
食トレンド
電力圧力鍋が売上増!ほったらかし調理家電、人気の理由
具材と調味料を鍋に入れてあとはボタンを押すだけ、ほったらかしていても料理が一品できあがってしまう「ほったらかし調理家電」が人気です。その背景と今後をクックパッド社のプランナー、小室さんが解説してくれました。
今、平日をやりくりするための調理法が
急速に普及している
近年、働くママたちが著しく増加しています。2017年に厚生労働省が発表した国民生活基礎調査によると、18歳未満の子どもがいる世帯では、働くママの割合が全体の7割を占めており、専業主婦ママの約2倍を超えたという結果が出ています。
共働き家庭の増加に伴い、「作り置き」の需要が増えています。クックパッドのデータで見ると、2013年まで横ばいの検索頻度だった「作り置き」が、2014年ころから増加傾向にあり、2018年の検索頻度は2015年の2倍近くを記録していることが見て取れます。
「作り置き」とは、作った常備菜を数日間冷蔵で保存しておいたり、下処理をすることなく即座に調理できるように下味の漬け込みをおこなったり、調理後もしくは下味調理後の状態で冷凍しておいたりすることを言います。
共働き家庭では作り置きをすることで、平日帰宅後の調理時間を減らし、忙しい日々を乗り切る工夫をしているようです。
作り置きは冷蔵から冷凍が主流に
作り置きの関連ワードの中でも「下味冷凍」の検索が急成長しています。「下味冷凍」はクックパッドの2019年食トレンド大賞を受賞するほどで、特に支持された料理は下味冷凍の肉おかず。一緒に検索された組み合わせは、1位が「鶏肉」、2位が「豚肉」となっており、時短でありながらも満足感のある主菜やお弁当にも重宝な肉メニューが人気のようです。
冷凍の作り置きの利点は、その日の気分で料理を選べるところにあります。「週末にまとめて作り置きしたけれど、今日はこの料理の気分ではないな……」という時にも冷凍であれば臨機応変に対応できるため、食材を廃棄してしまうこともありません。作り置きは冷蔵の時代から冷凍へと移り変わりつつあるようです。
メーカーが力を入れる
ほったらかし調理家電の台頭
また、2015年頃からは「ほったらかし調理」というキーワードも急成長しています。材料と調味料を入れてボタンを押すだけで多彩な料理を作ることができる電気圧力鍋の登場により、クックパッドでも「調理家電の商品名+料理名」の検索件数は増加しています。
ほったらかしの調理家電のポイントは、火を使わないことと、材料を入れるだけで料理ができあがること。カレーやシチュー、煮物やおでんなどを作る時には煮込むという時間が必要ですが、火を使って調理している時は火の元が気になるので、台所付近から離れることは難しい。けれど、ほったらかし調理家電を活用すれば、調理中にずっと台所にいる必要はなく、その時間を使って別の家事や子どもの世話、休息に当てられるメリットがあります。
作り置きも細分化が進行
作り置きと言っても、冷蔵で保存できる完全調理の常備菜や下味冷凍した自家製のミールキット、そしてほったらかし調理家電による料理とライフスタイルに合わせて細分化は加速しているようです。
共働き家庭の増加に伴い、家事の時短化は切っても切り離せないキーワード。けれど、料理に「美味しさ」や「健康」を求める価値観や意識は変わりません。ほったらかし調理家電は、忙しい現代家庭において「時短」「安全」そして「美味しい」を叶えてくれる新しい調理方法として台頭しているのです。
2016年頃からは「ホットクック」や「クックフォーミー」など電気圧力鍋の商品名がクックパッドでも検索されるようになりました。電気圧力鍋が家庭の食卓に浸透しはじめ、各製品に対応したレシピが求められるようになってきました。
コロナ禍を経て料理の機会も増加?
いま人気の調理家電
コロナ禍によって家庭での調理機会が増えたことに伴い、電気圧力鍋を筆頭とするほったらかし調理家電の売れ行きは好調のようです。特に、リモートワークで在宅時間が増えた共働き家庭にとって、食材と調味料をセットしておけば、仕事をしている間に一品が整う電気圧力鍋はもはや必需品。
さらに、ほったらかし調理は、高機能オーブンレンジや炊飯器など、電気圧力鍋以外にも急速に広まっており、その流れは、食品や調理カテゴリーに限らず、家事全般にも広がってきています。女性に限らず男性も料理や掃除、子どもの世話をする時代。家族の誰もが無理なく使いこなせるようなフォローアップが、これからの調理家電に求められることかもしれません。
何か一つの家事だけを効率化させる部分最適ではなく、すべての家事を一つの流れとして捉え、家事全体の時短効率化を求めるといった全体最適への意識変化が、コロナ禍を経て加速しているようです。
writing support:Yasue Chiba
著者情報

- ストラテジックプランナー 小室真理絵
- 旅行会社にてコンテンツマーケティングやデータ分析の経験を経て、2017年クックパッド入社。仕事も育児も頑張る全ての人のライフスタイルに寄り添った課題解決型のコミュニケーションを重視。最近は、家事の合理化、家族の料理コミュニケーションに注目している。アウトドアとガジェットが好き。