスクやコストを低減する新しい営業形態「ゴーストレストラン」が、急速な成長をみせています。

ゴーストレストランとは?

今、飲食業界の中で注目を浴びている「ゴーストレストラン」とは、その名の通り実店舗を持たないレストランのこと。シェアキッチンなどで調理をおこない、デリバリーサービスを利用して販売する営業形態です。アメリカ・ニューヨークで生まれたこの新しいレストラン形態は、アメリカから中国などに広まり、近年日本でも続々と登場しています。

なぜ今、ゴーストレストランなのか

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ゴーストレストラン誕生の背景には、フードデリバリーサービスの急成長があります。2016年に日本に上陸した「Uber Eats(ウーバーイーツ)」を始め、2000年からスタートしている「出前館」、「楽天デリバリー」や「LINEデリマ」などすでに認知されているサービスの他にも、「Chompy(チョンピー)」や「menu(メニュー)」など今年に入ってから新規参入したサービスが数多くあります。

ゴーストレストランは、フードデリバリーサービスを活用することで配達にかかる人件費をカットすることができるのが最大のメリットです。

ゴーストレストランの増加と相まって、シェアキッチンサービスを始める企業も増えています。厨房設備や調理機器を複数人でシェアできるこのサービスを利用することで、飲食店開業に伴う膨大な初期費用を抑えることができ、低リスクで開業できるのも、ゴーストレストランの増加を後押ししています。

また、コロナ禍においてステイホームが叫ばれる今は、ゴーストレストラン開業への追い風にもなっています。自粛モードが続く中、外食する機会は減り、内食の充実にシフトする生活者も多くなってきました。自粛期間中に初めてフードデリバリーサービスを利用したという人もいることでしょう。その社会的状況を鑑みて、これまでは実店舗レストランのみで料理を提供していた店も続々とフードデリバリーサービスに参入し始めています。

ゴーストレストランを運営するのに必要な要素

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ゴーストレストランを運営するのにまず必要なのは、料理をするための環境です。シェアキッチンや店舗を間借りして、調理がおこなえる場を確保する必要があります。

調理した料理は、フードデリバリーサービスを活用して販売したり、SNSで注文を受け、テイクアウトとして対面販売をしたりとフードテックを活用することができます。新型コロナウイルスの影響により、タクシー事業者の需要が減っている昨今では、タクシーを使ったデリバリーサービスなども登場しています。

主なデリバリーサービスを紹介

ここで、ゴーストレストランの開業に欠かすことのできないフードデリバリーサービス大手2社の特徴をご紹介します。


Uber Eats

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アメリカ・カリフォルニアに拠点を置き、2014年に始まったオンラインのフードデリバリーサービスです。日本では、2016年に東京中心にスタートし、2020年4月の時点では、16都道府県でサービスを展開。専用アプリをダウンロードすれば、数百軒ものレストランからお好みの料理が注文でき、オンライン上で決済が完了します。

今年の8月からは、月額980円を支払うことで、1,200円以上の注文をすれば、すべてのレストランの送料が無料となるサブスクリプションサービスも開始しました。


出前館

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日本最大級の出前サイト「出前館」がサービスを開始したのは、2000年。ピザ・弁当・中華・寿司・洋食・酒・ネットスーパーなど30,000店舗以上の店舗から出前ができるサービスです。ドコモの「dデリバリー」や「LINEデリマ」などにもサービスを提供し、連携も拡大しています。

2020年11月にはクラウドキッチンやオペレーションルーム、配達代行をおこなうための自転車やバイクを備えたクラウドキッチン併設型のデリバリー拠点をオープンする予定です。

どちらのサービスにおいてもユーザー数は右肩上がりで、特に今年に入ってからの利用者が大幅増となっているデータも発表されています。

ゴーストレストランの課題

低コストでの開業が魅力といえるゴーストレストランですが、店舗を間借りしていたり、共有の設備を複数人で利用するシェアキッチンであることから、トラブルには気を付けなければいけません。共有スペースをはみ出して物や食材を置き、シェアメイトと揉めてしまったり、備品を破損した場合などの対応にも注意が必要です。

また、デリバリーサービスごとに注意点もあります。例えば「Uber Eats」では雨の日や混雑時間など配達員の数が足りない時には、せっかく注文が入っても配達員とのマッチングができずに配達ができないといった状況も起こり得ます。他にもアプリ内の料理イメージと実際の商品との違いによるクレームや、配達時の振動や配達時間によって商品の見た目やクオリティが下がってしまうことによるトラブルなど、カスタマー対応が求められることもあります。

ゴーストレストラン需要は
今後も増え続ける見通し

フードデリバリーサービスの成長と新規参入、そして時代の変化に伴い、増加を続けるゴーストレストラン。「出前館」のように自社でクラウドキッチンを用意する動きなどもあり、飲食店の在り方が急速に変化しています。整ったキッチン設備さえあれば、低コスト・低リスクで開業することができる新しい営業形態のゴーストレストランは、今後もさらに成長していくことでしょう。



writing support:Yasue Chiba





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